日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧霞ヶ浦町(かすみがうら市)を写真とともに紹介する。
Vol.217/茨城県旧霞ヶ浦町(かすみがうら市)
旧霞ヶ浦町は2005年に旧千代田町と合併し、かすみがうら市になった。「かすみがうら」の地名は残しつつ、漢字からひらがなに変わっている。つくば市やさいたま市もひらがなだし、今ではそのことに違和感も感じない。漢字とひらがなのバランス感覚は、日本人独特のものなのだろうなあと思う。
旧霞ヶ浦町では、まず歩崎公園を訪れた。霞ヶ浦のそばにつくられた公園で、噴水が気持ち良さそうに光を反射し、周辺の見晴らしもよく、とても爽やかな場所だ。霞ヶ浦を覗いてみると、風で湖面が小刻みに揺れていた。これだけ見晴らしの良い立地だから、風が強い日の方が多い気がする。だから、凪いだ湖面を見ると、また違った印象を感じるのではないだろうか。
次に、歩崎公園の近くにある「かすみがうら市歴史博物館」へ訪れた。お城の形をした歴史博物館だ。城内に入ると、受付の方がいろいろと紹介してくれた。展示資料は撮影禁止だが、印象的だったのは帆引き船の模型だ。帆引き船は霞ヶ浦で利用された漁船で、帆を使った網漁法が明治時代に考案されたと。帆ということは、やはり風との付き合い方なのだろう。現代は科学技術がすごいけれど、昔の方の知恵もすごい。
そして、最後に展望台へ出ると、小高い場所から霞ヶ浦を見渡すことができた。水平線の先には低い木々と住宅地が広がっている。湖の向こうに見えるのは行方市。霞ヶ浦をひとつの恵みとして、それぞれの暮らしが長く続いてきたのだろうなあと思うと、大きな自然という存在はすごいと感じるばかりだ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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