デジタル社会のいま、新国立競技場やオフィスビル、カフェなど、なぜか木を使った建物が増えている。「木と人の関係」に隠された秘密とは?
木を多用した温かみのあるデザインが話題となった新国立競技場をはじめ、暮らしに木材を取り入れて、森を育てるエコ活動「木づかい運動」が広がるなど、最近、「木」を身近に感じる機会が増えています。
木は、700万年以上も前から、私たち人類の進化と文明の発展に非常に深く関係してきました。なぜ、どのように、人類は木を利用し、今日の社会を築くまでになったのか、その壮大な道すじを解き明かした『「木」から辿る人類史 ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る』が、9月28日に発売されます。
二足歩行、交易、産業の発展は木のおかげ
これまで人類史を大きく動かした最重要素材として、「石・青銅・鉄」が挙げられてきました。『「木」から辿る人類史』では、じつは「木」こそが真に歴史をつくった最も重要な鍵であるという全く新たな説が展開されます。生物学者の著者エノスは、生体力学の深い見識に基づいて、木がもつ構造的な特長を豊富な図や写真とともに解説。古代から現代まで、人類がいかに巧みに木の性質を利用したか、その結果、いかに驚異の発展を遂げてきたかを解き明かします。人類学・地質学・建築学・社会史等、幅広い分野の木に関する研究成果から、「木と人類の関係」を新しくとらえ直した画期的なノンフィクションです。
〈以下、本文より写真抜粋〉
推薦コメント
「人類が直立二足歩行を進化させたのは、地上に降りたからではなく、木の上を歩くためだった。石や青銅や鉄のかげで見落とされていた木に注目して、説得力ある新しい人類史700万年を展開した好著である」 ――更科 功(古生物学者)
「木が人類の歴史を方向づけたことを立証した本書は、木と生き、木を愛してきた僕たち日本人にとって、待望の"木の聖書"である」――隈 研吾(建築家)
各紙誌書評
「人類史のほぼ全期間において、新たな呼称をつけるべきかもしれない。すなわち"木の時代"と」――『ニュー・リパブリック』
「人類が"木"に対して、計り知れないほどの"借り"があることを示した驚くべき本。本書は、まさに人類史の再解釈といえる。近代的な木造建築、森林伐採など幅広い話題を扱い、感嘆に値する」――『サンデー・タイムズ』
「著者は古人類学を通じて、人類が森を出た理由と初期の技術開発について探究し、社会史、建築、地質学、機械工学など、さまざまな分野の木に関する研究成果をまとめた。本書は天然資源の問題が山積する現代において必読の、優れた歴史ノンフィクションだ」――『カーカス・レビュー』
目次
第1部 木が人類の進化をもたらした(数百万年前~1万年前)
第1章 樹上生活の遺産
第2章 木から下りる
第3章 体毛を失う
第4章 道具を使う
第2部 木を利用して文明を築く(1万年前~西暦1600年)
第5章 森を切り拓く
第6章 金属の融解と製錬
第7章 共同体を築く
第8章 贅沢品のための木工
第9章 まやかしの石造建築
第10章 文明の停滞
第3部 産業化時代に変化した木材との関わり(西暦1600年~現代)
第11章 薪や木炭に代わるもの
第12章 一九世紀における木材
第13章 現代世界における木材
第4部 木の重要性と向き合う
第14章 森林破壊の影響
第15章 木との関係を修復する
著者情報
ローランド・エノス(Roland Ennos)
生物学者。イギリス・ハル大学生物科学部の客員教授。動植物の工学的なしくみを研究する生体力学の研究者として、霊長類の木の使用法などを探究する。植物、生体力学、統計学に関する教科書を執筆するほか、自然史学、考古学、工学、建築などを幅広く研究。おもな著書に、ロンドン自然史博物館から出版されたTrees、おもな共著にPlant Lifeがある。イギリスのBBCやアメリカのPBSなどのラジオ科学番組に出演し、木に関する講演も多数行っている。
商品情報
「木」から辿る人類史 ~ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る
出版社:NHK出版
発売日:2021年9月28日
定価:2,530 円(税込)
判型:四六判並製
ページ数: 368ページ
ISBN::978-4-14-081874-9
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4140818743/
https://honto.jp/netstore/pd-book_31130528.html
https://books.rakuten.co.jp/rb/16827063/