熊本県・津奈木町では、開館20周年を記念して、9月11日(土)〜11月23日(火)の期間に町の様々なスポットでアート・プログラムを開催する。
アートによる住民の癒しと再生を目指す
海と山に囲まれた人口約4,500人の津奈木町。水俣市と隣接する同町では、かつて町民の多くが水俣病の被害を受けた。アートによる地域住民の癒しと再生を目指して1980年代から文化活動を重ね、2001年にはその拠点として「つなぎ美術館」が誕生した。
以来、同美術館を中心に、“住民参画型アート”を重視したプログラムを行うほか、2013年からはアーティストによる滞在制作受け入れを開始し、町民とともに多くの作品をかたちにしてきたという。この秋、同美術館の開館20周年を迎えるにあたり、全国的に注目度が高まるMINAMATAにまつわるアート・プログラムをはじめ、様々な企画を町内各所で展開する。
水俣病を取材した米国人写真家の写真展
同美術館で開催されるのは、1970年代に水俣病を取材し世界に伝えた米国人写真家・ユージン・スミス氏の写真展『ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA』。同氏とその作品群は、ジョニー・デップ主演で今秋公開される映画『MINAMATA-ミナマタ-』でも再び注目を集めている。
写真集『MINAMATA』に収められた写真をはじめ、当時の地域の日常をとらえた貴重な初公開写真もアイリーン・スミスさん監修のもと新たにプリントして展示する。詳細は「つなぎ美術館」公式ホームページで確認を。
柳幸典氏による住民参画型のプロジェクト
世界を舞台に活躍する現代美術家の柳幸典氏が、地域との対話を重ねて進めた『柳幸典つなぎプロジェクト成果展2021 Beyond the Epilogue』も開催。
水俣病の現実を世界に知らしめた石牟礼道子の文学から着想を得て制作された大規模な屋外作品『石霊の森(いしだまのもり)』は、津奈木町役場向かいの森に設置された巨石群から石牟礼の言葉が聴こえてくるアート作品。また、プロジェクトの3年間の歩みを紹介する企画展『柳幸典つなぎプロジェクト2019−2021』は「つなぎ美術館」3階展示室にて開催される。
屋外展示やアート体験ツアーも
アーティスト・五十嵐靖晃氏による町民参加の屋外展示『海渡り』では、特異なロケーションにある無人島の弁天島と陸をつなぐ。10月中旬から末まで旧赤崎小学校付近で実施される。
また、同町に移住した日本画家・大平由香理によるアート体験ツアーも実施される。詳細はUNAラボラトリーズの公式サイトで発表される予定だ。
津奈木町で開催されるアート・プログラムの各イベント詳細をまとめた特設ページは、9月初旬に津奈木町役場ホームページ内に開設される予定。興味がある人はチェックしてみて。
■つなぎ美術館
住所:熊本県葦北郡津奈木町岩城494