黒川商事は、黒川温泉街にパンとコーヒーの店「Au Pan & Coffee」を、9月30日(月)新規開店する。
温泉街の「泊食分離」を促す
コロナ禍が明け、インバウンド客数が2019年を超える見通しになるなど、日本各地の温泉地にはにぎわいが戻ってきている。しかしながら旅館をはじめとする宿泊施設では、人手不足や不規則な勤務体制が大きな課題となっている。
そのような温泉街の課題に挑むため、黒川商事は「Au Kurokawa」プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトは、黒川温泉街の約3000坪の敷地に建つ8棟のレストランを中心とした、「この地域の食のハブ」としての取り組みだ。
「Au Kurokawa」のレストランが、旅館宿泊者の夕食や朝食を提供することで、温泉街の「泊食分離」を促し、旅館特有の課題の解消につなげる。また「地産地循」を促すため、環境に配慮した地元農家の食材を積極的に使用。こうして温泉街にさまざまな業態の飲食店を増やすことで、利用客が温泉街で食事をする楽しみと選択肢を地域でつくっていく。
地域創生を推進
「Au Pan & Coffee」は、「Au Kurokawa」の旗艦店であり、地域の食材を使用したパンをメインに、焙煎から手がけるコーヒーや、ナチュラルワインなどの物販を営む19坪の小さな店舗。外の芝生やベンチに座り、景観を眺めながら焼きたてのパンやコーヒーを食べることができる。
地元で生産される食材を使い、その土地ならではの味を追求して、運営の過程で使用した資源はできるだけ循環させていく「地産地循」の考え方を念頭においている。
「Au Kurokawa」のなかで最初にオープンする同店。これからの温泉地の新たな範となるような空間をつくり、この地域の地域創生を推進していく。
今ここにある食材からできるパンをつくる
「Au Pan & Coffee」のパンは、黒川温泉郷の周辺のつくり手が育てた食材を中心に使用してつくる。
3月には、地域のなかで人の健康や自然環境に配慮しながら、おいしく健やかな食べものを育てる生産者と出会うリサーチを実施。食材が育つ場所を見せてもらいながら、育て方、大切にしていること、育てる上での難しさなどを聞かせてもらった。
リサーチに同行、「Au Pan & Coffee」の立ち上げをプロデュースしているのは、徳島県神山町で活動する「フードハブ・プロジェクト」と「モノサス」のメンバー。
フードハブ・プロジェクトが運営する「かまパン&ストア」では、地域の農業や食材を次の世代につなぐため、つくり手や食べ手、その地域で暮らす人たちと関係をつくりながら、日々パンを焼いている。
職人がつくりたいものより、今ここにある食材からできるパンをつくること。この地域で暮らす人たちが食べたいパンをつくること。それは、素材をつくる人やパンを食べる人など、関わる人たちと日頃から話し、関係性があるからこそできることだ。
「Au Pan & Coffee」でもその考え方を共有し、パンを通して、食材や人など、黒川温泉郷の豊かさを伝えていく。
地域の人たちとつくるパン屋
また「Au Pan & Coffee」は、フードハブ・プロジェクトのメンバーのほかにも、伊藤総研や、熊本県内や南小国町で活動する人々など多くの人とともにつくるパン屋だ。
建物の設計は南小国町在住の「giraffe Associates」の佐藤名子氏、店舗内の設計は中川正太郎氏率いるASTERの人々、デザインにはOVALの杉村武則氏、コンセプトの設定は福永あずさ氏、カメラマンはマエダモトツグ.氏、エクステリアデザインは錦戸主税氏が協力。
また、店内に設置する照明は南小国町で小国杉を扱う穴井木材工場の人々、
店内で目を引くロゴマークは満願寺窯の陶芸アーティスト北川麦彦氏とともに製作している。
運営事務局は、黒川温泉郷で温泉旅館を営むとともに地域が続いていくための活動に取り組む黒川商事と、地域の商品開発を手がけるRETENが担う。
誰かがつくりたいパンでなく、ここにはどんなパン屋があるといいのか。さまざまな人々と関わりながら、考え、作り、変化し続けるパン屋になっていく。
黒川温泉郷を訪れる際は、パンとコーヒーの店「Au Pan & Coffee」を利用してみては。
■Au Pan & Coffee
住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6733-1
営業時間:9:00~17:00
定休日:水曜日・木曜日
Au Kurokawa公式サイト:https://www.aukurokawa.jp/tou
Au Kurokawa note:https://note.com/au_kurokawa
Au Kurokawa Instagram :https://www.instagram.com/au_kurokawa_official
(江崎貴子)