日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、栃木県旧石橋町(下野市)を写真とともに紹介する。
Vol.115/栃木県旧石橋町(下野市)
旧国分寺町から北上するとまもなく、旧石橋町に入る。JR石橋駅は、下野市の中での利用者数が最も多いそうだ。ロータリーも広く、たしかにまちとしての大きさを感じられた。その中心に建っている塔が洋風なので調べていくと、下野市はドイツの「ディーツヘルツタール」というまちと、姉妹都市提携を結んでいることを知った。石橋駅もドイツのグリム童話が、モチーフになっているということなのだろう。
このディーツヘルツタールというまちがどのような土地なのか、簡単にではあるけれど調べたり地図上で俯瞰したりしてみると、おそらく自然に囲まれた盆地のようで、日本でいうと、北日本の盆地に似ているのかなあ、と想像したりした。
下野星宮神社は落ち着いた雰囲気の神社で、神社のそばには、サツキとメイの看板と、トトロの像が立っていた。わあ! と日本人なら嬉しくなるわけだが、グリムのドイツに対して、ジブリの日本、ってことなのかな。違う気もする。
そして、グリムの森を訪れた。森の中には公園の遊具もあって、家族連れが楽しげに遊んでいた。さらにはグリムの館と呼ばれる施設もある。外観をパッと見ただけで、西洋風(ここではドイツなのだろう)の建物だと感じられるのも、どうしてだろう。三角屋根に、日本にはない配色の色合い、そして窓がたくさんあること……。建物内も採光たっぷりで、かっこいい空間だった。下野市には、ドイツの世界があるのだなあ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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