株式会社東洋経済新報社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 山田 徹也)は、CSR(企業の社会的責任)と財務の両データから「信頼される会社」を見つけるために「CSR企業ランキング」を毎年作成しております。このたび、第20回のランキング結果がまとまりましたので、発表いたします。
デンソーが18年ぶりのトップ
総合ランキングは、デンソーが2008年(第2回)以来、18年ぶりの1位となりました。全体16位となった高水準の財務部門に加え、人材活用53位、環境7位、企業統治+社会性7位と、CSR関連3部門のすべてで前回より順位を上げ、前回の3位からトップとなりました。
同社では、経営戦略部がサステナビリティ経営の全社推進機能を担う一方、環境や職場安全などの個別テーマは各専門部署が活動を牽引するなど有機的な推進体制を構築しています。サプライチェーン全体でのCSR・サステナビリティ推進も特徴的です。環境面では、網走テストセンター(北海道)が環境省「自然共生サイト」に認定されるなど、生物多様性保全を推進しています。ワーク・ライフ・バランスの拡充も進めるほか、定年後の再雇用者にも複線型人事制度を導入し、モチベーションの維持向上を図っている点も特徴的です。
2位はJTです。人材活用68位、環境24位、企業統治+社会性2位、財務12位といずれも上位を堅持し、3年連続の2位となりました。役員報酬にGHG排出量ネットゼロやDE&IなどのESG指標を採用しています。NPOと連携して社員の健康増進と途上国支援を組み合わせた活動を行うほか、葉タバコ農家の支援も継続し、2011年から累計約28.7万世帯の収入向上に寄与しています。
3位は富士通です。財務部門が25位で僅差での3位となりました。同社は第三者機関が運営する苦情処理窓口を介して、公平性・透明性を確保した苦情処理メカニズムを構築しています。ITガバナンス面では、生成AIの特性を踏まえた注意喚起や自社の知見・ノウハウの公開をユーザー企業へ実施するなど、生成AIの安全な活用を支援しています。
金融機関ランキングは三井住友フィナンシャルグループが4年連続の1位となりました。部門別でも人材活用5位、環境4位、企業統治+社会性24位と高水準です。同社は従業員エンゲージメント調査を毎月実施し、結果を部署単位で迅速に還元しています。1人当たりの年間教育研修費用・時間もそれぞれ10万円、25.5時間とトップクラスです。環境面では、脱炭素に取り組むための「トランジションファイナンス」に関するエンゲージメントを積極的に実施しています。
今回の調査では、人的資本経営の重要指標である「従業員エンゲージメント」に関する設問を拡充しました。その結果、掲載企業の76.5%がエンゲージメント調査などを実施しており、その回答率も平均90.4%と高水準にあることが明らかになりました。一方で、前年よりスコアが「改善・向上した」企業は48%にとどまり、「測定」から「改善」へと、いかにつなげるかが課題となっています。
併せて、「生成AI」や「カーボン・クレジット」に関する実態も調査しました。生成AIの活用ルールを「制定している」企業は67.5%で、上場企業中心の掲載企業においても約3割が未整備であることがわかりました。環境分野では、カーボン・クレジットを「調達・利用している」企業は19%にとどまりました。今後予定されるGXリーグの本格稼働を見据え、実務ノウハウの蓄積が求められる状況です。
調査項目の詳細・結果、刊行物に関するご案内等
東洋経済CSRオンライン(https://biz.toyokeizai.net/-/csr/)
ランキング説明
東洋経済「CSR企業ランキング」について
東洋経済新報社「財務・企業評価チーム」が作成。対象は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)(ESG編)』2026年版掲載の1656社(上場1578社、未上場78社)。調査は2025年6~10月に実施。CSR分野の「人材活用」(100点満点)、「環境」(同)、「企業統治+社会性」(「企業統治」と「社会性」の合計で100点満点)の3つ(計300点満点)に、「財務」(収益性、安全性、規模、各100点。計300点満点)を加え、総合ポイント600点満点で評価。「財務」以外の項目は基本的にアンケート内容を基に評価している。ただし、一部アンケート未回答でも公開情報のみで評価を行っている企業もある。評価は原則として加点方式で行い、回答内容による減点はない。「人材活用」「環境」「企業統治+社会性」の得点はトップ企業を100点に調整。「財務」は多変量解析の主成分分析手法を用い、収益性、安全性、規模の3つの分野で評価している。
銀行、証券、保険、その他金融、未上場(上場企業の主要子会社、調査時点以降の上場廃止企業、財務情報開示企業は除く)などは総合ランキングの対象から除外している。「財務」以外の各データは『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)(ESG編)』2026年版に掲載。
各分野の評価項目(太字は今回、追加項目)
〔CSR評価〕
【人材活用】1. 女性従業員比率、2. 男女別賃金、3. 世代別女性従業員数、4. 離職者状況、5. 年間総労働時間の開示、6. 残業時間・残業手当、7. 残業削減の取り組み、8. 30歳平均賃金、9. 外国人管理職の有無、10. 女性管理職比率、11. 女性部長比率、12. 女性役員比率、13. ダイバーシティ推進の基本理念、14. 多様な人材登用部署、15. 多様な管理職登用(比率)の目標値、16. 障害者雇用率(実績)、17. 障害者雇用率の目標値、18. 定年後の就業機会、19. 正社員の定年年齢、20. LGBTへの対応、21. 有給休暇取得率(最新年度)、22. 産休期間、23. 産休取得者、24. 育児休業取得者、25. 男性の育児休業取得者数・取得率、26. 配偶者の出産休暇制度、27. 介護休業取得者、28. 看護等休暇・介護休暇、29. 退職した従業員の再雇用制度、30. ユニークな両立支援制度、31. 勤務形態の柔軟化に関する諸制度、32. テレワークの導入、33. 副業・兼業、34. ハラスメント防止、35. 従業員のインセンティブを高めるための諸制度、36. 労働安全衛生マネジメントシステム、37. 労働安全衛生分野の表彰歴、38. 労働災害度数率、39. メンタルヘルス休職者数、40. 人権尊重等の方針、41. 人権尊重等の取り組み、42. 中核的労働基準を尊重した経営、43. 人権デューデリジェンスの取り組み、44. 能力・評価結果の本人への公開、45. 従業員の評価基準、46. 1人当たり年間教育研修費用・時間、47. 従業員の満足度調査、48. キャリア形成支援、49. 新卒入社者の3年後定着度、50. 発生した労働問題の開示
【環境】1. 環境担当部署の有無、2. 環境担当役員の有無、3. 環境担当役員の担当職域、4. 環境方針の文書化の有無、5. 環境会計あるいはそれに準ずるものの有無、6. 環境会計あるいはそれに準ずるものにおける費用と効果の把握状況、7. 環境データにおける第三者検証・保証、8. 環境データ・環境会計データ等の開示(パフォーマンスの開示状況)、9. 環境監査の実施状況、10. EMS(ISO14001等)の構築状況、11. EMS(ISO14001等)の取得割合(国内・海外)、12. グリーン購入体制、13. 事務用品等のグリーン購入比率、14. 原材料のグリーン調達、15. 原材料調達の取引先対応、16. 環境ラベリング、17. 土壌・地下水の汚染状況把握、18. 水問題の認識、19. 環境関連法令違反の有無、20. 環境問題を引き起こす事故・汚染の有無、21. 環境問題に関する苦情の有無、22. 環境分野・CO2排出量等削減に関する中期計画の有無、23. スコープ3、24. 炭素利益率(ROC)、25. 温室効果ガス(スコープ1+2)排出量削減、26. 廃棄物等総排出量削減、27. 2024年度の環境目標・実績、28. 気候変動対応の取り組み、29. 気候変動に関するシナリオ分析、30. 再生可能エネルギーの利用、31. カーボンプライシングの認識、32. 環境関連の表彰歴、33. 環境ビジネスの取り組み、34. プラスチック削減の取り組み、35. 事業活動による生物多様性への影響の把握、36. 生物多様性保全に関する取り組み、37. 生物多様性保全プロジェクトへの支出額
【企業統治】1. 中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念、2. CSR活動のマテリアリティ設定、3. ステークホルダー・エンゲージメント、4. 活動報告媒体における第三者の関与、5. 英文での活動報告、6. CSR担当部署の有無、7. CSR担当役員の有無、8. CSR担当役員の担当職域、9. CSR方針の文書化の有無、10. IR担当部署、11. 法令順守関連部署、12. 国内外のCSR等関連基準への参加等、13. 内部監査部門の有無、14. 内部通報窓口(社内・社外)設置、15. 内部通報者の権利保護に関する規定制定、16. 内部通報件数、17. 公正取引委員会からの排除措置命令等・他、18. 不祥事等による操業・営業停止、19. コンプライアンスにかかわる事件・事故による刑事告発、20. 海外での価格カルテルによる摘発、21. 海外での贈賄による摘発、22. 汚職・贈収賄防止の方針、23. 政治献金等の開示、24. 内部統制の評価、25. 相談役・顧問制度の状況についての開示、26. 社外取締役による経営者評価、27. 任意を含む指名・報酬委員会等の設置、28. ESG等関連指標の役員報酬への反映、29. 情報システムに関するセキュリティポリシーの有無、30. 情報システムのセキュリティに関する内部監査の状況、31. 情報システムのセキュリティに関する外部監査の状況、32. 情報セキュリティに関する教育・社内浸透の取り組み、33. プライバシー・ポリシーの有無、34. リスクマネジメント・クライシスマネジメントの体制、35. リスクマネジメント・クライシスマネジメントに関する基本方針、36. リスクマネジメント・クライシスマネジメントに関する対応マニュアルの有無、37. リスクマネジメント・クライシスマネジメント体制の責任者、38. BCM構築、39. BCP策定・想定、40. リスクマネジメント・クライシスマネジメントの取り組み状況、41. 企業倫理方針の文書化・公開、42. 倫理行動規定・規範・マニュアルの有無
【社会性】1. 消費者・取引先対応部署の有無、2. 社会貢献担当部署の有無、3. 商品・サービスの安全性・安全体制に関する部署の有無、4. 社会貢献活動支出額、5. NPO・NGO等との連携、6. ESG情報の開示、7. 投資家・ESG調査機関等との対話、8. 消費者・取引先からのクレーム等への対応マニュアルの有無、9. 消費者・取引先からのクレームのデータベースの有無、10. QMS (ISO9000S等)の構築状況・取得割合(国内・海外)、11. 地域社会参加活動実績、12. 教育・学術支援活動実績、13. 文化・芸術・スポーツ活動実績、14. 国際交流活動実績、15. サステナブル調達の実施、16. サステナブル調達の取り組み事例、17. 取引先に対する基本方針、18. 紛争鉱物の対応、19. SDGsの目標への意識、20. SDGsの目標達成基準、21. SDGs17の目標対応状況、22. 社会課題解決ビジネスの取り組み、23. 海外での社会課題解決の活動等、24. 事業・社会課題解決の取り組み等によるインパクトの測定、25. ボランティア参加・休暇、26. ボランティア休職・青年海外協力隊参加、27. マッチング・ギフト、28. ボランティア休暇制度等の従業員への周知、29. 従業員向けの社会課題解決への関心を高める取り組み、30. プロボノ支援、31. CSR関連の表彰歴、32. 自然災害・パンデミック等への支援
〔財務評価〕
【収益性】1. ROE(当期利益÷自己資本)、2. ROA(営業利益÷総資産)、3. 売上高営業利益率(営業利益÷売上高)、4. 売上高当期利益率(当期利益÷売上高)、5. 営業キャッシュフロー
【安全性】1. 流動比率(流動資産÷流動負債)、2. D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)、3. 固定比率(固定資産÷自己資本)、4. 総資産利益剰余金比率(利益剰余金÷総資産)、5. 利益剰余金
【規模】1. 売上高、2. EBITDA[税引き前利益+支払利息(キャッシュフロー計算書掲載)+減価償却費(同)]、3. 当期利益、4. 総資産、5. 有利子負債
【財務(金融機関)】 1. 売上高(営業収益、経常収益)、2. 総資産、3. 利益剰余金、4. ROE(当期利益÷自己資本)







