沖縄の新たなランドマークへ。リゾート設計で培った素材研究を那覇の街なかへ持ち込む、HOKULEAの新たな挑戦

「世界の目的地を、創るリゾートクリエイター集団」をフィロソフィーに掲げ、ホテル・旅館の建築設計監理・デザインを専門とする一級建築士事務所、HOKULEA株式会社(本社:沖縄県那覇市、代表取締役社長:大出真裕)は、建築設計・デザインを進めてきた沖縄県那覇市久茂地の複合ビル(事業主:株式会社マリモ/施工:上門工業株式会社)が上棟を迎えたことをお知らせいたします。併せて、本プロジェクトの完成予想図を初公開いたします。本プロジェクトは、延床面積約7,319平方メートル 、地上14階建て、最高高さ約56.8mを誇る、沖縄の新たなランドマークとなる複合ビルです。2024年夏頃の設計着手より順調に工事が進捗しており、2027年2月末の竣工を予定しています。

上棟済みの建物外観
設計の起点-那覇の中心地で効率的な箱ではなく、街と共進化する建築を
沖縄県那覇市久茂地は、国際通り、県庁、ビジネス街に隣接する那覇市街の中心エリアです。本プロジェクトの敷地約915平方メートル には、かつてホテルが建っていました。その土地の記憶を受け継ぎ、新たに立ち上がるのが、地上14階建て(1~3階:飲食テナント、4~14階:事務所テナント)の複合ビルです。
延床面積約7,319平方メートル の規模を持つ本プロジェクトにおいて、収益性を最大化したシンプルな箱型のオフィスタワーを建てる選択肢もありました。しかしHOKULEAは、別の道を提示しました。那覇の中心地に新たな建築を刻むからこそ、土地の歴史と未来を接続し、長い時間をかけて地域と共に育っていく存在にする。それが設計の起点となりました。
特に本プロジェクトが位置するのは、沖縄一の交通量と人流を誇る交差点です。だからこそ、行き交う人々がふと見上げたときに、驚きと潤いを感じられるような景色をつくりたいと考えました。「那覇の中心地で、これほどゆとりある建築が可能なのか」という良い意味での裏切りが、都市に新しい価値をもたらします。
奇をてらった新しさではなく、元々この土地にあったかのような自然の装いをまとわせながら、これからの那覇の街にゆとりを生み出す。この方針こそが、HOKULEAが本建築に込めたランドマークとしての定義です。

低層部の左官仕上
ファサード設計-「自然をまとう」建築と、経年で深まる表情
「街にゆとりと驚きを生み出す」という設計思想を具現化したのが、ファサード(外観)に施した「自然をまとう」というデザインコンセプトです。魅力的な亜熱帯庭園都市を目指す方針を掲げている那覇市のセントラルエリアにおいて、緑豊かな環境が整備されている那覇市役所やパレットくもじと共鳴し合うような、亜熱帯庭園をもつ新たなランドマークをつくります。
ここで目指したのは、人工的な建造物を唐突に置くことではなく、まるで沖縄の広大な大地から「にょきっと地面から生えてきた」かのような、自然の地層や生命力を感じさせる佇まいです。
★視点と距離で変わる、外壁のテクスチャー
ファサードでは、低層部と高層部で異なるアプローチを採用しました。歩行者の視線が直接届く低層と、街並みのなかから遠景として認識される高層は、それぞれ別の言語で設計する必要があります。
・低層部(1階~3階:歩行者の距離)
沖縄の赤土や琉球石灰岩を想起させる、表情豊かな左官仕上げとしました。沖縄の土と石が持つ特有の色彩と質感を、職人の左官技術によって表面に力強く立ち上げています。
・高層部(4階~14階:街並みからの遠景)
複数色をミックスした特殊塗装技法を用いています。樹幹(樹木の幹)や風化した岩肌を想起させる有機的なテクスチャーが、那覇の空の下で建物の輪郭を印象的に描き出します。
これらはすべて、沖縄のヴァナキュラー(土着的)な建築文脈の現代的解釈という、一つのシームレスな建築言語です。
★ 建築と統合された緑化と「経年優化」
3階の中空階テラスや、一部のオフィス階に設けたプライベートテラスには、建築と一体となった緑化システムを計画しました。建築の構造そのものとしてシームレスに植栽用の鉢を造り込み、そこに高度な緑化システムを統合するという、HOKULEAならではの設計アプローチです。
建物そのものが那覇の新たな生態系の一部として機能するよう設計されたこのテラスは、テナントとして入居する企業のワーカーや、低層部の飲食店を訪れる人々が、街の中心にいながらにして自然と地続きで接点を持てる憩いの空間となります。沖縄の大自然が持つリズムと、オフィス・飲食という日常のリズムが、同じ建築の中で心地よく共鳴し合う構造です。
時間の経過と共に植栽は瑞々しく成長し、外装の左官や特殊塗装は風雨を経てその表情を変えていきます。竣工した日が最も美しい建築ではなく、5年後、10年後と時間を味方にしながら、より深く、味わい深い表情へ育っていく建築を設計段階から仕込む。HOKULEAが大切にするこの「経年優化」の思想を、那覇の街なかという都市スケールで大胆に実装しています。


内装デザイン-「明暗のコントラスト」がもたらすマインドフルネスと、素材研究の拡張
那覇の交差点に現れた「自然の佇まい」は、建物の内部へと進むにつれて、五感を研ぎ澄ますドラマチックな体験へと変わっていきます。私たちが仕掛けたのは、都会の喧騒から一瞬でマインドを切り替えるための、美しい光と影の演出です。
★ 思考を切り替える、ホテルライクな低照度空間
本プロジェクトのオフィスフロアは、全面から豊かな自然光が差し込む「非常に明るい空間」として設計されています。だからこそ、1階のエレベーターホールや各階のトイレといった共有スペースは、あえて照度をぐっと絞った「ホテルライクな落ち着きのある空間」としました。都会のビジネスパーソンが、オンタイムの緊張感からふっと解放され、内省し、気持ちをスマートに切り替える(マインドセットする)ための設えです。
★ 沖縄の赤土でつくる、陰影の美
空間を包み込むのは、沖縄の美しい「赤土」からインスピレーションを得た、温かみと重厚感を併せ持つ色彩とテクスチャーです。1階エレベーターホールでは、まるで沖縄の大地が刻んできた地層そのものを切り取ったかのような、ダイナミックな左官の版築壁が訪れる人々を厳かに迎え入れます。また、各階のレストルームでは仕上げに赤土の色彩をサンプリングし、間接照明がその有機的な陰影を美しく浮かび上がらせる、圧倒的な非日常感を演出しています。
★ バガスクリート - リゾートで重ねた素材研究を、街なかへ
さらに、これら内装の意匠壁の一部には、サトウキビの副産物であるバガス(搾りカス)を混合した左官で、HOKULEAが「バガスクリート」と呼ぶ独自の建材を採用しています。バガスクリートは、当社が「JIVANA宮古島」をはじめとする複数のリゾートホテル案件で研究・開発・実装を重ねてきた、思い入れの深い素材です。本プロジェクトでは、そのリゾート設計の知見を、那覇の街なかという都市型の建築スケールへと拡張させました。
背景にあるのは、沖縄県が長年抱えてきた廃棄物の課題です。沖縄県では年間およそ18万トンを超えるバガスが発生しますが、そのうち約11%にあたる年間約2万トンが未活用のまま処理されてきました。古来、沖縄の建築(ヴァナキュラー建築)は、琉球石灰岩や赤土、漆喰、そしてサトウキビなど、この土地の素材と亜熱帯の気候条件から逆算して形作られてきました。バガスクリートは、この伝統的な思想を現代の建築に翻訳し直す試みです。
「ヴァナキュラー建築の現代的解釈」とは、伝統的な見た目を単に模倣することではなく、土地固有の素材と思想を、今のスケールと機能、と社会課題に翻訳すること。沖縄で年間2万トン捨てられている繊維が、那覇の街なかのオフィスや飲食店の美しい壁の表情へと生まれ変わる。循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実践と、沖縄の建築文化の継承を、このバガスクリートという一つの素材によって同時に実現しています。

プロジェクト体制 - 事業主・設計監理・施工
本プロジェクトは、株式会社マリモが事業主、HOKULEA株式会社が設計監理、上門工業株式会社が施工を担っています。
株式会社マリモは、広島を本社に持つ不動産総合デベロッパーです。1970年に設計事務所として創業し、分譲マンション・収益不動産・市街地再開発・ホテル事業まで、住まいと土地に関わる事業を半世紀以上にわたって展開してきました。本プロジェクトでは、事業主として那覇の中心地での複合施設をリードしています。
上門工業株式会社は、沖縄市に本社を構える総合建設会社です。1966年の創業以来、沖縄県内で建築・土木・鉄工の現場を担い続けてきました。「自然あふれる沖縄の青い海、青い空を守る」を基本理念に掲げる地元企業として、本プロジェクトの施工を担っています。
HOKULEA株式会社は、沖縄を拠点に「世界の目的地を、創るリゾートクリエイター集団」を掲げる一級建築士事務所。ホテル・旅館の建築設計を専門とし、国内外で多様なプロジェクトを展開。土地の土着性(ヴァナキュラー)を活かした空間づくりや、サトウキビの搾りカス(バガス)等を用いた独自素材の研究・実装に注力しています。

右からHOKULEA大出、マリモ佐々木執行役員、上門工業上門信太郎社長(地鎮祭の様子)
HOKULEA株式会社 代表取締役 大出 真裕 コメント

HOKULEA株式会社代表取締役 大出 真裕
私たちHOKULEAは、「世界の目的地を、創るリゾートクリエイター集団」として、その土地固有の自然や文化をいかにして現代の空間へと翻訳するか、という問いに向き合い続けてきました。
今回のプロジェクトは、私たちがリゾートの最前線で培ってきたその知見を、那覇の中心地・久茂地という都市型の建築へスケールアップさせる、エポックメイキングな挑戦です。
都会の限られた敷地では、得てして収益性を最優先した効率的な「箱」が量産されがちです。しかし、沖縄一の交通量と人流を誇るこの重要な交差点に、ただ機能的なビルを建てるだけではあまりにももったいない。私たちは、この場所に良い意味での「ゆとりのある裏切り」を仕掛け、都会の喧騒のなかで行き交うすべての人々に、驚きと潤いを提供したいと考えました。
伝統の見た目を単に模倣するのではなく、土地固有の素材や眠っていた価値を、現代の機能と社会課題に合わせて見事に仕込む。それが、私たちが考える『沖縄の建築の、これからのあり方』です。
完成した日がピークではなく、5年後、10年後と時間を味方にしながら、より深く、味わい深い表情へ育っていく。この新しいランドマークが、那覇の街に新たな風景をつくり出し、これからの沖縄の持続可能な未来を象徴する場所となることを確信しています。
上門工業株式会社 会長 上門 信孝 コメント
弊社は1966年の創業以来、沖縄県内で建築・土木・鉄工を主体とする総合建設業として、地域に根ざした歩みを続けてまいりました。
本プロジェクトは、鉄骨造地上14階建て、高さ約56.8mの規模を有し、低層部の左官、高層部の特殊塗装、内装のバガスクリートなど、施工の精度が建築の表情を直接決める要素が多い案件です。敷地面積に対し、建築面積の比率が高く、建築物の4面が道路という難易度の高い特殊な施工現場でありながら、鉄骨の建て方においてボルト締め100%を達成し、高精度な施工を実現いたしました。また、HOKULEAの設計意図を現場で確かな形にするために、職員一同、そして協力会社の皆様とともに、一丸となって施工に邁進してまいりました。
こうして無事上棟を迎えることができましたのは、那覇・久茂地の近隣の皆様の格別のご理解とご協力があったからにほかなりません。建設工事に伴う音や車両の出入りなど、日々の生活へのご負担にもかかわらず、温かく工事を見守ってくださったことに、施工を担う者として深く御礼申し上げます。2027年1月の竣工に向けて、引き続き安全と精度を両立した施工を進めてまいります。
プロジェクト概要
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/185291/table/5_1_cab2702bd8e18a8fc1ce847cc8dea315.jpg?v=202607080245 ]
HOKULEA株式会社について
HOKULEA株式会社は沖縄を拠点に「世界の目的地を、創るリゾートクリエイター集団」をフィロソフィーに掲げ、ホテル・旅館の建築設計・デザインを専門とする一級建築士事務所です。リゾート、ホテル、商業ビル、ブリュワリー、オフィスなど大小様々なプロジェクトを国内外で手がけています。土地や習わしが持つ土着性に着目し、人がふと笑顔で居られる視点や景色、体験、価値観を大切に活動しています。バガス(サトウキビの搾りカス)や土といった素材の研究・開発と、実プロジェクトへの実装を並行して進めています。
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/185291/table/5_2_daa4714f3b75039f9b925227af3345db.jpg?v=202607080245 ]
株式会社マリモについて
[表3: https://prtimes.jp/data/corp/185291/table/5_3_04a8d7bcfff2a8f4f9e2f6afeb67b362.jpg?v=202607080245 ]
上門工業株式会社について
上門工業株式会社は、1966年に沖縄市で創業した総合建設会社です。サッシ・シャッター取付工事業からスタートし、本土復帰の時代に鉄骨工事業へと事業を拡大、1978年の特定建設業許可取得を機に建築・土木工事へと進出しました。現在は「建設・土木・鉄工」を主体とする沖縄県の総合建設業として、官公庁工事から民間建築まで幅広く手がけています。企業理念は「物心両面の幸せ」「人の思いを大事にする」。
[表4: https://prtimes.jp/data/corp/185291/table/5_4_e8505662597a494879ac399e6d96ad6e.jpg?v=202607080245 ]