日本フラワーデザイナー協会(略称、NFD)は、12月14日(土)に名古屋市の中小企業振興会館にて「第20回NFD全国高校生フラワーデザインコンテスト」の表彰式を実施した。昨年の同コンテストで銅賞に輝いた2人が、今年ついに悲願の金賞を受賞した。
コンテストの目的は、高校生を中心とした若い世代の芸術への関心を促進し、創造性や情操豊かな人間性を育むこと。今年は「多様性」をテーマに、持続可能な素材の活用や環境への配慮を評価ポイントに組み込み、次世代のフラワーデザインの可能性を探求した。
日本フラワーデザイナー協会について
日本フラワーデザイナー協会は1967年に設立。フラワーデザイナー組織として唯一の公益社団法人だ。フラワーデザインの資格認定および登録を行い、その普及と広報を図ることで、日本の生活文化の向上に寄与することを目的として活動している。
全国に53の支部を持ち、会員数は約15,000名、約8,000名のNFD講師が在籍し、花に関わるさまざまな分野で活躍している。
「アレンジメント作品」35点が出展
イベントには全国から15校が参加し、35点の「アレンジメント作品」が出展された。会場では白熱の作品制作が行われ、夕方の表彰式では若きデザイナーたちの創造性が称えられた。惜しくも入賞できなかった学生がその場で涙を流す姿も見られたそうだ。
出展者は全員、プロのフラワーデザイナーから直接講評を受ける機会を得て、日頃の取り組み方や自分の作品の改善点について具体的なアドバイスが行われ、顧問の先生たちも生徒と共に真剣な面持ちで耳を傾ける姿が印象的だったという。
金賞受賞者の声
金賞・文部科学大臣賞を受賞した兵庫県立有馬高等学校の板谷由菜(いたやゆな)さんは、「大臣賞を受賞できたことに本当に感動しています。制作では、細い竹を古木の上に浮かせた構造に挑戦し、緊張感を保ちながらモダンな表現を追求しました。花を入れるのに苦労しましたが、それが良い経験となりました。」とコメント。
板谷さんの作品「由縁」は、審査員特別賞・スワ ミヤ賞も受賞した。
金賞・農林水産大臣賞を受賞した愛知県立豊田北高等学校の八木野の花(やぎののか)さんは、「この1年、大臣賞を目標に努力を重ねてきたので、とても嬉しいです。テーマの『多様性』を表現するために、互いが認め合うように、いろいろな形の花を集め調和を図るのに苦心しました。」とコメントしている。
八木さんの作品「個性の交差」は、審査員特別賞・山成 美穂賞も受賞した。
銀賞・愛知県知事賞を受賞したのは、静岡県立遠江総合高等学校の左口芽夢(さぐちめむ)さん。作品名は「樹の中-生物多様性に寄せて-」。
群馬県立富岡実業高等学校の小暮美輝也(こぐれみきや)さんによる「紡ぐ」は、銀賞・名古屋市長賞を受賞。
滋賀県立信楽高等学校の中尾一結(なかおゆい)さんによる「あなたが紡ぐstory」は、銅賞・愛知県教育委員会賞を受賞。
群馬県立藤岡北高等学校の宇佐見真央(うさみまお)さんによる「価値観を生み出す繭」は、銅賞・名古屋市教育委員会賞を受賞。
群馬県立勢多農林高等学校・萩原彩奈(はぎわらあやな)さんの作品「芽吹く」と、岐阜県立加茂農林高等学校・市原未菜(いちはらみな)さんの作品「目指すあの場所」は奨励賞を受賞した。
SDGsへの意識を育む重要な機会に
日本フラワーデザイナー協会理事長の西村好正氏は、「今回のコンテストは、単なるフラワーアレンジメント作品を競う場にとどまらず、次世代を担う若者たちの創造性を引き出し、SDGsへの意識を育む重要な機会となりました。今後、エコ素材やリサイクル・リユース素材を積極的に活用した作品がさらに増えていくことが期待されます。彼らの作品には、伝統と革新が融合しており、今回のテーマである『多様性』への深い理解が反映されています。このような取り組みは、日本のフラワーデザイン業界の未来に大きな希望をもたらすものと確信しています。」とコメントしている。
「全国高校生フラワーデザインコンテスト」の概要・結果については、結果発表のページをチェックしてみて。
全国高校生フラワーデザインコンテスト結果発表:https://www.nfd.or.jp/event/highschoolfdc-20th
日本フラワーデザイナー協会Instagram:https://www.instagram.com/flowerdesigner_nfd
(江崎貴子)