
撮影:川村喜一氏
水星が運営する湯治宿「ホテル雲井」にて、初となるアーティスト・イン・レジデンス企画「Artist in “Ice” Residence 2026 -湯治宿のふゆごもり-」の制作成果をまとめた作品展示を開催中だ。展示期間は3月8日(日)まで。
煙に巻かれた湯治宿「ホテル雲井」

ホテル雲井は、大雪山の麓、層雲峡温泉に佇む温泉宿だ。古くからこの地で営まれてきた温泉宿・ホテル雲井を、「煙に巻かれた湯治宿」をコンセプトに2025年9月にリニューアルオープンした。


市街の喧騒から遠く離れた山間地には、日々表情を変える雲模様と山々の逞しい岩肌、そして新緑や紅葉、雪景色など豊かな自然があり、100%源泉かけ流しの硫黄泉が楽しめる。
氷点下での湯ごもり、それぞれの眼差し

ホテル雲井は現在、初となるアーティスト・イン・レジデンス企画「Artist in “Ice” Residence 2026 -湯治宿のふゆごもり-」の制作成果をまとめた作品展示を開催中だ。

同企画は、単にホテルに滞在し作品を制作するものではなく、氷点下という過酷な環境と湯ごもりの対称性を感じとり、身体感覚や思考の変化を伴いながら創作に挑む試みとして位置づけている。

結果、同地の自然や歴史に思いを馳せることではじめて見えた視点、またアーティスト同士のコミュニケーションから生まれた気づきなどが生かされた作品が数多く生まれたという。

また、そうした背景を踏まえ、「氷点下での湯ごもり、それぞれの眼差し」をテーマに、アーティストと相談しながら、それぞれの作品を館内のいたるところに展示している。
Aria in Cloud


「Aria in Cloud」は、北海道斜里町在住の写真家・狩猟者である川村喜一氏の作品だ。

川村氏は、「この場にふさわしい写真のたたずまいを考えていた時、ホテル雲井に眠っていた昔のお盆や、私たちをあたためてくれる温泉の桶に出会いました。うつわに張った水が景色をうつし、やがて氷となるように、層雲峡の時の断片を綴じました」とのコメントを寄せている。
黒岳5合目より


「黒岳5合目より」は、大樹町在住の画家・おおばさくら氏の作品。

おおば氏は次のようなコメントを寄せている。
「北海道の十勝に移住してきて、なぜ昔の人はこのような場所を拓こうとしたのだろうと思うことがよくある。初めて層雲峡に降り立ったときもそうだった。あれから何年か経ち、冬の黒岳からみた層雲峡は、大雪の山々にまるで護られているようだった。もしかしたらみんな何か護りたいものがあって北の大地を拓いてきたのかも知れないと思った。」
(リ)カヴァーする


「(リ)カヴァーする」は、東京都を拠点とする詩人・パフォーマンスアーティストの今宿未悠氏の作品。

今宿氏は作品について、「層雲峡で書いた散文詩を、薄いアイヌ語集で逐語置換し、訳せない語を空白として残したZINE。空白は失われた言語層を可視化し、薄紙の日本語が下層の断片を覆いながら透かす。覆う/残す矛盾を造本で固定する」と語っている。
層雲峡の川で遊ぶ


「層雲峡の川で遊ぶ」は、神奈川県在住の画家・Shibi氏の作品。

Shibi氏は次のようなコメントを寄せている。
「流星の滝の近くを流れる川では、石に積もった雪が気温とともに溶け、まんまるのフォルムへと変わっていた。その姿はとても愛らしく、眺めているだけで心が癒される。真っ白な雪は光を反射し、にこにこと微笑んでいるかのように川の上に佇んでいた。そんな場所に、無邪気に遊ぶ妖精の姿が自然とイメージの中に現れた。」
主催者コメント

主催者は「Artist in “Ice” Residence 2026 -湯治宿のふゆごもり-」について、次のように話す。
「(前略)厳しくも美しい氷点下の環境を前向きに受け止めてくださったアーティストの皆様の滞在は、それぞれの作品の中に静かに、そして確かに映し出されています。(中略)本展示は、多くの方々の支えとアーティストの滞在の重なりによってかたちになった、今季限りの表現です。季節が移ろう前にぜひ足をお運びいただき、それぞれの滞在の軌跡を辿っていただけますと幸いです。」
展示は3月8日(日)まで。ホテル雲井に足を運んでみては。
■「Artist in “Ice” Residence 2026 -湯治宿のふゆごもり-」企画展示
展示場所:北海道上川郡上川町層雲峡 ホテル雲井(フロント、ビリヤードラウンジ、小広間、客室など、館内の複数箇所)
展示期間:2月23日(月・祝)〜3月8日(日)
参加アーティスト:川村喜一氏 / おおばさくら氏 / 今宿未悠氏 / Shibi氏
ホテル雲井 公式サイト:https://www.hotelkumoi.com
(オガワユウコ)