
シーガルインが、これまで駆除・廃棄されるだけだった「ガンガゼ(ウニの一種)」を100%有効活用し、長崎・壱岐島の環境保全と経済循環を両立させる「地域循環型・磯焼け対策プロジェクト」を発足。同プロジェクトの第一歩として、2月8日(日)23:00までの期間、クラウドファンディングサイト・READYFORにて支援を募集中だ。
全国的に「磯焼け(海の砂漠化)」が深刻化

資料:農林水産省「2025年漁業構造動態調査」よりシーガルイン作成
現在、日本の沿岸域は、かつてない存亡の機に立たされているとのこと。農林水産省の調査によれば、沿岸漁業の生産量は長期的な減少傾向に歯止めがかからず、それに伴い漁業就業世帯数および就業者数も著しく減少しているという。

資料:農林水産省統計部「2022年漁業構造動態調査」よりシーガルイン作成
特に、アワビやサザエ等の磯根資源に依存してきた離島地域の漁村では、資源の枯渇がそのまま地域の衰退に直結するという過酷な現実に直面。この生産力低下の主因として全国的に深刻化しているのが、藻場の消失、すなわち「磯焼け(海の砂漠化)」だ。
対策を講じるも、磯焼けの進行に追いつかない
水産庁の「磯焼け対策指針」において、藻場は魚類の産卵・保育の場であり、海洋生態系の基盤を支える「海のゆりかご」であると定義されている。しかし、近年の海水温上昇に加え、食害動物である「ガンガゼ」の異常繁殖が、残された海藻を食い尽くす事態を招いており、かつて豊かな緑に包まれていた海底は、不毛な白い岩場へと変貌し、「ガンガゼ」だけが密集するという、負の生態系が形成されているという。
国もこの事態を重く受け止め、水産庁の「漁場生産力・水産多面的機能発揮対策」等を通じて多額の交付金を投入。これにより、全国各地で漁業者による「ガンガゼ」の駆除や藻場の清掃活動が展開されている。
広大な海域で繁殖し続ける「ガンガゼ」を相手に、高齢化が進む漁師たちが「獲って・叩き潰し・廃棄する」という重労働を繰り返しているが、それはあくまで公的支援に基づいた維持活動に留まっているそう。
多額の税金が投入され、懸命な駆除活動が続けられているにもかかわらず、磯焼けの進行に追いつかない。この「報われない努力」と、次世代へ海を引き継げないことへの絶望感が、今、日本の沿岸漁業の根幹を揺るがしているのだ。
環境保全と経済循環を両立させるプロジェクト発足
かつて「魚の宝庫」と呼ばれた長崎県・壱岐島もいま、主因の一つ「ガンガゼ」の大量発生で、深刻な磯焼けで危機に瀕しているとのこと。
そこで、九州北部にある長崎県壱岐市にて、マリンスポーツ・フィッシング・宿泊施設・飲食店などその人に合わせた楽しみ方で満喫してもらう独自のサービスを提案しているシーガルインが、これまで駆除・廃棄されるだけだった「ガンガゼ」を100%有効活用し、環境保全と経済循環を両立させる「地域循環型・磯焼け対策プロジェクト」を発足。


ガンガゼの身を加工した糀うに
トゲが鋭く扱いづらい「ガンガゼ」を安全に処理し、独自の加工技術を駆使し食材として美味しく加工・流通させる、日本初(※1)の仕組みを構築した。

棘取り後の加工場

特許取得済の船底用忌避剤
さらに、棘殻を破棄せず、工業用の機能性原料として使用。身を取った後の殻を十分に乾燥させ、専用の粉砕機で微細な粉末に。この微粉末を市販の船底塗料に混ぜて通常通り塗装することで、フジツボの付着を長期にわたって抑制する「忌避添加剤」へと生まれ変わる。


一般的な化学忌避剤とは異なり、「ガンガゼ」の棘殻という自然由来の成分を活用しているため、環境負荷が低いのが特徴。廃棄物を再利用するだけでなく、新たな価値を与える「アップサイクル」を実現した同技術は、特許も取得済みだ。
ただ「ガンガゼ」を間引くだけでなく、適切な密度管理を行い、海藻が自律的に再生できる環境を整えるのに加え、この循環モデルを成功させ、同じ磯焼けに悩む全国の沿岸地域へノウハウを共有するという。
クラファンで支援を募集中
また、「地域循環型・磯焼け対策プロジェクト」は、2025年12月28日(日)~2月8日(日)の期間、クラウドファンディングサイト・READYFORにて支援を募集中。
目標金額は100万円で、集まった資金は「ガンガゼ」の商品開発、「ガンガゼ」粉砕機の導入、工業用途検討の試験運用などに活用される。
厄介者のウニ「ガンガゼ」を100%活用し、海の砂漠化を救う「地域循環型・磯焼け対策プロジェクト」を応援してみては。
READYFOR:https://readyfor.jp/
プロジェクト名:磯焼け対策プロジェクト ガンガゼ活用~壱岐の海を、未来へ繋ぐ~
シーガルイン:http://seagull-inn.co.jp/about
※1 日本初の定義:2025年12月時点、シーガルイン調べ。日本国内における「ガンガゼの全量活用(工業用原料および食材等)を目的とした磯焼け対策事業」として。
(佐藤ゆり)