日本ユニストと和歌山大学が、平安時代より大阪から熊野本宮大社を目指して人々が歩いた道「熊野街道」の歴史的・文化的な価値を検証し、新たな観光商品を開発する共同研究を開始した。
地元大学と協力し熊野街道の実態を明らかに
日本ユニストは、世界遺産・熊野古道沿いを泊まり歩く宿「SEN.RETREAT」の運営会社。今後は、宿泊施設の運営と合わせ、大阪から熊野本宮大社へ先人が歩いた道「熊野街道」の宿場町を再現し、古代と同じ行程を約10日間かけて完歩するツアーを開催したいと考えている。
1千年以上の歴史を持つ熊野街道を現代に再現するためには、正確なエビデンスが必要。しかし、熊野街道や、街道沿いに点在する熊野の神を祀った社「熊野九十九王子」などについて調査した学術研究や文献は少なく、現状では今後のサービス開発の参考となりうる情報が不足しているという。
そこで、熊野古道についての知見を有する地元大学と協力することで、文化、宗教、芸能などの観点から熊野街道の実態を明らかにし、次世代に継承できる新たな観光資源を生み出すこととなった。
宿場町として栄えた地域で実地調査
共同研究では、産学双方のプロジェクトメンバーが、熊野街道の宿場町として栄えた地域で実地調査を行い、どのような食事を食べ、宿場でどのように過ごしたかなど、古代巡礼者の気持ちを理解しながら当時の様子を調査。
地域ごとの特色を踏まえて導き出された研究結果は、「熊野街道めし」などの商品開発や宿場町の再現に生かし、和歌山や大阪の地域振興につなげる。また、得られた情報は資料化し、次世代に伝承していく。
熊野古道沿いに宿を4カ所オープン予定
日本ユニストでは現在、世界遺産・熊野古道沿いに泊まり歩ける宿「SEN.RETREAT」を計4カ所作る計画を進行中。
第1弾として、標高300mの山間にある集落・和歌山県田辺市中辺路町高原で、空き家をリノベーションした一棟貸し宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」を2021年10月に開業し、
続く第2弾として、中辺路町近露に4月28日(木)、コンテナハウスヴィラ「SEN.RETREAT CHIKATSUYU」を開業する予定だ。
さらに、日本ユニストが大阪・新世界で運営する「Willows Hotel 大阪新今宮」から約1kmの場所には、熊野街道の出発地点であった堀越神社の窪津王子があるため、同ホテルを起点に、かつて行われていた熊野詣を体験できるプランの実施も計画している。