子どもの感染も過去最少に
※本信は、ユニセフ本部の発信情報をもとに日本ユニセフ協会が作成・配信しています。
※原文は http://www.unicef.org/media/media_85908.htmlでご覧いただけます。
【2015年10月23日 ニューヨーク/ジュネーブ発】
10月24日は「世界ポリオデー」。生涯にわたり麻痺を引き起こす可能性がある感染症-ポリオの根絶に長年取り組んでいるユニセフ(国連児童基金)は、明日の世界ポリオデーに先立ち、ポリオに感染した子どもの数と、ポリオ常在国の数が、かつてないほど減少したと発表。しかしポリオ根絶の達成まで予断は許されないと併せて強調しました。
ユニセフ本部のピーター・クローリー事務局長首席アドバイザー(ポリオ担当)は、「ポリオ根絶へ向けた取り組みは、現実に飛躍的な前進を見せています。現在、野生株ポリオウイルスが継続的に確認されているポリオ常在国は、アフガニスタンとパキスタンの2カ国のみとなりました。これは大いなる前進であるものの、世界のすべての子どもたちが、継続的かつ定期的にポリオの予防接種を受けない限り、ポリオの脅威は消えることはありません。予防接種を受けていない子どもが一人もいなくなるまでは、気を緩めることはできず、私たちは活動を続けなければならないのです」と述べています。
わずか3年前、世界のポリオ感染症例の半数以上は、ナイジェリアで確認されていました。しかし、今年7月には、ナイジェリアで史上初めて、最後の野生株ポリオの確認から1年経過したことが発表され、先月「ポリオ常在国」リストからナイジェリアが外れました。その素晴らしい快挙によって、ナイジェリア、ひいてはアフリカ地域が、「ポリオのない世界」への実現にかつてないほど近づいています。
かつて毎年何千人もの子どもたちがポリオによる麻痺に陥っていたインドでは、ポリオの感染症例がゼロになって4年が経過します。世界的に見ても、27年前の1988年には年間35万件だったポリオ感染症例が、2014年には242件までに減少、さらに2015年にいたっては、年初から現在まで確認されたのはたった51件です。
これらの成果をもたらしたのは、ポリオの影響を受けている国々における、政治的意思と政府のリーダーシップ、コミュニティによる積極的な活動や参加、最前線で活動する人々の勇気と献身、そして「世界ポリオ根絶のためのイニシアチブ*」(GPEI:Global Polio Eradication Initiative)に関わるパートナーたちの協力の結集なのです。
ユニセフは、このイニシアチブへの協力の一環として、2014年には17億回分のワクチンと、パキスタンからナイジェリアに及ぶ地域で予防接種を行う何万人もの保健員の研修を実施しました。この研修は、子どもたちの両親やコミュニティが予防接種に対する不信感や警戒を無くし、信頼を得る手助けとなっています。その他の成功要因としては、特に最も支援が届き難く、最もリスクの高い地域において、子どもたちの命を守るために、定期的な予防接種や栄養支援、石けんを使った手洗いの普及、母乳育児支援を、ポリオの予防接種キャンペーンに合わせて実施してきたことです。
この前進にも関わらず、ラオスやウクライナ、ギニア、マダガスカルなどの国々で発生した ワクチン由来ポリオウイルス(vaccine-derived poliovirus;VDPV)の近年の流行は、多くの国々が、定期的な予防接種の普及率の低さに因るリスクに、引き続き晒されていることを強調しています。これらの流行は、定期的な予防接種システムの強化へ向けた一層の努力が必要不可欠なことと、子どもたちの間で基本的な保健ケアへのアクセスに格差が存在するという事実を、再び私たちに突き付けています。
「来年のポリオデーまでに、世界のポリオ感染をストップさせることを目指しています。そのためには、予防接種率が低い国々において、どんな困難があろうとも、すべての子どもたちに予防接種を届ける一層の努力が必要なのです」(クローリー首席アドバイザー)
* * *
■世界ポリオ根絶のためのイニシアチブ*
各国政府とWHO、ロータリー・インターナショナル、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、ユニセフによる世界ポリオ根絶のためのイニシアチブは、ビル&メリンダ ゲイツ財団やイスラム開発銀行、そのほかの官民セクターからの支援を受けて活動しています。1988年以降、世界ポリオ根絶のためのイニシアチブは、世界でのポリオを99%削減しています。
* * *
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)