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株式会社 日立製作所

内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期課題」の「サーキュラーエコノミーシステムの構築」において、AI技術の研究開発を推進

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再生プラスチックの品質評価・劣化診断により、業種横断でのサーキュラーエコノミー実現に貢献

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(以下、SIP)*1における、第3期課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」(以下、本テーマ)*2において、再生材利用拡大のための再生材品質向上、品質評価装置の開発(以下、本研究開発)に取り組みます。本テーマは、東京大学特別教授の伊藤耕三氏がプログラムディレクターを務め、推進するものです。
 本研究開発では、再生プラスチックの製造現場から得られるインラインセンサーデータ*3と、材料分析データを活用し、従来の検査方法では把握が難しかった再生材の特性や物性のばらつきの評価に加え、劣化状態の把握・診断を行うAI技術の研究開発を推進します。日立は、これまで培ってきたマテリアルズ・インフォマティクス(MI)や計測・分析技術、データ解析技術に加え、実世界(フィジカル空間)で取得したデータを活用して材料の状態を高精度に理解・予測するフィジカルAI*4の知見を生かし、品質ばらつきの可視化や劣化状態の把握をめざします。これにより、再生材の信頼性向上に貢献するとともに、品質情報に基づく適材適所での活用を可能にし、業種横断での再生材利用拡大とサーキュラーエコノミーの実現に貢献します。

本研究開発のイメージ図

*1 内閣府が主導する国家プロジェクトであり、府省や分野の枠を超えて、基礎研究から社会実装までを見据えた研究開発を推進するもの。
 詳しくは、戦略的イノベーション創造プログラムとは|SIP|独立行政法人環境再生保全機構 を確認。
*2 本テーマは令和5年度から令和9年度まで5年間で推進するもの。日立は後半2年間の令和8年度から取り組む。
*3 製造ライン上で取得されるセンサーデータ。材料の状態や成分、製造条件などを、生産工程を止めることなく連続的に計測できるため、抜き取りではなく製造工程全体を対象とした品質評価に活用できる。
*4 現実世界で取得したデータを活用し、対象の状態を理解・予測・最適化するAI技術。本研究開発では、リサイクルプロセスや材料分析から得られる実データを活用し、再生材の品質評価の高度化をめざす。

■背景
 近年、気候変動への対応や資源制約の高まりを背景に、製品や資源を循環的に利用するサーキュラーエコノミーへの移行が世界的に進んでいます。特に欧州では、ELV(End-of-Life Vehicles)規則*5により、2036年までに新車への再生プラスチック25%以上の利用が義務化されています。こうした需要の拡大に対応するためには、自動車由来の再生材だけでなく、家電や容器包装など他分野由来の再生材も活用しながら、業種横断でサーキュラーエコノミーを進めていくことが重要となっています。
 一方で、再生プラスチックは回収元や使用履歴、製造工程などによって品質が大きく異なり、強度や流動性、劣化状態などにばらつきが生じます。特に、自動車や家電などの高品質用途において、家電や容器包装など異なる製品・業種由来の再生材を活用する業種横断型循環を実現するには、再生材の品質や特性を把握し、用途に応じて適切に活用することが重要です。
 しかし、従来は製造ロットの一部を抜き取って検査する方法(抜き取り検査)が一般的であり、ロット全体の品質ばらつきを十分に把握することは困難でした。そのため、業種横断で再生材活用を拡大するためには、再生材の品質を効率的かつ客観的に評価する技術が求められています。
 このような課題の解決には、技術開発だけでなく、産学官が連携しながら社会実装を見据えた取り組みを進めることが重要です。本テーマにおいても、SIPのもと、さまざまな研究機関や企業が連携し、再生プラスチックのサーキュラーエコノミーシステムの構築に取り組んでいます。日立は、本研究開発を通じて、再生材の品質評価・劣化診断技術の高度化を担い、再生材利用拡大とサーキュラーエコノミーの実現に貢献します。
*5 欧州において使用済み自動車の回収・リサイクル促進やサーキュラーエコノミーの高度化を目的として8月13日に発効された。

■本研究開発の特徴
 本研究開発は、SIPの他参画機関と連携して推進するものです。日立は、これまで培ってきたマテリアルズ・インフォマティクス(MI)*6や計測・分析技術、データ解析技術などの知見を生かし、再生材の製造・評価工程で取得される実データを用いて、再生材の特性・物性のばらつき評価や劣化診断を行うAI技術の研究開発を推進します。本研究開発の主な特徴は以下のとおりです。

(1)再生材の品質ばらつきを高精度に把握する品質評価AIの開発
 使用済みプラスチックを再利用しやすい粒状原料(リペレット)に加工する工程で取得される製造条件や、各種インラインセンサーデータを活用し、再生材の品質や特性のばらつきを予測する品質評価AIの研究開発に取り組みます。これにより、従来の抜き取り検査では把握が難しかったロット内の品質ばらつきを、製造工程の段階で網羅的に評価し、再生材の品質をより高精度に把握することをめざします。

(2)再生材の劣化状態を解析する劣化診断AIの開発
 オフラインで取得した材料分析データや特性評価データを活用し、再生材の劣化状態や品質変動の要因を解析する劣化診断AIの研究開発に取り組みます。SIPの他参画機関との協働により得られる分析・評価結果も活用しながら、解析AIによる診断結果を推論AIへフィードバックすることで、品質予測モデルを継続的に高度化し、品質予測や品質評価のさらなる精度向上を図ります。

(3)品質情報に基づく再生材活用の支援
 品質評価AIによる品質評価結果と、劣化診断AIによる診断結果を活用し、再生材の品質や特性をデータに基づいて分類するソーティング*7を可能にする仕組みの構築をめざします。これにより、再生材ごとの品質情報を活用した適材適所での利用を支援するとともに、再生材の信頼性向上や利用拡大に貢献します。
*6 材料分野のデータとAI・情報科学を組み合わせ、材料特性の予測や材料開発の効率化を行う技術。
*7 材料の品質や特性等に基づいて選別・仕分けを行うこと。

■本研究開発の推進体制
 本研究開発は、各分野の専門性を有するSIPの他参画機関と連携して実施します。
 国立大学法人東北大学および国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下、NIMS)は、放射光施設などを活用した高度分析や環境試験を通じて、再生プラスチックの劣化・品質変動メカニズムの解明を担当します。SIP参画機関の支援により日立は、これらの知見を活用した計測技術およびインライン計測システムの開発を担い、取得したデータを基に、NIMSと日立がトレーサー技術やデジタル解析基盤、フィジカルAIを活用した品質評価・劣化診断技術を開発します。さらに、株式会社相田商会が材料や装置の提供を通じて実環境でのデータ取得と技術実証を行い、研究成果の有効性を検証します。
 このように、基礎的な現象解明から計測、AIモデル構築、現場実証までを一貫して推進することで、再生プラスチックの品質安定化と循環利用の高度化をめざします。

本研究開発の推進体制イメージ図

■今後の展開
 日立は2026年度から2027年度にかけて品質評価AIの開発と精度検証を進め、2027年度以降は、蓄積したデータを活用した劣化診断AIの開発に取り組みます。また、本研究開発では、まず品質のばらつきの少ない工場内で発生した製造工程由来の再生材(PIR)の評価技術の開発を進めます。これら技術やノウハウを生かし、将来的には回収された使用済みプラスチック由来の再生材(PCR)への適用拡大も検討します。
 日立は本研究開発を通じて、再生プラスチックを単に再資源化するだけでなく、品質情報に基づいて適切な用途へ活用できる仕組みの実現をめざします。これにより、自動車や家電など異なる分野由来の再生材を活用する業種横断型循環の促進に貢献します。
 さらに、本研究開発で取り組むインライン計測とAIを活用した技術は、再生材にとどまらず、新材料の開発や量産立ち上げへの応用も期待されます。日立はこれらの成果の社会実装および事業化をめざし、サーキュラーエコノミーと産業競争力の両立に貢献していきます。

■SIP第3期課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」について
https://www.erca.go.jp/sip/index.html

日立製作所について
 日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。

お問い合わせ先
株式会社 日立製作所
公共システム営業統括本部 カスタマ・リレーションズセンタ
https://www.hitachi.co.jp/public-it-inq/

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