『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』に続く、待望の“昭和ミステリ”シリーズ第3弾!ミステリ界のレジェンド・辻真先氏のデビュー50周年記念作品、『馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ』2,090円(税込)が発売された。
“昭和ミステリ”シリーズ第3弾
同作は『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』に続き“昭和ミステリ”シリーズ第3弾にあたる。前作の『たかが殺人じゃないか』は『このミステリーがすごい!』『週刊文春 ミステリーベスト10』『ミステリが読みたい!』で第1位を獲得。史上最高齢の当時88歳でのミステリランキング3冠を獲得という快挙は大きな話題を呼び、続編への期待も高まっていた。
最新刊『馬鹿みたいな話!』の舞台は、お茶の間のメディアの中心がラジオだった昭和36年のCHK(中央放送協会。某公共放送がモデル)。
密室ともいうべき、生放送中のテレビスタジオ内で主演女優が殺害されるという事件が発生。前作『たかが殺人じゃないか』に続いて、風早勝利(高校生から駆け出しミステリ作家になっている)と那珂一兵(大道具の背景描きとして出入りしている)の二人が殺人事件の謎解きに挑むというストーリーだ。この時代を見つめてきた著者だからこそ書ける鮮明な描写と骨太のトリックが今作でも大きな読みどころになっている。
エピソードも交えたあとがきも、読み応え十分
テレビ業界でも長く活躍されてきた著者・辻真先氏が、同作ではテレビ局を舞台に描いたということで登場人物も華やか。この時代を彩ってきた実在の俳優や歌手、タレントが作品内に登場する。
誰がどのように登場してくるのか、読んで確かめてみて。また、著者の実際のエピソードも交えたあとがきも、読み応え十分。必読だ。
著者の辻真先氏
著者の辻真先(ツジマサキ)氏は、1932年愛知県生まれ。NHK勤務後、『鉄腕アトム』『サザエさん』『デビルマン』『Dr.スランプ アラレちゃん』など、アニメや特撮の脚本家として幅広く活躍。
72年『仮題・中学殺人事件』でミステリ作家としてデビュー。現在でもTVアニメ『名探偵コナン』の脚本を手掛けるほか、大学で後進の指導にあたっている。また、20年刊行の『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』が主要年末ミステリランキングにおいて3冠を獲得している。
辻真先氏は、ミステリ作家デビューしてから今年で50周年。さらに、卒寿を迎えた節目の年を記念して刊行された傑作長編『馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ』を手に取ってみては。