Solana のリアルタイムデータを取得する Geyser gRPC エンドポイントについて、提供中の全リージョンを対象に基盤アップグレードを実施

ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役 CEO:川崎文武)と Validators DAO が運営する ERPC は、Solana のリアルタイムデータを取得する Geyser gRPC エンドポイントについて、提供中の全リージョンを対象に基盤アップグレードを実施したことをお知らせいたします。
今回の更新では、Lamports Dev が開発するオープンソースのストリーミング基盤 Richat を活用し、Geyser gRPC の配信構成を見直しました。あわせて、ERPC ネットワークを支える Rust 製プロキシのロジック改善も行っており、配信遅延やばらつきの低減につながっています。
Geyser gRPC における配信遅延とばらつきの構造
Solana における Geyser gRPC は、トランザクション、アカウント、スロットといったブロックチェーンイベントをリアルタイムに取得するための重要なインターフェースです。一方で、実運用ではデータ量やフィルター条件の増加に伴い、単一経路への負荷集中、重複配信、再送制御、経路の遠回りといった要因が積み重なります。
これらは平均レイテンシだけでなく、時間帯やリージョンごとのばらつきとして顕在化しやすく、特にグローバル展開を前提としたアプリケーションでは、運用品質を左右する要因となります。
Richat 採用によるストリーミング基盤の見直し
今回 ERPC が採用した Richat は、Solana ブロックチェーンデータの低レイテンシかつ信頼性の高い配信を想定して設計されたストリーミング基盤です。複数のストリーミングソースを同時に購読し、それらを単一の出力ストリームとして配信できる多重化機構を備えています。
配信段階での高性能フィルタリングおよび重複排除により、不要な処理や再送を抑制しやすく、ストリーミング経路全体の安定化に寄与します。また、QUIC を前提とした設計により、高スループットと低レイテンシの両立を目指した構造となっています。
Richat: https://github.com/lamports-dev/richat
ERPC グローバル Geyser gRPC ネットワークへの統合
ERPC の Solana ネットワークにおける Geyser gRPC エンドポイントに Richat を統合することで、ストリーミング経路および配信処理の最適化が進み、さらなるレイテンシ改善が実現しました。これにより、提供中の Geyser gRPC エンドポイントは、従来構成と比較して最速水準を更新しています。
フランクフルト、アムステルダム、ニューヨーク、シカゴ、東京、シンガポールといった各リージョンに観測・配信拠点を配置することで、時間帯やネットワーク状況によって変化するリージョンごとの有利不利を把握し、最も条件の良い地点からデータを取得できる構成を重視しています。単一リージョンに依存するのではなく、グローバルに監視・接続することで、Solana の動的なネットワーク特性に対応できる運用を可能にしています。
Rust 製グローバルプロキシの改善
今回のアップグレードにあわせて、ERPC がグローバルに利用している Rust 製プロキシのロジックを刷新しました。このプロキシは、各リージョンの Geyser gRPC エンドポイントに共通して利用されており、その処理効率や制御方式は、全リージョンの配信特性に直接影響します。
今回の刷新では、接続管理や内部処理フローを見直すことで、プロキシ自体のオーバーヘッドを削減しています。これにより、特定のリージョンに限らず、すべてのリージョンにおいてストリーミング処理の効率が向上しています。
マルチリージョン前提の運用と今回のアップグレードの位置づけ
Solana のスロットリーダーが世界中を巡回する構造上、単一リージョンに依存した構成では、時間帯による有利不利が避けられません。ERPC はこれまで、マルチリージョン前提の Geyser gRPC 提供および gRPC Bundle プランを通じて、この課題に対応してきました。
今回の全リージョンアップグレードにより、従来構成と比較して、各リージョンの Geyser gRPC エンドポイントにおけるレイテンシが大幅に改善しています。
料金表と提供プランについて

Geyser gRPC は、単一リージョンで利用できる単体プランと、複数リージョンを一括で利用できる gRPC Bundle プランを提供しています。今回のアップグレードは、これらすべての Geyser gRPC エンドポイントに反映されています。

gRPC Bundle プランでは、複数リージョンの Geyser gRPC エンドポイントをまとめて利用でき、単体契約を積み重ねる場合と比較して、マルチリージョン前提の構成を現実的なコストで導入できます。
単一リージョンでの PoC や集中構成には gRPC 単体プラン、グローバル展開や時間帯による有利不利を抑えたい構成には gRPC Bundle プランといった使い分けが可能です。
今後の研究開発について
ERPC では今後、さらに高速な Geyser QUIC コネクションの提供に向けた研究開発を継続していきます。ストリーミングの高速化は、単一のプロトコル変更だけで達成できるものではなく、データ取得点、配信トポロジ、経路制御、クライアント接続モデルを含めた全体設計が重要となります。
実運用で得られた知見をもとに、段階的な改善を積み重ねていく方針です。
フリートライアルの再開について
プラットフォーム刷新に伴い、フリートライアルもリセットされています。過去にフリートライアルをご利用いただいたご利用者の皆様においても、現在の ERPC は構成および配信特性が更新されています。
この機会に、全リージョンでアップグレードされた Geyser gRPC エンドポイントを実際の環境でご確認ください。
ご利用・相談について
最適なリージョン構成、gRPC 単体プランおよび gRPC Bundle プランの選定、既存構成からの移行設計については、Validators DAO 公式 Discord にて個別相談を承っております。
Validators DAO 公式 Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR
ERPC 公式サイト: https://erpc.global/ja