東芝、双日、CBMM(本社:ブラジル・サンパウロ市)は、ニオブチタン系酸化物(Niobium Titanium Oxide、NTO)を用いた次世代リチウムイオン電池の商業化に向けた共同開発契約を締結した。
2023年度の商業化を目指す
NTOは、リチウムイオン電池の負極材として一般的に使用される黒鉛と比較して、2倍の理論体積容量密度を持つ材料。
3社は2018年6月に、NTOを用いたリチウムイオン電池負極材の共同開発契約を締結し、東芝研究開発センターが中心となり開発を進めてきた。
この度、試作セルの開発を完了し、商業化に向けた量産プロセスの確立と、早期の市場投入に向けて、さらなる協業を進めていく。
今後、3社は主に商用電気自動車用途等に適した高エネルギー密度でかつ急速充電が可能な次世代リチウムイオン電池の2023年度の商業化を目指す。
3社の役割
CBMMは、ラテンアメリカにおける電気トラックの開発・生産の先駆者であるフォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブス(Volkswagen Caminhões e Ônibus)と契約し、NTOを用いた次世代リチウムイオン電池の実導入に向けた実証を行う。
東芝と双日は、同実証に協力し、フォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブスが設計した新型商用電気自動車に搭載されるNTOを用いた次世代リチウムイオン電池の特性と車両運行データの収集を行う予定。
ニオブの特徴と今後
ニオブ(Nb)は、金属元素のひとつで、鉄鋼添加剤として主に高張力鋼、ステンレス鋼などの高級鋼材に用いられ、中でも自動車向け鋼材の軽量化・剛性化には不可欠とされている。
CBMMは、ニオブ市場において世界一位の生産量と販売量を誇り、高い技術力と製品開発プログラムを有するいっぽうで、双日は、CBMMの株主の1社であり、またCBMMの日本市場向けの総代理店として、安定的な原料供給体制の構築や用途開拓を進めてきた知見・ノウハウを持っている。
今後、東芝は、CBMMと双日からのニオブ材料の安定的な供給体制の確保を進め、さらにCBMMや双日の持つグローバルな顧客ネットワークも活用しながら、急速に拡大する二次電池市場でのシェア獲得を3社で目指していく。