60年を超える官能評価の最新研究。新しい判断軸を策定。慶応義塾大学大学院との共同研究、構造方程式モデリング分析実施。

専門職社員による官能評価の様子
株式会社ナリス化粧品(代表者:村岡弘義 本社:大阪市福島区)は、化粧品の使用感設定にあたり、マーケティングや社会調査、心理学などの分野でよく利用される「構造方程式モデリング」の分析方法を用いることで、これまでと異なる使用感設定方法を確立しましたので、以下にその内容をまとめます。
■研究の背景
当社は、1960年代から社内に化粧品の使用感や色味など、使用時や使用後に感じる感覚(官能)の評価を専門とする部門があり、社員がこの能力を取得することで、製品の使用感の向上に努めてきました。これまでに化粧品の継続使用には「使用感触」が最も影響するという研究や、化粧品使用時の「心地よさ、感性」を数値化する方法などを確立し学会発表を行うなど、独自の研究で使用感設定の精度向上に取り組んできました。
一方で、当社は長いものでは1980年からリニューアルを繰り返し継続しているスキンケアブランドなど、数十年に渡り愛用者が存在するブランドも多く存在しています。長く続くブランドであればあるほど、リニューアル時の使用感設定においては、既存品や既存ユーザーの影響を受けることが多く、新しい使用感を設定することが困難な環境であることが課題でした。より客観的なプロセスで使用感設定することで、より多くのユーザーに「心地よい」と感じてもらえる処方を開発するためにこの研究に取り組みました。なお、この研究は慶應義塾大学大学院経営管理研究科の井上哲浩教授の指導により実現したものです。
■研究内容
社員アンケートで化粧品を評価する言葉を収集し、収集できた言葉を因子分析の手法で体系的にまとめました。アイテムにより収集できた言葉の数は異なりますが、例として当社の個性的な化粧水で、角質をふきとることと潤いを与えることができる化粧水の「オールパーパスローション」では、評価語が989語、まとめると31語になりました。モニターに実際に使用テストとその言葉を使用したアンケートを実施し、構造方程式モデリングで分析をしました。統計モデルの構造をビジュアルで分かりやすく表現することが可能となったことで、評価に大きな影響を与える言葉は何なのかがこれまでよりも容易に判断できるようになりました。

構造方程式モデリングのイメージ
■今後の展望
今回、使用感設定に新しい評価方法を確立できたことは、これまで専門の評価者が判断するとしても、曖昧さがあった評価基準を客観的にすることに成功するだけでなく、立場や官能感覚の異なる社員同士が向かう方向について意思統一することにも大きく役立ち、結果的に開発期間を短縮することにもつながりました。官能評価は触覚や臭覚や視覚を研ぎ澄ますことだけでなく、言葉の感覚を磨くことでもあります。当社が2022年10月に40代~60代の約2,000名の女性を対象にした調査では、スキンケアの継続使用には「使用感の良さ」が重要だと答えたのは97%、また、使用している化粧品の使用感に満足している人ほど「幸せ」だと感じる傾向があることも分かっています。エモーショナルな感情が重視される昨今ですが、今回得られた多くの言葉と新しい分析方法は大きな財産であり、今後多くのアイテムで活用することで満足度の高い製品開発に活かします。