ニュース、トレンド、推し活まで――幕末明治を駆け抜けた絵師たちと、激動の時代をしなやかに生きる人々の姿。 粋と美と熱量が交差する「日本エンタメの神髄」を、ぜひ展覧会と図録でご体感ください!

約260年続いた江戸時代が幕を閉じ、近代という「新しい時代」へと歩み始めた日本。社会が大きな転換期を迎えるなか、江戸の伝統を受け継ぐ浮世絵は、変わりゆく世相、そして「いま」をいち早く人々に伝えるマスメディアとしての性格を強めていきました。

浮世絵師たちは鋭い感性と卓越した技術で、社会の大きなうねりを捉えて作品化し、世へ発信しました。そのスピード感や、画面に詰め込まれた情報の濃度、斬新な構図や新鮮な色使い、そしてユーモアも滲む表現の数々は、現代のSNSと比較してもなお圧倒的なエネルギーに満ちあふれています。さらに、歌舞伎界のスターを描く役者絵やヒーローたちが活躍する武者絵なども人気を博し、浮世絵は当時の身近なエンタメとしても庶民に親しまれました。

本書では、歌川国芳、月岡芳年、落合芳幾、河鍋暁斎らスター絵師24人による多彩な作品を、4つのテーマでご紹介します。時代を超え、現代に生きる私たちにも驚きを与える、彼らのどこか現代的で新鮮な作品群にもご注目ください。
本書でご紹介する129点の優品は、大阪の書店主・浅井勇助氏が明治30(1897)年頃から収集した「浅井コレクション」(約3万枚・1万揃)から厳選されたものです。初摺の作品が多く、豊かな色彩や鮮明な線描が当時のまま保たれている点も大きな魅力です。
デジタル時代の今だからこそ、すべて人の手によって生み出された浮世絵の圧巻の表現世界をご堪能いただける、必見の一冊です。
・ずらり、天才絵師24名の個性と魅力を掴む!落款付き絵師紹介
生涯でいくつもの号や「落款(サイン・印影)」を使い分けていた浮世絵師たち。画面のどこに描かれているかを探したり、絵師ごとの趣向を凝らしたデザインを読み解いたりするのも、浮世絵ならではの醍醐味です。学芸員によるわかりやすい解説とともに、スター絵師24名の知られざる素顔とドラマチックな生涯に迫ります。

・第1章 「新」時代を捉えた絵師たちーーメディアとしての浮世絵
明治維新による欧化政策で、都市風景や人々の生活様式も大きく変化しました。絵師たちは、文明開化の様子を描いた「開化絵」や、輸入化学染料による鮮やかな「赤絵」など、新たなモチーフや画材に果敢に挑戦しました。さらに、鋭いユーモアと批判精神も滲む「風刺画」は、激動する社会のうねりや人々の本音を映し出しました。変わりゆく時代の「いま」を伝え、ときに批評する、マスメディアとしての浮世絵に迫ります。

・第2章 四季を描いた絵師たちーー名所絵・美人画を中心に
浮世絵には、四季の移ろいや人々の暮らしを伝える「季節の便り」という側面もありました。現代でいう「四季のトレンドマガジン」のような存在でしょうか。
季節感を感じさせる色合いや風情ある情景が描かれた作品からは、四季折々の催しを心から楽しむ人々の様子が伝わってきます。作品の細部まで目を凝らすと、市井の人々の微笑ましいやりとりや、着物の模様の描き分けまで、絵師たちの細やかな工夫が感じられます。

・第3章 スターを描いた絵師たちーー役者絵を中心に
江戸から明治にかけて、庶民が熱狂した娯楽といえば芝居見物でした。なかでも圧倒的な人気を集めたのが歌舞伎役者たちです。彼らの姿を捉えた役者絵は、現代のタレントグッズのような存在でした。役者絵は演目の内容や役者の個性を描き分けられただけでなく、当時の流行やファッションも取り入れられ、こぞって役者絵を手に入れた庶民の姿は、現代の「推し活」文化につながるかもしれません。


・第4章 エンタメを創造・奇想の絵師たちーー武者絵・歴史画を中心に
浮世絵の世界は、壮大なエンターテインメントが繰り広げられる場でもありました。力強いヒーローや怪しげな妖怪たちが、物語や歴史の舞台で縦横無尽に大暴れします。大胆な構図や鮮やかな色彩、効果線の巧みな表現もさることながら、観る者を惹きつけるのは際立つキャラクター性です。情報が溢れる現代の視点から見ても、浮世絵師たちの卓越した創造性と現実にはあり得ない世界を描ききる力には圧倒されます。当時の人々もまた、その凄まじい表現力に魅了されたに違いありません。


◎商品情報
『新!浮世絵展 幕末明治の天才絵師たち』
対象:美術全般
発売日:2026年7月25日
定価:3,300円(税込)
企画:TOPPAN
学術監修:樋口一貴(十文字学園女子大学教授/国際浮世絵学会 常任理事)
浅井秀(浅井コレクション 四代目)
執筆:樋口一貴/岩本成美(愛媛県美術館 学芸員)/長井健(愛媛県美術館 学芸員)/西田桐子(兵庫県立美術館 学芸員)/八島伸(東北歴史博物館 技師)/山下理恵(北九州市立美術館 学芸員)
デザイン: 永松大剛
発行:株式会社求龍堂
印刷:株式会社サンエムカラー
◎主な仕様
主な仕様:並製本、A4判(297×225mm)、160頁
◎展覧会情報
「新!浮世絵展 幕末明治の天才絵師たち」
愛媛県美術館
2026年7月25日(土)~9月13日(日)
主 催:新! 浮世絵展愛媛実行委員会(愛媛県、愛媛新聞社)
共 催:愛媛CATV
協 賛:伊予銀行、大王製紙
兵庫県立美術館
2027年3月20日(土)~5月23日(日)
主 催:兵庫県立美術館、読売新聞社
協 賛:公益財団法人伊藤文化財団
特別協力:公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部
東北歴史博物館
2027年7月9日(金)~9月12日(日)
北九州市立美術館
2027年9月25日(土)~11月7日(日)
掲載情報は発行日現在のものです。

◎求龍堂について
求龍堂は1923年創業、2023年に創業100年を迎えた美術書出版社です。社名の求龍(きゅうりゅう)はフランス語の「CURIEUX」からとったもので、「芸術的あるいは知的好奇心を求める」「常に新しきを求める」ことを意味し、名付け親は画家の梅原龍三郎です。東洋の「龍」に理想を求め、時代という雲間を縦横無尽に飛び交いながら、伝統美からアート絵本まで、常に新たな美の泉を発掘すべく出版の旅を続けています。
【会社概要】
社名:株式会社 求龍堂
本社所在地:東京都千代田区紀尾井町3-23 文藝春秋新館1階
代表取締役:足立欣也
創業:1923年
事業内容: 美術品・生活文化関連図書の出版、美術印刷物の企画製作、美術品売買
HP:https://www.kyuryudo.co.jp/