日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、神奈川県旧城山町(相模原市)を写真とともに紹介する。
Vol.135/神奈川県旧城山町(相模原市)
晴れた春空の日、現在は相模原市の緑区にあたる、旧城山町へやってきた。相模原市には旧城山町だけではなく、旧津久井町や旧相模湖町、旧藤野町が存在していた。これらがみな、現在は相模原市緑区というわけだ。
西日本で育った中高生時代、ぼくにとって相模原市は、すべてが東京や横浜のような都市部なのではないかという印象があった。当然そんなことはないし、東京や横浜も地域ごとに気配はまるで異なるので、大きな偏見に過ぎない。
そして、今回の旅で相模原市中央区の市街地へ訪れてみると、もちろん発達した市街地ではありながら、想像以上に木々も多く、穏やかな空間を持っているように感じられた。だから、緑区に進めばさらに雰囲気が自然寄りになるのだろうかと感じていたが、ほんとうにそうだった。
丘陵地でも台地でもなく、山が多いと感じたのだ。そう感じるのだから、当然ながら緑の割合も多かった。相模原市というイメージはあくまでイメージ。目の前には確かに旧城山町があるように思えた。
旧津久井町との境界線でもある、津久井湖城山公園の水の苑地に訪れた。公園のそばの水辺は相模川で、城山ダムがあることで湖になっている。川の流れがほとんどないため、とても穏やかだ。
そして、下から咲き上がるフジのような花を、ルピナスと呼ぶ。黄、紫、ピンク、自由自在な色を持ったルピナスが、公園の広い斜面で青空に向かって伸びていた。カラフルなのに目の刺激は強くない。むしろ、自然が持つ原色のエネルギーを、そのまま分けてもらうよう。自分にとっての相模原市が、より広がっていくのを感じた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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