日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、埼玉県旧騎西町(現加須市)を写真とともに紹介する。
Vol.20/埼玉県旧騎西町(現加須市)
旧騎西(きさい)町は、藤の花が有名だ。特に玉敷公園では、推定樹齢450年以上の大藤をはじめとする藤の花を楽しむことができる。見頃は4月下旬から5月上旬辺りだ。旅で訪れた季節はちょうどその頃で、美しい紫色の藤の花に出会うことができた。
騎西城跡は史実上では、土塁や塀を廻らした平屋の館だそうだが、現在は天守閣を持つ城として復元されている。当日、館内に入ることはできなかったものの、館内では民俗資料を見ることができるほか、回廊から市街地を眺望できる。城に詳しい方々からすれば、元々の姿ではないという点から、指摘されることもあるかもしれない。しかし、この城跡に「騎西」という名前がつけられていることで、人々はこの土地を騎西だと認識できる。土地の名前が残っていくか消えていくかの分水嶺は、こうしたところにあるのではないだろうか。その意味において、大切なシンボルに感じられた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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