和歌山県和歌山市は、第1回「有吉佐和子文学賞」の受賞作品が決定したことを発表した。
「有吉佐和子文学賞」について
「有吉佐和子文学賞」は、有吉佐和子記念館の開館を契機に、和歌山市の偉人である有吉佐和子さんの顕彰に加え、文学について学ぶ機会を提供すること及び、同市の文化的風土を醸成することを目的とし、令和5年12月に創設された。
今回、自身のことや世の中のこと、和歌山への想いなどについて、思ったまま、感じたままに表現してもらうことを目的としてエッセイの作品を募集したところ、全国各地から2,077作品(うち県外1,350作品)もの応募があった。
年齢は10~90代で、最年少は中学1年生、最高齢は99歳。地域別では全都道府県に加え、海外在住の12人からも応募があったという。
最優秀賞は日沼よしみさんの作品
数多くの作品の中から最優秀賞に選ばれたのは、山梨県南アルプス市・日沼よしみさんの『手紙』だ。
『手紙』は、病に倒れた夫を介護する日々を過ごす作者が、若かりし頃夫から受け取った手紙の束を見つけ、夫からの思い、そして共に過ごした歳月の記憶が甦り、前向きで力強く心が動いていく様子を表現した作品。
意見聴取員は、「夏目漱石の同タイトルの短編小説があるが、この作品は夫婦の絆と愛の話。SNSの発達でどんなに離れていても瞬時に連絡を取り合えることが当たり前の世の中で、手紙の温かさが伝わってくる作品。文通や公衆電話でのやり取りは現代の若者には想像もできない長い時間が二人には流れていたことを、流れるような文章で綴っている。夫婦の愛と繋がりの強さが、心に迫る素晴らしい作品」とコメントした。
優秀賞や佳作もチェック
優秀賞には、愛媛県伊予郡松前町・原徹さんの『杜鵑草』、佳作には、東京都足立区・桑原祥恵さんの『胸の中でひかるもの』、東京都杉並区・後藤里奈さんの『私を生かす心の栄養』、兵庫県神戸市・武智弘美さんの『和歌山にて、星を繋ぐ。』、大阪府大阪市・松村典子さんの『継承の地』、福岡県福岡市・森美恵子さんの『梅騒動』が選ばれた。
奨励賞は、中学生と高校生の作品が対象
また、中学生および高校生の作品のみが対象となる奨励賞に選ばれたのは、東京都板橋区・クラーク記念国際高等学校・鏑木花野さんの『姉になった日』、和歌山県岩出市・智辯学園和歌山高等学校・谷和佳乃さんの『八週五日』、和歌山県和歌山市・和歌山市立西脇中学校・辻󠄀拓真さんの『インスタントコーヒーの粉』、宮城県仙台市・東北学院高等学校・芳賀永都さんの『酒という謎』、神奈川県横浜市・ホライゾンジャパンインターナショナルスクール・藤田椛子さんの『高校生が愛について考えてみた結果』だ。
なお、賞は、有識者などによる意見聴取を経て決定。意見聴取員は、有吉佐和子記念館館長・恩田雅和さん、彩流社取締役社長・河野和憲さん、ニッセイ基礎研究所 准主任研究員・坊美生子さん、福島小学校校長・中村祐佳子さんだ。
第1回「有吉佐和子文学賞」は、6月2日(日)13:30からに有吉佐和子記念館で表彰式を実施。受賞作品は表彰式後、市ホームページなどに掲載される。
作者それぞれの想いが詰まった、第1回「有吉佐和子文学賞」の受賞作品をチェックしてみては。
第1回 有吉佐和子文学賞 詳細:https://www.city.wakayama.wakayama.jp/kurashi/bunka_sports/1001119/1058194.html
(ソルトピーチ)