日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧伊奈町(つくばみらい市)を写真とともに紹介する。
Vol.191/茨城県旧伊奈町(つくばみらい市)
「つくばみらい市」と聞くとやはり未来感もあって、現代の雰囲気にも合っているように感じる。だから、もちろん否定するつもりはない。ただ2006年まで、旧伊奈町と旧谷和原村が存在していて、2つのまちが合併し、つくばみらい市になったということも、今回の旅で知ることができた。
そして、旧伊奈町では、間宮林蔵記念館に行ってみたいと思った。午前9時にオープンするので、それに合わせて伺う。
その記念館に向かっている道中、じっと麦畑を見ているお母さんと息子さんがいて、背中姿に心を奪われてしまって、思わず声をかけた。写真も撮らせていただいた。断られることもあるし、お子さんに怖い思いをさせてもいけないし、声をかけることはドキドキするけれど、お母さんは快諾してくださった。
話を伺うと、お母さんはここ旧伊奈町のご出身だった。名前が変わったことについて尋ねてみると、「伊奈という名前には愛着があったので寂しかったです。でも、それが新しく変わっていくってことですよね」と。
間宮林蔵記念館も見応えがあった。間宮林蔵は江戸時代の測量家であり、探検家だ。館内は撮影禁止だけれど、間宮林蔵に関する9分のビデオがあり、それを観た。小貝川の農家に生まれ、江戸へ修行に出て、19歳で蝦夷へ渡ったこと。そこで伊能忠敬に出会い、測量の技術を学び、人生が転換していったこと。伊能忠敬の「大日本沿海輿地全図」の北海道は、間宮林蔵も大きく作成に貢献している。
そして、最も大きな業績は、樺太が大陸ではなく島だと発見したこと。今も「間宮海峡」の名前が残っている。樺太は地図で見れば非常に大きいと分かるし「ものすんごい大冒険しとるがな」と思わずにはいられなかった。
その後、「不動院」というお寺にも訪れた。素晴らしい建物と境内で清々しい。本堂へお参りしようとすると、本堂の中には小学生が社会科見学か何かで訪れているようで、住職さんが説明をしているところだった。地元の小学生とお寺のつながりも、良いなあと。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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