美術出版社より、『美術手帖』6月号が5月7日(木)に発売された。今月号の特集は「新しいエコロジー:危機の時代を生きる、環境観のパラダイムシフト」だ。
6月号の特集は「新しいエコロジー」
地球温暖化や異常気象、震災や台風などの気候変動が国際社会において喫緊の課題となっている中、これらの課題に対して「アーティストたちはどのような表現で応答しているのか」。今月号では、新しい自然観や環境観を提示する現代美術の最新動向に迫っている。
“デジタルネイチャー”という独自の「自然観」を提唱する落合陽一氏、動植物のほか細胞やインフルエンザウイルス、AI、科学技術システムまでをも作品に取り込んできたピエール・ユイグ氏といった国際的に活躍するアーティストが登場。人間が自然を利用し搾取する近代的・資本主義的なあり方を見直す、新しい「環境観」「自然観」「生命観」を提示するアートの動向を紹介している。
表紙&巻頭は「オラファー・エリアソン」
表紙および巻頭ヴィジュアル10ページは、東京都現代美術館で開催予定の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展で撮影されたもの。太陽光や滝、虹などの自然現象を再現するインスタレーション作品で知られるオラファー・エリアソン氏。
本誌のインタビューでは、気候変動を初めて中心テーマに据えた今回の個展に込めた思い、温暖化や新型コロナウイルスの渦中にある現代社会における芸術の可能性について語っている。
アートとエコロジーがテーマの論考も掲載
このほか、東京都現代美術館参事を務めるキュレーター長谷川祐子氏の「エコロジカルな領域におけるアート」についての論文や、哲学者・科学人類学者ブリュノ・ラトゥール氏の翻訳論考、著書『現代美術史』で注目を集める山本浩貴氏による「エコロジーの美術史」なども収録。
さらに「ノンヒューマン:非人間中心主義とアート」と題するパートでは、海洋・地層・植物・動物というテーマごとに、ノンヒューマンを扱うアートの取り組みを紹介!
『美術手帖』6月号の価格は1600円(税抜)。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにともない、自然と人間の関係性の見直しがますます迫られている。
『美術手帖』6月号を読んで、アートを通した新しいエコロジーの可能性を模索してみては。