トレンドニュースサイト STRAIGHT PRESS【 ストレートプレス 】

LOCAL

「世界で最も美しい美術館」7施設にノミネートされていた広島県大竹市の下瀬美術館が最優秀賞を受賞

このエントリーをはてなブックマークに追加


ユネスコ本部で創設された建築賞「ベルサイユ賞」の、「世界で最も美しい美術館」7施設(※)にノミネートされていた広島県大竹市の下瀬美術館が、12月2日(火)にユネスコ本部での表彰式にて、最優秀賞のベルサイユ賞を受賞した。

コンセプトは「アートの中でアートを観る」

下瀬美術館 可動展示室と瀬戸内の多島美 ©SIMOSE

下瀬美術館は、2023年3月に広島県大竹市にオープンした美術館。世界で活躍する日本人建築家・坂茂氏が設計した。コンセプトは「アートの中でアートを観る。」だ。

施設を象徴する水盤に並ぶカラフルなキューブ型の「可動展示室」は、坂氏がせとうちの島々から着想し、水の浮力によって動かし配置パターンの変更が可能な世界でも類のない展示空間。


展示作品の鑑賞とともに、季節の草花が風にそよぐ「エミール・ガレの庭」や、瀬戸内の多島美を望める展望エリア「望洋テラス」の散策も楽しめ、建築とアートを堪能するひとときを過ごすことができる。

最優秀賞のベルサイユ賞を受賞

ベルサイユ賞は、2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の本部で創設された建築賞で、世界中の空港、商業施設、ホテル、スポーツ施設など8つのカテゴリーを対象に、著名な建築家や哲学者らの審査によって選出される世界的建築賞だ。各部門でノミネートされた中から3施設に対し、最優秀のベルサイユ賞、内装特別賞、外装特別賞の3つの賞が授与される。


2024年6月に、下瀬美術館を含む世界の7つの美術館・博物館が「世界で最も美しい美術館」としてノミネートされた中で、下瀬美術館が今回、ベルサイユ賞を受賞した。

世界ベルサイユ賞機構・事務総長のJérôme Gouadain氏は、「下瀬美術館のプロジェクトは多くのものを表現していると思います。例えば、色使いが非常に興味深く、とても珍しいと言えます。博物館ではこのようなカラフルなデザインはあまり見られません。またこのプロジェクトは『軽やかさ』をも同時に表現しています。外部と内部の融合が見事で、これが審査員に大きな感銘を与えたのだと思います。下瀬美術館のプロジェクトには審査員全員が賛同したようです。ただし、これは私の印象であり、私は審査員ではないので、彼らの考えを推測してお話ししています」とコメントしている。

動かせる美術館という世界初の美術館建築

下瀬美術館の建築家・坂茂氏は、「下瀬美術館は瀬戸内海に面した約400メートル幅の美術館で、環境を最大限にいかしました。水に浮いて動くギャラリーや木造の建築など色々なイノベーティブなものが評価されたと考えています。自由に設計させていただいた初めてのチャンスで、下瀬ゆみ子館長をはじめ多くの関係者の皆様に感謝しております」とコメントしている。

また、下瀬美術館代表理事の吉村良介氏は、「(前略)坂先生にこの美術館の設計をお願いした際、先生は瀬戸内海の島々をご覧になられ、多島美を表現したいとおっしゃいました。そして、色とりどりのキューブで構成された『可動展示室』のイメージを見せていただきました。(中略)浮力の力で動かす仕組みの可動展示室の建設は困難を極めました。まずベースとなる下部の台船は造船所で細密に製作したものを台船クレーンで釣りあげたまま、海路より陸揚げし、上屋の部分は現地で建設いたしました。竣工前に水位を上げ、浮力実験を行った時に、約42トンもするキューブが浮き上がった瞬間、現場全員の喚起の声が上がりました。さらに移動を開始すると、一人の力でも動き、全員が驚いたことは今でも忘れません。(中略)今後も多くの方に訪れていただき、下瀬美術館並びに瀬戸内の多島美の美しさをご覧いただけると幸いです」とコメントした。

ユネスコ「世界で最も美しい美術館」最優秀賞のベルサイユ賞を受賞した下瀬美術館を、この機会にチェックしてみては。

■下瀬美術館|Simose Art Museum
住所:広島県大竹市晴海2丁目10-50
HP:https://simose-museum.jp

ベルサイユ賞HP:https://www.prix-versailles.com/2024

※ ノミネート施設:A4 Art Museum(中国)、Grand Egyptian Museum(エジプト)、Smritivan Earthquake Museum(インド)、Simose Art Museum/下瀬美術館(日本)、Paleis Het Loo(オランダ)、Oman Across Ages Museum(オマーン)、Polish History Museum(ポーランド)

(江崎貴子)

最新情報をTwitterで受け取ろう!
最新情報をFacebookで受け取ろう!
前の記事
一覧へ戻る
次の記事