
かつて室町時代に、朝廷や幕府にも献上された幻の清酒「百済寺樽(ひゃくさいじたる)」を、再び現代に蘇らせようとする「百済寺樽復活プロジェクト」。このたび、普段は立ち入りが許可されていない醸造研究現場を特別に見学できるツアーを2月14日(土)に開催する。一般参加者の応募は2月5日(木)17:00締め切りで受付中で、限定3名の募集となる。
焼き討ちを生き抜いた菩提樹の酵母で造る酒
百済寺樽とは、室町時代に来日したカトリック宣教師ルイス・フロイスにより「地上の天国」と称された滋賀県屈指の古刹「百済寺」で醸されていた銘酒。公家の日記『言国卿記』などの史料にも記されており、幕府や朝廷に献上されるほど都人に珍重されていたという。しかし、1573年の織田信長による百済寺焼き討ちにより途絶え、以後400年以上にわたり「幻の酒」となったという。
百済寺樽プロジェクトは、この幻の酒を現代に蘇らせて未来へつなぐことを目的に、代表の藤田彩夏氏の発案から2016年に発足。百済寺地域を活性させるために、寺院、酒蔵、地元農家、JA、行政、地域住民などが連携し、現代に愛され続ける「第二の百済寺樽」を目指して取り組んでいる。現在はファンコミュニティ「たる部」の運営や大学や行政との協働を通じ、地域に新たなつながりを生んでいるという。

百済寺の菩提樹
2017年に一度復活させた際には、一般販売で発売から30分で完売。現在の百済寺樽は、信長の焼き討ちを生き延びて、今もなお命をつなぐ百済寺繁栄の象徴である「菩提樹」の花から採取した酵母で、新たな酒造りに挑戦している。
研究員の解説付きで現場を特別公開
今回の見学ツアーでは、普段は立ち入ることのできない滋賀県工業技術総合センターの醸造研究現場を特別に公開。仕込み後約10日、総米200gスケールの醸造試験の様子など、百済寺酵母研究の過程を研究員の解説付きで紹介してもらえる。菩提樹から分離・培養で取得した、17株の菌株から、優良株を選抜中で、そのプロセスも資料で解説する。
また、「なぜ菩提樹の酵母なのか」など歴史と研究が交差するストーリーや、100年先を見据えた挑戦についてプロジェクトリーダーが語るほか、見学の最後には参加者との意見交換も行う予定。
「百済寺樽」の歴史の1ページに立ち会ってみては。
■「百済寺樽プロジェクト」開催概要
日時:2月14日(土) 14:00~16:00
場所:滋賀県工業技術総合センター 別館(滋賀県栗東市上砥山232)
内容:スライドによる研究解説、有望株の解説、醸造試験施設の見学、百済寺樽(今年度仕込み分)の試飲 ※百済寺酵母を用いた酒の試飲は本段階では行わない
応募方法:https://hyakusaijitaru.com/oshirase/bodaijupj.html (百済寺樽HPより)
応募締め切り:2月5日(木)17:00
(山崎正和)