
データとAIで「運ぶ」を最適化する株式会社Hacobuは、物流AI基盤「Hacobu X(ハコブ・エックス)」を発表します。Hacobu Xは、発荷主(サプライヤー)、着荷主(納品先)、運送会社など、会社ごとに異なるシステムやデータで管理されてきた物流業務を、AIが会社の壁を越えてひとつの流れとして理解するための共通基盤です。その中核技術には、物流業務の意味と関係性を定義した「オントロジー」(※1)があります。
Hacobuは、導入企業1100社超、利用事業所数4万7000カ所超(※2)(いずれも2026年8月末時点)で使われるクラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」を通じて、物流現場のデータ化と業務改善を進めてきました。Hacobu Xは、その現場知見を土台としています。
第1フェーズとして、Hacobuのシステムインテグレーションチームが本基盤を活用します。例えば、従来は要件のすり合わせに時間を要していた企業固有の輸配送システムを、現場の実態に即して、より速く開発できるようになります。
Hacobuは本発表を機に、物流現場の個別課題に応えるサービスを提供する企業にとどまらず、日本の物流全体をAIで支える基盤を開発し、その普及を牽引する「物流AIインフラカンパニー」へと進化していきます。
開発背景:物流の無駄は「会社と会社のあいだ」にある。一社でAIを入れても解決しない理由

物流は、暮らしと産業を支える社会インフラです。しかしドライバー不足は深刻で、対策を講じなければ、2030年度には最大で約25%の輸送力不足が生じる可能性があると指摘されています(※3)。限られた人手やトラックで、より多くの荷物を運ぶためには、物流の無駄を減らすことが日本全体の課題です。
無駄は二つの場所に存在します。一つは個々の現場です。ドライバーが荷物の積み下ろしを待つ、空車で走る、配車を電話とFAXで組む--こうした現場の無駄は、今も多くの拠点に残っています。
もう一つは会社と会社のあいだです。物流は発荷主(サプライヤー)、着荷主(納品先)、運送会社といった多くの会社が関わって成り立ちます。しかし、各社のシステムはそれぞれ異なり、同じ対象でも、呼び方や管理方法が違います。
例えば、同じ車両でも、ある会社は「大型車・小型車」、別の会社は「10トン車・2トン車」と管理するなど、情報の呼び方や分け方も異なります。国が策定を進めるバーティカルAI領域別戦略においても、物流・交通分野の課題として、企業間・システム間の分断が挙げられています(※4)。
AIは、一社内で完結する業務であれば、すでに人の仕事を支援し始めています。しかし、会社をまたぐと、システムもデータの持ち方も異なります。そのためAIは、「相手企業の情報が、自社のどの情報に対応するのか」を、そのままでは理解できません。
物流のAI化は、一社ごとにAIを導入するだけでは進みません。現場の無駄を減らすことと、会社と会社のあいだをAIが理解できる形でつなぐこと。この二つを同時に進める必要があります。
現場の無駄には、MOVOが応えます
クラウド物流管理ソリューション「MOVO」は、物流現場の業務を支えるサービスです。Hacobuはこの1年、MOVOにAI機能を次々と搭載してきました。
何をどれだけ運ぶかを決める段階では、生産・販売・在庫の計画に物流の制約を組み込み、発注量と輸送量をAIが最適化します。どの運送会社にいくらで輸送を依頼するかを、AIが過去の実績から提案します。現場に紙やFAXで届く帳票は、生成AIが読み取り、物流データに変換します。そして月末には、AIが運賃の請求書と契約内容を突き合わせ、差異のある明細だけを担当者に提示します(※5)。
計画から請求まで、人が電話やFAX、目視で行っていた確認や調整を、AIが一つずつ担うようになっています。

会社と会社のあいだの無駄には、Hacobu Xが応えます
しかし、会社と会社のあいだの無駄は、現場のAIだけでは減らせません。荷主(サプライヤー)、着荷主(納品先)、運送会社のシステムはそれぞれ異なり、会社ごとにデータの持ち方も違います。その違いをAIがそのまま理解することは難しいからです。Hacobu Xは、この壁を越えるための基盤です。
Hacobu Xは、物流にはどんな仕事があり、何と何が関係し、どのようなルールで動くのかを、AIが理解できる形で定義した共通基盤です。いわば、AIが物流を理解するための「物流の設計図」です。この定義には、Hacobuが10年にわたり、数万の物流現場で積み重ねてきた業務の知見を反映しています。
これにより、会社ごとに情報の呼び方やデータの管理方法が異なっていても、それぞれが何を意味し、どのように関係しているのかを、AIが理解できるようになります。将来的には、これまで人が担ってきた調整業務や企業間のやりとりを、AIが担えるようになります。
各社の違いをなくすのではなく、違いを残したままつなぐ。Hacobu Xは、これまでの物流における情報連携の考え方とは、異なるアプローチを目指します。
今後はまず、Hacobu XをHacobuが個社向けに開発する物流システムの基盤として用います。あわせて、MOVOシリーズ、個社向けシステム、お客様の基幹システムをHacobu Xでつなぎ、一つの基盤上で連携させる体制を検討しています。
Hacobu Xは、次のような場面での活用を予定しています。

- 標準サービスでは対応しきれない、企業固有の業務に合わせた輸配送システムの開発
- 既存のMOVOシリーズに、業界や企業ごとの業務に合わせた機能を柔軟に開発・追加・変更
- 複数の企業が参加する共同輸配送において、会社ごとに異なる出荷データを整理し、積み合わせ候補を導く仕組みの検討
いずれも、Hacobu Xを起点に取り組みを進めています。
こうしたデータやAIの活用を進めるにあたり、Hacobuはガバナンスの強化にも取り組んでいます。これまで、外部有識者で構成する「物流ビッグデータ・ガバナンス委員会」で、データ活用のあり方を検討してきました。現在は、その知見と機能を経営会議および情報セキュリティ委員会に引き継ぎ、社外取締役・社外監査役による監督・監査のもと、取り組みを進めています。
また、社内におけるAI利用の方針・ガイドラインを定め、安全かつ適切なAI活用を推進しています。
今後の展開:判断を支えるAIから、業務を進めるAIへ
Hacobuはこの10年、バース予約を入口に、多くの物流現場でMOVOを使っていただける世界をつくってきました。そこにAI機能を重ね、各社の業務の中へより深く入り、現場の判断を支えていきます。
次に目指すのは、AIが個々の業務を支援するだけでなく、業務の流れを理解して自ら進める段階です。これまでのAI機能は、いずれも人の判断や作業を支えるものでした。Hacobu Xを土台に、AIが計画から請求までの業務のつながりを理解し、人の確認を経ながら、配車や請求などの処理そのものも進められるようにしていきます。いわゆる「AIエージェント」と呼ばれる、目的に応じて業務を自ら進めるAIの活用も、この延長線上で構想しています。
さらにその先では、AIが一社の中だけでなく、会社と会社のあいだの業務も支える世界を目指します。各社のシステムやデータが異なっていても、AI同士が連携し、企業をまたぐ物流業務を進められる基盤へと広げていきます。これにより、一社ごとの効率化にとどまらず、限られた人員や車両を社会全体でより有効に活用し、物流全体の最適化――「社会最適」につなげていきます。Hacobu Xは、そうした将来のAI活用を見据えた基盤です。
Hacobu Xを用いた開発事例は、順次公開していきます。
皆さんと共に創る、AI時代の物流インフラ。代表取締役社長CEO 佐々木太郎

Hacobuは、物流が今ほど社会から注目されていなかった10年前から、「勘・経験・度胸」に頼って意思決定してきた物流を、データに基づいて意思決定する物流へと変える「Data-Driven Logistics(DDL)」の実現を目指し、取り組んできました。
そこに、AIが登場しました。AIの可能性を目の当たりにしたとき、私は、「Data-Driven Logisticsは、前座だったのかもしれない」と感じました。
これからは蓄積されたデータの上でAIが動き出します。それぞれの企業のAI同士が会話し、業務やデータを連携させ、さらにAIが双方にとって最適解を導き出す。そんな世界がいよいよ到来します。私たちは、この新たな物流のあり方をAI-Driven Logistics(ADL)」と名付けました。
ADLによって、長年「昭和から変わっていない」と言われてきた物流インフラを生まれ変わらせる。そして、社会に持続可能な価値を提供していく。
そんな未来を、皆様と創っていきたいと考えています。
「Hacobu X」及びシステムインテグレーション「Hacobu Solution Studio」の概要はこちら>
>システムインテグレーション・AI導入支援 Hacobu Solution Studioご紹介 | 株式会社Hacobu
※1 このように物事の意味と関係性を定義する仕組みは「オントロジー」と呼ばれます。Hacobuはこれを物流AI基盤の中核技術として活用しています。
※2 利用事業所数とは、MOVO導入拠点に加えて、MOVOを利用する事業所のIDを合計した数字。
※3 「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 提言」(国土交通省・経済産業省・農林水産省、2026年3月)。対策を講じない場合、2030年度に平均で約7%、最大で約25%の輸送力不足が生じうると再検証されています。
※4 人工知能戦略本部「バーティカルAI領域別戦略 中間とりまとめ」(2026年7月)。
※5 AI-OCR「MOVO Adapter」(2026年2月)、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」のAI配送計画機能(2026年8月)、請求突合サービス「MOVO Billing」、契約・運賃管理サービス「MOVO Contract」(2026年9月)を続々リリース。
株式会社Hacobuについて
Hacobuは、「運ぶを最適化する」をミッションに掲げる物流AIインフラカンパニーです。クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズを通じて、荷待ち問題の解決から配車業務の効率化まで、物流現場の課題に応えています。
Hacobuは、コンサルティングとシステムインテグレーション事業を通じて、物流のAIトランスフォーメーションを構想から実装まで支援します。特に輸配送システム領域で多数の実績を持ち、戦略策定からシステム構築まで一貫して伴走します。
URL:https://hacobu.jp/
設立:2015年6月30日
本社所在地:〒108-0014 東京都港区芝5-29-11 G-BASE田町4階
代表者:代表取締役社長CEO 佐々木太郎