シカゴSPマチネ初日レポート
12月4日より東京・東急シアターオーブで公演中の来日ミュージカル『CHICAGO』で、17日より「シカゴSPマチネ」が始まった。通常は本場ブロードウェイのスター、アムラ=フェイ・ライトが演じている主人公ヴェルマ・ケリー役を、大阪を含めた計8公演に限り、宝塚歌劇団元トップスターの湖月わたるが務めるスペシャル公演。湖月は2014年に上演されたブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇100周年記念OGバージョンでも同役を演じているが、今回はアメリカ・カンパニーにまざる形とあって、全編英語での挑戦となる。
湖月が演じるヴェルマは、殺人を犯して刑務所に収監中のボードビルスターで、敏腕弁護士の力を借りて無罪を勝ち取ろうとしている悪女。シャーロット・ケイト・フォックス演じるもうひとりの主人公、ロキシー・ハートと反目し合う役柄であると同時に、観客を物語世界へと引き込む橋渡し的な役割も担う。日本語で演じた時から、役作りのために英語のセリフにもあたっていた上に、今回の出演にあたって単身ニューヨークに渡ってさらなるレッスンを重ねてきたという湖月。本番ではそのたゆまぬ努力の成果を発揮し、《ALL THAT JAZZ》をはじめとする名曲の数々を堂々と歌い上げたほか、持ち前の愛嬌で英語のセリフでもしっかり笑いを取って見せた。
終演後、同じく「シカゴSPマチネ」キャストとして登板中の大澄賢也とともに取材に応じた湖月。「登場シーンでは心臓がバクバクっとしたが、お客さまのおかげでシーンを追うごとに温かい気持ちになれました。英語の発音も今日がいちばん良かったのではないかと思います」と満足気に振り返った。全キャストとリハーサルできたのは前日になってからだったこともあり、「《ALL THAT JAZZ》で二人くらいの足を踏んでしまいました(笑)」との失敗談も明かしたが、そのあっけらかんとした明るさもまた湖月の持ち味。大澄も、「かっこいいけどかわいらしいところがヴェルマ役にぴったり」と太鼓判を押していた。
『CHICAGO』は1975年に初演され、1996年に誕生したリバイバル版が、ブロードウェイで歴代第2位となるロングラン記録を今も更新中の人気作。“何でもアリ(ALL THAT JAZZ)”な富と名声の物語、洗練された音楽、セクシーなダンスが融合したスタイリッシュな舞台は、ブロードウェイミュージカルの代名詞と謳われる。日本でも1999年の初来日公演以降、日本人キャストによる日本語版、米倉涼子が来日カンパニーに交ざった英語版、前述の宝塚歌劇OG版など様々な形で上演されており、来日公演だけでも今回で7度目。湖月と大澄は、17~20日・22~23日(東京)、26~27日(大阪)の昼公演に登板する。
<ブロードウェイミュージカル シカゴ>
東京公演 12月23日(祝・水)まで東急シアターオーブにて上演中
大阪公演 12月26日(土)~12月27日(日)梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ http://chicagothemusical.jp