今年7月末に刊行されるやいなや、多数の紙誌・webで書評に取り上げられ、版を重ねている、永嶋恵美さんの文庫書下ろし大作『檜垣澤家の炎上』が、年末の各種ランキングで、いま脚光を浴びています。
『おすすめ文庫王国2025』(本の雑誌社)国内ミステリー (選者・宇田川拓也氏)第1位!
『このミステリーがすごい!2025年版』(宝島社)国内編 第3位!
『週刊文春ミステリーベスト10 2024』国内篇 第4位 !
「ミステリが読みたい!2025年版」(早川書房)国内篇 第4位!
『おすすめ文庫王国2025』「本の雑誌が選ぶ2024年度文庫ベストテン」第7位!
永嶋恵美さんの書き下ろし長篇ミステリ『檜垣澤家の炎上』が、2024年のエンターテインメント小説を総括する各種ランキングで高い評価を得ています。
横濱で知らぬ者なき一族、檜垣澤家。養蚕業を軸に一代で富を築いた貿易商である。当主要吉の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られた。商売の舵取りをする大奥様スヱ。互いに美を競い合う、郁乃、珠代、雪江の三姉妹。檜垣澤は女系が統治していることをかな子は知る。そしてある夜、婿養子・辰市が不審な死を遂げる。多くの男女使用人に支えられた豪奢な暮らし、スヱの舵取りで巧みに進められる政略結婚、新たな利益を得るための陸軍との交渉。策謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた殺人事件の真相と一族が封印してきた恐るべき真実。『檜垣澤家の炎上』は、日本推理作家協会賞を受賞し、長篇や数々のアンソロジーでもその実力をいかんなく発揮されてきた名手・永嶋恵美さんが満を持して上梓した、まさに代表作です。作品の舞台は明治維新後に急速に発展した港町・横浜。出身地の上州からここに移り住み、生糸の輸出で成り上がった檜垣澤一族。頼る者がひとりもいない、否、周りはすべて敵の大邸宅の片隅に生活の場を得たのち、己の頭脳だけを武器にサヴァイブしてゆくかな子の姿は多くの読者から喝采を浴びました。
著者は女性同士に生じる葛藤を描くことで高い評価を得てきましたが、この小説に登場するのはいずれも個性溢れる女たち。美しさ、高慢、嫉妬、策略。彼女たちそれぞれの生き方は大きな読みどころです。勢力では劣りますが、男たちも大きな鍵を握っています。一族ものの王道を歩みつつ、近代日本を揺るがせた重大事件や大災害、日本軍の動向などとも密接にかかわる物語。『檜垣澤家の炎上』──2024年を代表する長篇ミステリです。
■ 書籍内容紹介
横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは――。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。
【解説=千街晶之】
■ 著者紹介
永嶋恵美(ながしま・えみ)
1964(昭和39)年、福岡県生れ。広島大学卒。1994(平成6)年、「ZERO」でジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、映島巡のペンネームでデビュー。ゲームや漫画のノベライズなどを手掛ける。その一方で、永嶋恵美として、エンターテインメント小説を執筆。2004年に発表した『転落』が大きな注目を集める。2016年、「ババ抜き」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。ほかに、「泥棒猫ヒナコの事件簿」シリーズ、『せん-さく』『一週間のしごと』『明日の話はしない』『視線』『なぜ猫は旅をするのか?』『ベストフレンズ』などの作品がある。2024(令和6年)、『檜垣澤家の炎上』で第七回書評家・細谷正充賞を受賞。現在、同作の続編を執筆中。
■ 書籍データ
【タイトル】『檜垣澤家の炎上』
【著者名】永嶋恵美
【発売日】2024年7月29日
【造本】文庫版
【定価】1,210円(税込)
【ISBN】978-4-10-105451-3
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/105451/