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セルビア、難民と認められずに帰国した者を保護しない方針

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セルビアのブチッチ首相は、9月7日、ドイツのメルケル首相との会談の中で、難民と認められずにセルビアに帰国する者から、社会的支援を受ける権利をはく奪する法の制定を考えていることを明らかにした。アムネスティは、国を逃れた原因である困窮状況をさらに深刻化させるものであり、セルビア憲法が禁止する差別に当たると、方針の見直しを求めている。

会談ではセルビアのEU加盟と難民問題などが話し合われ、メルケル首相はブチッチ首相に対し、今後ドイツが実施する施策をあらためて説明した。その中には、バルカン半島からの難民申請者に対する給付の削減も盛り込まれている。その大多数が、セルビアからの人びとである。ドイツは8月に、難民認定を受けられなかった最大9万人の難民申請者と非正規滞在者を、セルビアに送り返すと発表している。

EUとセルビアとのビザ自由化合意後、2010年から2014年の間にドイツで71,740人のセルビア人が難民申請手続きを行った。ほとんどが生活に困窮した人びとである。その85%を占めるロマ民族は、とりわけ社会的、制度的な差別を受け、失業率が高い。またアムネスティは、セルビアで強制立ち退きを受けたロマの人びとを調査したことがあるが、その多くは、代替の住居を提供されないため、国外に出るよりほかなかったということだった。

EU諸国からセルビアに送還される人びとに対する実効性ある支援や社会復帰支援策がなにもない状況では、最低限の社会サービスが得られず、多くの人びとがホームレスとなる恐れがある。今回発表された法律が導入されれば、経済的支援もまったくなくなる。

セルビアが、市民の流出を本気で思いとどまらせようとするのであれば、社会支援の削減ではなく、彼らを他国へと追いやっている元凶である人権侵害に対し、具体的な措置を講じるべきだ。ロマに対する社会的な差別への対処も必要だ。

また、EUとその加盟国は、欧州委員会でのセルビアの加盟審査過程の中で、同国がロマの権利を保障できるよう支援することを検討するべきだ。対象を絞った経済支援も考えられる。

さらにアムネスティは、EUが「安全な出身国」リストを作成しないよう求める。特定の国を「安全」と指定することは、個人の状況に基づいて審査するという、公平で効率的な難民申請手続きの根幹を損なう。そして多くの場合、保護の必要性を立証するために「安全な国」からの申請者に、過度な負担を強いることになる。また、出身国によっては事前に振り分けられて手続きから締め出され、最終的には送還されるという事態になりかねない。それは出身国に基づく差別であり、難民条約第3条に違反する。

関連記事:セルビアでのロマの強制立ち退き
http://www.amnesty.or.jp/news/2015/0410_5256.html

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