東京・有楽町にある老舗グランメゾン「アピシウス」が、15年ぶりの世代交代。約40年の歴史を誇る正統派フランス料理を、8月20日(火)、4代目シェフが継承することとなった。
老舗グランメゾン「アピシウス」15年ぶりの世代交代
1983年創業の「アピシウス」は、フランス料理を提供する店が日本にほぼなかった時代に、「日本一のフランス料理店」を目指してオープン。
店名は、古代ローマの美食家・アピシウスから名付けられ、当時の面影をそのまま残すアール・ヌーヴォー様式の空間は、大人の社交場を彷彿とさせる重厚感あふれる雰囲気が漂っている。
現代において、様々なアレンジが主流になってきたフランス料理の原型とも言える「アピシウス」の正統派フランス料理。
“最高の一皿”を生み出すために、妥協を許さない食材へのこだわりは、北寄貝やノドグロをはじめ、多くの食材が流通していなかった時代にシェフ自ら先陣を切って日本中を駆け巡り、地方の素材を掘り起こし、美味しいジビエを手に入れるためには牧場まで作ってしまうほど(※)。
そんな「アピシウス」は、約40年の歴史を継承できた3代のシェフに続く4代目シェフとして、「アピシウス」のスーシェフを11年務めてきた森山順一氏が、この夏に就任。古き良き伝統を受け継ぎながら、新しい未来へのバトンをつなぐこととなった。
4代目シェフ 森山氏の挑戦
シェフに就任した森山氏が挑むのは、“変えずに変わる”最も難しいチャレンジ。フランス料理の本質や「アピシウス」の伝統はそのままに、時代に合わせて変化を惜しまない料理を目指している。
伝統を受け継ぐ、代表メニュー
「アラカルトメニュー」も「アピシウス」が開業から受け継いできたこだわりの一つ。
大切にするのは、料理人の“手間”ではなく、ゲストの“選ぶ楽しみ”。決められたコースメニューだけでなく、ゲスト一人ひとりの好みやお腹の具合に合わせて内容も品数も選べるメニューは、料理人の腕の見せ所だ。
日本では残り少ない徹底されたドレスコードも相まって、訪れたゲストを非日常の世界へと導いてくれる。
「ウニとキャビアの野菜クリームムース コンソメゼリー固め」は、オープン初期から変わらない「アピシウス」のスペシャリテ。
北海道オホーツクのバフンウニとイラン産キャビアを、やわらかいカリフラワーのムースで包み、ビーフコンソメで寄せた冷前菜となっており、海の恵みにムースとリッチなコンソメが絶妙に溶け込む、贅沢な一皿に仕上げている。
独特な風味と豊かなコクが特徴の「小笠原産母島の青海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」は、「アピシウス」の伝統コンソメスープ。年間135頭という捕獲枠が定められている、小笠原諸島でしかとれない希少な海亀の濃厚なコラーゲンを活かし、3日間かけて炊き上げている。
約3万本のワインリストから料理に合ったワインを提供
「アピシウス」では、国内有数の質と量を誇るワインを保有しており、1983年のオープンから受け継ぐ約3万本のワインリストからフランス料理を最大限に生かすワインを提供。
フランス産ワインを中心に、古いもので1928年のシャトー ムートン ロスチルドをはじめとする古酒から現代に至るまで、時代を超えて継承しながらアップデートを続けている。
なお、ワインリストのミシュランと呼ばれる「世界のベストワインリスト 2022」では、3つ星を受賞している。
「アピシウス」チームでお出迎え
4代目シェフに就任した森山氏は、高校卒業後、故郷宮崎県のフェニックスリゾート(現:ホテル日南北郷リゾート)に勤務し、その後知人の紹介により1998年にアピシウスへ入社。ソースへのこだわりを大切にしながら、アピシウスらしさを表現し、2013年より副料理長に就任、そして、この度総料理長に就任した。
「アピシウス」では、2014年に副支配人、2024年支配人に就任した白坂収氏、
2007年よりアピシウスへパティシエとして入社し、2010年よりシェフパティシエに就任した上原孝之氏、
国際ソムリエ協会認定インターナショナル・ソムリエとして長年ソムリエ業を営む、シェフソムリエの情野博之氏がチーム一丸となって、レストランでの特別なひと時を提供している。
「アピシウス」で食事を楽しみながら、老舗グランメゾンの新たな幕開けを体験してみては。
■アピシウス
住所:東京都千代田区有楽町1丁目9-4 B1
公式サイト:http://www.apicius.co.jp
(※)現在は閉鎖
(丸本チャ子)