特集のほか、公開20周年を迎える、今敏監督による伝説のアニメーション『パプリカ』についての取材記事や、文芸評論家・三宅香帆さんが『萩尾望都スケッチ画集』全3巻を読み解くインタビューなども掲載されます。
株式会社新潮社は、雑誌「芸術新潮」2026年8月号を7月24日に発売いたします。巻頭特集は「マリー・アントワネット 王妃のファッション革命」です。悲劇の王妃? ワガママな浪費家? いえいえ、マリー・アントワネットは古い宮廷社会のなかで美意識を貫いた“18世紀のインフルエンサー”でした。絵画に描かれた装いや、服飾資料を手がかりに、「自分らしく生きたい」と願ったひとりの女性として、マリー・アントワネットを見つめ直します。8月1日に開幕する、横浜美術館の「マリー・アントワネット・スタイル」展のお供にもうってつけの特集です。

本特集のサブタイトルは「王妃のファッション革命」。 旧体制の象徴ともいえるマリー・アントワネットと「革命」という言葉は、一見すると結びつかないかもしれません。しかし、この言葉を選んだ理由は大きく二つあります。
一つは、18世紀後半のファッションがもっていた過剰なエネルギーです。プフで高く盛り上げた髪型、レースやリボンで飾り立てたドレス。そのトゥーマッチな装いについて、本特集にもご登場いただいた漫画家・磯見仁月さんは、当時抑圧されていた女性たちの思いが託されていたのではないかと語ります。そこには、現代のパンクにも通じる反骨の精神を見ることができるでしょう。
もう一つは、アントワネット自身が宮廷ファッションの常識を揺さぶったことです。コルセットやパニエを避け、ときにはスカートの裾をまくり上げ、ズボンも着用する。絹のドレスが当然とされた時代に綿布のシュミーズ・ドレス姿を披露し、物議を醸したことはよく知られています。彼女は快適さや身体感覚を重視しながら、それまでの服飾コードに変化をもたらしていったのでした。
本特集では、西洋服飾文化史を専門とする内村理奈先生をメイン解説者に迎え、マリー・アントワネットをこの視点から見つめ直します。当時の絵画やファッション・プレート、ドレス、絹織物、レースなども豊富な図版とともに紹介。さらに、学生時代からアントワネットが大好きだった黒柳徹子さん、漫画『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』の作者・磯見仁月さんへのインタビューも掲載しています。
また、8月1日開幕の「マリー・アントワネット・スタイル」展を担当する横浜美術館の学芸員の方々に、そのスタイルが後世へ与えた影響をうかがいました。漫画や映画のガイドとあわせて、アントワネットの魅力とその広がりを多角的にたどります。
横浜美術館「マリー・アントワネット・スタイル」展とともに、ぜひ本特集をお楽しみください。
■編集長より
マリー・アントワネット(以下、MA)とナポレオンでは、もちろんナポレオンの方が遥かに重要な歴史上の偉人なのだろうが、いろんな意味で、今生きているのはむしろMAの方なのではあるまいか。『ベルばら』という本邦が誇る不朽の名作はもとより、世界的にもソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』のヒットなど、ファッション・アイコンとしてのMA像は近年著しく強化されている。ディオールやモスキーノのようなハイブランドのコレクションにおいても、時に甘美、時に不穏なインスピレーション源となっているのだ。特集「マリー・アントワネット 王妃のファッション革命」では、第1章で時代に先駆けたMAの実像を追い、第2章で現在へと続く現象(フィーバー)としてのMAについて考察する。
art newsでは、公開20周年と再度の大規模上映を機とし、伝説のアニメーション『パプリカ』にフォーカス。そのヒロインは、早逝した今敏監督が描き出した、もう一人の忘れえぬ女(ひと)である。(編集長・高山れおな)
■「芸術新潮」とは
「芸術新潮」は1950年の創刊以来、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジンです。「暮らし」はアートである、をキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。
■雑誌データ
【タイトル】芸術新潮 2026年8月号
【発売日】2026年7月24日(金)
【定価】1,700円(税込)
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/geishin/