日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧新治村(土浦市)を写真とともに紹介する。
Vol.219/茨城県旧新治村(土浦市)
旧新治(にいはり)村へやってきた。土浦市の北西に位置し、筑波台地上に集落が広がっている。土浦市街地はまちの雰囲気が色濃く感じられたが、旧新治村に入ると景色がガラッと変わり、豊かな緑に包まれた。日本の原風景らしい姿が残されており、道中を走っていて非常に気持ちが良かった。
そして、「小町の館」に訪れてみる。小町とは平安時代の絶世の美女、小野小町のことだ。小野小町に関する伝説が、この地域ではいくつか残っていると。小野小町のお墓もあるそうだ。小町の館では周辺の庭も花々などが綺麗に管理されていて、館内に入ると食事処やギャラリーが併設されていた。観光客が訪れる場でもあり、地元の方々が集まる場でもあるのかもしれない。2023年につくられたであろう顔をはめるパネルもあったけれど、それをみて、確かに小野小町はどんな顔かわからないよなあ、ということを思った。
小野小町の伝説は、旧新治村だけではなく、全国各地に残されている。ひとりの女性の素性がわからないまま、これだけ広く長く語り継がれていることは、かなり珍しいのではないかと思う。しかし、私たちは「絶世の美女」という言葉に惹かれてしまうのだ。これも人間の性(さが)のように感じる。想像は時代を超えていくと。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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