一般社団法人ナレッジキャピタル(代表理事:宮原 秀夫)、株式会社KMO(代表取締役:小田島 秀俊)は、「第8回ナレッジイノベーションアワード」の受賞者を決定しましたので、お知らせします。
https://kc-i.jp/activity/award/innovation/2020/
「Knowledge Innovation Award」は、中学生・高校生が考える未来の仕事についてのアイデアや、ナレッジキャピタル参画者が生み出すユニークで新しい製品や活動を表彰し、広く社会に発信することを目的に開催しているアワードです。イノベーションという言葉から連想されやすい「技術」だけではなく、サービスやアイデアそのものを対象にしています。
第8回となる今回は、「中学生アイデア部門」「高校生アイデア部門」に過去最多となる27都道府県から7,569作品、「ナレッジキャピタル部門」に82作品の応募がありました。各部門とも応募作品は、AIやフードロスなどの社会問題をテーマとしたものが多く、今の時代が強く反映された内容となっています。
応募者のプレゼンテーションを通じて受賞者を決定する最終選考会は、社会的な状況を鑑みて無観客で実施しました。「ナレッジキャピタル部門」のプレゼンテーション映像や、中学生・高校生がどのように今回の豊かなアイデアを生み出したのか、その原動力・想像力に芦沢 ムネト氏が迫るオリジナルムービーを、本日よりナレッジイノベーションアワード公式ウェブサイトにて、公開します。
本年のグランプリと近畿経済産業局長賞の受賞作品は、次のとおりです。
■ナレッジキャピタル部門
<グランプリ 1点>
株式会社U'plan 『STRUCTURE BANK』
<近畿経済産業局長賞 1点>
株式会社エーエスピー 『未利用農産物の新しい食物連鎖を作る』
■中学生アイデア部門
<グランプリ 1点>
高槻中学校 3年 清水 萌衣 『World Creator With Characters (WCWC)』
■高校生アイデア部門
<グランプリ 1点>
本郷高等学校 1年 山崎 航太朗 『苔食デザイナー』
「ナレッジイノベーションアワード」アワード概要
8回目となる今回は、「中学生アイデア部門」「高校生アイデア部門」「ナレッジキャピタル部門」の3部門合計で過去最多となる7,651作品の中から各賞を決定しました。各部門の受賞アイデアについてより深く知ることができるオリジナルムービーをナレッジイノベーションアワード公式ウェブサイトにて公開します。
ナレッジイノベーションアワード公式ウェブサイト:https://kc-i.jp/activity/award/innovation/2020/
(1) 芦沢ムネトが聞く!「教えて!未来の仕事のストーリー」
“未来の鍵を握るラジオの中の学校”をコンセプトに、中学生・高校生を中心に支持を得ている人気番組「SCHOOL OF LOCK!」3代目教頭の芦沢 ムネト氏が、「中学生アイデア部門」「高校生アイデア部門」の受賞者に「未来の仕事」のアイデアを発想したきっかけを紐解くインタビュー動画です。今の中学生・高校生が関心を持っている社会問題や技術は何か、そして、未来をどのように捉え、自身はどのように行動していくのかについて迫ります。
(2)「ナレッジキャピタル部門」最終選考会プレゼンテーション映像
最終選考会で各受賞者が実施したプレゼンテーションの映像です。社会に変革をもたらすイノベーティブなアイデアを受賞者自身が熱くアピールします。
受賞者
(1)ナレッジキャピタル部門
<グランプリ 1点>
株式会社U'plan 『STRUCTURE BANK』
度重なる地震や強度偽装問題を経て、構造設計の重要性は増加しています。それに対し構造設計者は建設従事者の約0.2%しかおらず、日本の建設業界が国外で着工棟数を増やしていくためには、効率よく構造設計を行う必要があります。STRUCTURE BANKは建築物の構造設計データをオンラインで提供するシステムです。構造設計データをリユースすることで、業務フローの無駄を省き、誰でも簡単に高い耐震性能を確保した建築物を設計することが可能となります。世界の地震国から地震被害をなくすことが私たちのミッションです。
<準グランプリ 2点>
・大阪電気通信大学 デジタルゲーム学科 高見研究室
『大型将棋と天円地方の思想 - 初期平安京の復原 -』
平安京の形は長方形に復原されるのが定説となっていますが、将棋の歴史から研究を重ねると、造営当初の平安京は1辺1500丈(1丈=約3m)の正方形の都だということが解りました。平安京の北面中央にある平安宮は1辺400丈、その中央に位置する大極殿院も1辺40丈の正方形でした。そして、天皇の玉座となる高御座は、大極殿院の中央に建つ大極殿の中に正方形に置かれるなど、正方形の階層構造で地の中心を決めたのです。天空の様相を地上の都に写すのが都城の思想、その方形の都を手元の盤に再現したものが将棋です。
・関西学院大学 理工学部 人間システム工学科
『認知症の記憶障害を「自分ごと」として体験するVR』
記憶障害を持つ認知症患者への理解を深めるために、認知症患者の生活の一 部を疑似体験できるVRシステムです。アルツハイマー型認知症では、自身の行動の記憶がまるごと欠落するという記憶障害が生じます。このVRシステムでは、体験者が見ているVR環境(映像)を体験者に気付かれないように操作します。周囲の環境に自身の記憶にない変化を起こすことで、アルツハイマー型認知症患者と同等の状況を作り出し、記憶障害を持つ方の困惑などの感情を追体験可能にします。
<近畿経済産業局長賞 1点>
株式会社エーエスピー 『未利用農産物の新しい食物連鎖を作る』
昨今、耳にするフードロス。しかし、その数値には畑で廃棄されている農作物約210万tはカウントされていません。また、加工効率を重視した結果、製造工程で半分も廃棄されたものもあります。
部分的な生産性から脱却するため、意識だけでなく、各工程を見直しバリューチェーンの構造から改革していきます。廃棄発生ポイントの見える化、効率的な集荷と用途に合わせた加工技術により、新しい食品原料、化粧品原料、飼料、肥料、燃料として農作物の価値を再定義します。
<優秀賞 3点>
・Team X:Presence 『チームX:PresenceでANA AVATAR XPRIZEにチャレンジ!』
・三木楽器株式会社 『Virtual Band』
・組込みシステム産業振興機構、神戸電子専門学校 『KIMI crew -キミクル-』
(2)中学生アイデア部門
<グランプリ 1点>
・高槻中学校 3年/ 清水 萌衣 『World Creator With Characters (WCWC)』
<準グランプリ 2点>
・京都市立西京高等学校附属中学校 3年/ 伊坂 珠姫 『すごろくマネージャー』
・大阪教育大学附属平野中学校 1年/ 岡本 栞奈 『食品ロスの大改善ループ』
<優秀賞 4点>
・大阪教育大学附属平野中学校 1年/ 駒谷 ひなた 『DCRP~Developing Country Rescue Project~』
・いわき秀英中学校 2年/ 鈴木 諒太朗 『インターネット消防士』
・長崎県立諫早高等学校附属中学校 1年/ 照沼 杷奈『感覚体感ヘアバンド製造技術者』
・京都橘中学校 2年/ 中村 綺音 『ウイルス予測機器製作者』
<佳作 10点>
・西大和学園中学校 3年/ 伊藤 誠基 『食料問題解決の研究者』
・明星中学校 3年/ 大野 玲新 『MEAI(Manage the Emotions of Artificial Intelligence)』
・大阪市立咲くやこの花中学校 3年/ 式森 千花 『覚剤師』
・東明館中学校 1年/ 嶋田 零 『人工オゾン層製造員』
・大阪市立咲くやこの花中学校 3年/ 新木 仁子 『ビューティコミュニティ「E-Kamo」』
・小平市立小平第四中学校 3年/ 杉田 優樹 『アーバンバイオプラグラマー』
・初芝富田林中学校 3年/ 畠山 和 『コンタクトコミュ』
・親和中学校 3年/ 濱井 静香 『バーチャル警察官』
・呉市立仁方中学校 2年/ 宮原 利緒 『声力発電』
・大阪教育大学附属平野中学校 1年/ 山本 優音 『LGBTのカウンセリング美容師』
(3)高校生アイデア部門
<グランプリ 1点>
・本郷高等学校 1年/ 山崎 航太朗 『苔食デザイナー』
<準グランプリ 2点>
・第一学院高等学校 2年/ 畑 すみれ 『2025 大阪万博でモルフォ蝶を飛ばしたい』
・初芝富田林高等学校 1年/ 福岡 みすず 『抵抗証明士』
<優秀賞 4点>
・神戸市立六甲アイランド高等学校 2年/ 巽 千華 『服も育てよう』
・武蔵野大学高等学校 2年/ 中田 百萌子 『Unlimiteder』
・長崎県立諫早高等学校 1年/ 林下 俐子 『"森林の守りキノコ”製造者』
・大阪市立咲くやこの花高等学校 1年/ 山下 直太郎 『味線~食のラジオ~』
<佳作 10点>
・甲陽学院高等学校 2年/ 五熊 健 『高齢者向けテーマパーク”ELDEN”』
・関西学院千里国際高等部 1年/ 宇高 結衣 『SDGs Visualizer』
・大商学園高等学校 1年/ 資延 那由多 『DX介護看護コーディネーター』
・大阪市立咲くやこの花高等学校 1年/ 鈴木 李奈『伝統工芸品原材料販売所』
・長崎県立諫早高等学校 1年/ 田澤 麗蘭 『胎児研究科』
・常総学院高等学校 1年/ 千葉 万緒里 『アニマルスクール』
・福岡県立朝倉高等学校 1年/ 土屋 真里奈 『外国人向け介護施設(介護士)』
・西大和学園高等学校 1年/ 長谷川 結依 『農業船監督者』
・大阪市立咲くやこの花高等学校 1年/ 水野 春予 『空間心理スペシャリスト』
・聖心学園中等教育学校 1年/ 宗重 咲南 『マルチ味再現機開発メーカー ~離れていても、あの味を~』
選考委員長総評
河口 洋一郎 東京大学名誉教授/アーティスト/一般社団法人デジタルコンテンツ協会 会長
今回はコロナ禍での開催ということもあり、今までにない新しい方向性のアイデアが多数出てきていた。さらに、食糧問題の解決を始めとしたSDGsの達成やVRやAIなどの先端技術を応用した作品が各部門で受賞したことが特徴であった。
中学生部門のグランプリ作品は人を明るく楽しませるエンターテインメント性が、高校生部門のグランプリ作品はあっと驚くような斬新な視点が評価された。中学生、高校生は、わくわくできる夢と希望、豊かな未来社会の実現に向けて、発想を思い切って飛躍させることで自分の能力をさらに高めてほしい。
ナレッジキャピタル部門は、設計データや建築物を再利用することで、街づくりの未来に一石を投じる提案がグランプリとなった。引き続き未来に向けた前向きな提案を期待している。今後もナレッジキャピタルを通じて、大阪のみならず日本全体および世界に向けて刺激を与えるアイデアを発信していきたい。