日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、栃木県大田原市を写真とともに紹介する。
Vol.129/栃木県大田原市
旧黒羽町と旧湯津上村と大田原市の3つのまちが、平成の大合併まで存在していた。今回は、元々の大田原市だった地域を巡る。大田原市役所の本庁舎を目指すと、そばに鶯谷公園があり、穏やかな水辺でウグイスの鳴き声も聞こえてきた。
さらに、道の駅「那須与一の郷」へも訪れた。那須与一は、平安時代の後期から鎌倉時代にかけて活躍した武人だ。有名なエピソードは屋島の戦いで、平家の扇の的を射抜いたこと。(平家物語に載っているこの話の信憑性は、確実なものではないらしいが……)
道の駅でも那須与一をアピールするのぼりと、栃木の名産品であるイチゴをアピールするのぼりが同時にかけられていて、まるで分野の異なるのぼりなので面白いなあと。
道の駅の裏にあった、那須神社へ向かう。いろんな神社の参道があるけれど、その中でも自然体な上で整っていて、とても印象深い風景だった。境内の風景が、「おくのほそ道の風景地」の一部として、国指定名勝に指定されたという石碑を見つけて深く頷く。楼門も風格があり、赤、青、緑のカラフルなデザインもあって、なかなか見たことがない配色だった。さらには寛永19年(1642年)の灯籠もあり、とにかく圧倒されるばかりで。
参道のそばには青々とした水田の風景もあり、日本の原風景そのものであった。那須神社へ訪れてみて、抜群に知名度のあるような神社ではないかもしれないが、ぼくはこの神社をとにかく素晴らしいと思ったのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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