師走を迎え、徐々に冬らしい気候の日も多くなってきた。寒い季節は、温かい飲み物を片手に、おうちで読書時間を満喫…というのも乙なものだ。
提案型の売り場を通じて、利用者に本との“出会い”や“発見”を提供するHMV&BOOKSでは、毎月2回それぞれのテーマを決め、全国のHMV&BOOKSで働く書店員が選書した5冊を紹介。同企画によって、オンライン上でも店舗と同じように、本との“出会い”のきっかけを提供できればとしている。
“寒い冬に心をあたためてくれる本”5選”
12月前半のテーマは、『“寒い冬に心をあたためてくれる本”5選』。今回のキュレーターを務めるのは、HMV&BOOKS OKINAWAの書店員・中目太郎氏だ。
新刊からは、立東舎から11月に発行された小説『約束の猫』/村山早紀+げみ著をピックアップ。
中目氏は「動物を飼ったことのある人にはわかると思いますが、彼らは一匹一匹に物語があります。家族に加わるきっかけだったり、引っ越しなどの節目にも、新しいエピソードが生まれます。それらを含む日常の中でその子の性格を段々と知ることができ、より親密な間柄を築くことができるようになるのです。この本を読んで、仕事から帰宅した私を見て安心したように息を引き取った猫のことを思いました。もう10年以上も前のことです。あなたの「猫」との物語を、大切にしてください。」とコメントしている。
2冊目は、双葉社から2006年3月に発行された漫画『さんさん録』/こうの史代著。
中目氏は「こうの史代さんの作品でとても好きなのが『さんさん録』です。老いて妻に先立たれた主人公・参平は、独り身を案じた息子一家との同居を機に、妻が残したノートをもとに料理、洗濯、裁縫などの家事をするようになります。この作品で描かれるのはまさに目の前の生活、細かな日常です。登場するのは家族と知人。舞台となるのはほぼ自宅内。話題は家事や孫の成長と、身近なものだけで物語が作られています。それでも季節の移ろいや小さな発見が丁寧に描かれ、日々を生きる強さを感じさせてくれます。」と述べている。
そのほか、河出書房新社から2016年1月に発行された小説『昨夜のカレー、明日のパン』/木皿泉著、
筑摩書房から今年10月に発行されたエッセイ『海をあげる』/上間陽子著、
木楽舎から2010年4月に発行されたエッセイ『おべんとうの時間』阿部了(写真)、阿部直美(文)をピックアップしている。
年末休暇など、読書の時間も増えそうなこの時期。冬のおうち時間に、心をあたためてくれる一冊を読んでみてはいかが。