ノーベル賞候補者で元日本化学会会長が「科学技術立国・日本」閉塞の理由を明らかにする。産経新聞出版から、山本尚著『日本の問題は文系にある なぜ日本からイノベーションが消えたのか』1540円(税込)が2月18日(金)に発売された。
感動こそが「破壊的イノベーション」を生む
なぜ日本はルーラー(統治者)になれないのか。なぜ文系のイノベーションがないのか。なぜ長期計画がないのか。
シカゴ大学名誉教授でもある著者が、米国と比較しながら、文系の考える「空想のプロジェクト」を批判。感動こそが「破壊的イノベーション」を生むと説く。
同書で著者は「環境問題等と結びついた国際連合の研究課題(SDGs)は、どれも一朝一夕に解決できる問題ではない」「達成するためには本当のゲームチェンジの解答がなければならない」とし、その上で、「できないこと」と「場合によってはできるかもしれないこと」を区別するのは「科学技術に関わっていない人には不可能」としている。
そして、「できるかもしれないこと」は単なる思いつきや空想では描けない、それを企業の経営者や、科学技術以外の有識者が立案すると、「とんでもない『空想のプロジェクト』が誕生する」と指摘。「政府は国民の人気を取ろうとするあまり、行き過ぎたポピュリズムの罠に落ち込む」としている。
日本の問題点に斬り込む
また、「化石燃料を用いることが、本当に地球温暖化になるのかとか、大気中のフレオン(フロン)がオゾン層を破壊するのかは、学問的には諸説があり、必ずしも根拠がしっかりと解明しているわけでない」とした上で、「理論的根拠が明瞭でない予測、学会での様々な意見の相違がある事項等で社会を乱して欲しくない」「炭酸ガスの放出をゼロにすることは、そんなに簡単ではない。日本の国土のほとんどが太陽光パネルで覆われ、近海が風力発電機で覆われるのは、人口密度の非常に高い日本ではあってはならないだろう。持続的イノベーションではそうなる他ない」と指摘している。
「日本はこれまで『持続的イノベーション』を得意としてきたが、今や世界は『破壊的イノベーションか、さもなくば死か』という段階に入っている」とする著者が、日本の問題点に斬り込む。
同書は、Amazon等で購入できる。
櫻井よしこ氏も大推薦する『日本の問題は文系にある なぜ日本からイノベーションが消えたのか』を手に取ってみては。
産経新聞出版URL:http://www.sankei-books.co.jp/m2_books/2022/9784819114097.html