6名の漆芸作家による40点におよぶ漆芸作品が並ぶ「ここから再び輪島の漆芸展」が、平成建設世田谷支店に併設の「平成記念美術館 ギャラリー」にて、9月26日(木)~10月22日(火)の期間開催中だ。
「ここから再び輪島の漆芸展」開催の背景
卓越した技術と美しさで広く知られる輪島の漆芸。その技術は単なる工芸品の制作にとどまらず、地域社会の結びつきを深め、文化の保存と継承に寄与している。震災後の困難な状況下においても、漆芸作家たちはその技術と情熱を絶やさず、地域の復興に貢献している。
「平成記念美術館 ギャラリー」を運営する平成建設は、大工をはじめとする職人を育成する建築会社。漆職人も数名在籍しており、伝統文化である「漆」の技術継承に共鳴する職人集団として、一日も早い復興を願い、「ここから再び輪島の漆芸展」を開催することとなった。
「平成記念美術館 ギャラリー」は、工芸を中心にアーティストの発掘・育成に取り組んでおり、ワークショップや講演会、公募展の開催、国際交流事業などを通じて、世界に向けて芸術を発信し続けている。
作家6名による約40点の作品を展示
今回の企画展では、木地蒔絵盤「白雨」/内野薫(うちのかおる)、
乾漆蒔絵盤「里山の秋」/内野都(うちのみやこ)、
「翔魚」/木谷陽子(きたにようこ)、
「浮」/角康二(すみやすじ)、
「光の海 波の音」/高名秀人光(たかなひでみつ)、
「エレメンツⅢ」/山元健司(やまもとけんじ)など、6名の作家による約40点の作品が展示され、伝統と革新が織り成す漆芸の魅力を存分に堪能できる。
「エレメンツⅢ」/山元健司は、銀蒔絵粉粒置きと螺鈿粒置きの技法を用いている。大胆に構成された彪は今にも飛び出しそうだ。小さな素材を粒置きして表現する様は見事である。
「キャピタル」2曲屏風(部分)/高名秀人光は、平文、蒔絵、螺鈿、乾漆粉の技法を用いている。海の中を泳ぐ魚を金銀の板金で構成した画面からは、奥行きある動きを感じる。
蒔絵箱「モッコウバラ」(部分)/内野都は、朱金地、研ぎ出し蒔の技法を用いている。全面を華やかな朱漆で塗り込み確かな線描で花の命を描き、研ぎ出して仕上げている。
作品一つひとつから感じられる漆芸の力強さと、地域再生への希望。漆芸を通じて、能登の人々に想いを馳せつつ、輪島の再興に心を寄せてほしいという思いが込められている。
また、次回は10月28日(月)〜11月25日(月)の期間で、西本直文の世界「父・瑛泉から受け継ぐ陶の未来」を開催予定。詳細は公式サイトをチェックしてみて。
■ここから再び輪島の漆芸展
会場:平成記念美術館 ギャラリー(平成建設世田谷支店併設)
住所:東京都世田谷区桜3-25-4 無料駐車場あり
時間:10:00~18:00
休館日:日曜
観覧料:無料
Web:https://www.heiseikensetu.co.jp/gallery
Instagram:https://www.instagram.com/heisei_artgallery
(山本えり)