あわせて、資金調達のためのクラウドファンディングも実施

十一面実行委員会(愛媛県四国中央市、代表:(株)Smells good company 高橋将太)は、地域における文化振興およびアート・デザインの価値向上を目的に、3月13日(金)~29日(日)のうち月・火曜を除く計13日間、四国中央市の山寺・新長谷寺(愛媛県四国中央市寒川町)およびその周辺地域を会場に、アート・デザインの祭典「新長谷寺藝術祭『十一面』」の第3回を開催します。
2023年に始まった本芸術祭は、地域にひらかれた展示を通して、アートとの「出会い」、そして「鑑賞」の体験を重ねてきました。第2回となる2024年開催時は、新長谷寺のご本尊・十一面観音菩薩の33年ぶりのご開帳と重なり、延べ約7,000名が来訪するなど、大きな反響を得ました。
3回目となる本年は、「つづく、おわる、つづく、」をテーマに掲げ、四国中央市という一地域を例に、全国の同型の地方自治体に共通する課題や、地方芸術祭そのもののあり方を問い直す視点を導入します。
県内外から招聘した10組におよぶ初参加アーティストを迎えるほか、パフォーマンスや食に関するプログラムも新たに展開し、展示にとどまらない多層的な体験として芸術祭を構成します。
民間主導・有志によって継続してきた「十一面」は、地域に寄り添いながらも、その枠組み自体を更新する試みとして、今年新たなフェーズに踏み出します。
イベントの詳細
[表: https://prtimes.jp/data/corp/178534/table/2_1_ba956ce30b81688627f562ea1457fc4e.jpg?v=202602271045 ]
報道関係者向け説明会・見学会ついて
初日である3月13日(金)13時より、メディアの皆様を対象とした、報道関係者向け説明会・見学会を実施いたします。ご参加いただける方は、前日3月12日(木)18時までに下記アドレスまでご連絡をいただけますと幸いです。
◎日時:3月13日(金)13時~(30分~1時間程度)
◎集合場所:新長谷寺仁王門
◎内容:趣旨、特別プログラム、クラウドファンディング等に関するご説明。いくつかの作品解説。
◎参加ご連絡先:info@smells69.com(高橋)
個別取材にも対応可能です。各作家の在廊日等もご案内できますのでお問い合わせください。
「十一面」が生まれた背景とこれまでの歩み
本芸術祭は、2023年に初開催されました。
代表の高橋と、高校時代の同級生であり東京で作家活動を行っていた田渡が、故郷である四国中央市で偶然再会したことをきっかけに立ち上がった芸術祭です。
四国中央市は「日本一の紙のまち」として知られ、良質な紙をつくるという価値観を軸に発展してきた、ものづくりの力強さをもつ街です。一方で、美術館などの文化施設が存在しないことも事実でした。 この街がもつエネルギーを、別の角度からも爆発させられないか。自分たちの原動力であるアートやデザインを通じて日常に小さな衝撃を与え、新しい価値観を届けたい-そうした思いから芸術祭は始まりました。
初開催となった2023年は、四国中央市にゆかりのあるアーティストやデザイナーを中心に展示を構成し、延べ約5,000人が来場しました。桜満開の境内に点在する作品と、行き交う人々の賑わいが重なり合う風景は、街に一時的な「非日常」を立ち上げることとなり、想定を超える反響を得ました。
翌2024年の第2回では、県外からもアーティストを招聘し、22組26作品を展示。完全有志で運営される芸術祭という稀有な形式も相まって、多様な作家が関心を寄せ参加しました。
また、新長谷寺のご本尊であり、芸術祭の名称にもなっている「十一面観音菩薩」が33年ぶりにご開帳される年と重なったことから、かつてご本尊が漂流して辿り着いた浜辺(黒岩)から新長谷寺へと続く道筋を舞台に、路地や民家、倉庫などにも作品を展開。異なる時間や文化が重なり合う、独自性の高い体験を地域に届けました。

第1回(2023年)、第2回(2024年)の作品(一部)
「十一面」は、回を重ねるごとに鑑賞体験の位相を少しずつ更新してきました。
第1回は「芸術に出会うこと」、第2回は「芸術を鑑賞すること」。
そして3回目となる今回は、「芸術を鑑賞し、そこから考えること」を主題に据えています。
テーマ「つづく、おわる、つづく、」に込めた思い
第三回となる本芸術祭では、「地元地域のための芸術祭」という枠組みから一歩距離を取り、「四国中央市を一つの例とした、全国の同型の地方自治体に向けた芸術祭」として開催することを重視しています。
地域に根ざしながらも、全国各地で同時多発的に起きている「地域芸術祭」という現象そのものを、批評的に捉え直す視座を持ちたいと考えました。
その背景には、大きく二つの理由があります。
一つ目は、地方芸術祭の「儀礼化」への違和感です。
現在、多くの地方自治体で芸術祭が開催されていますが、小規模地域・行政主導の芸術祭においては、地域活性化や予算消化が主目的化し、アートとの関係が表層的に維持されるケースも少なくありません。回を重ねるごとに地域性の自己模倣に陥り、批評性を持ちえない構造のなかで、芸術祭が毎年の儀礼として消費されている状況も見受けられます。「街が消滅する前に華やかな生前葬を行っている」という比喩は、決して極端なものではないと感じています。
「十一面」は、行政主導ではなく民間主導で立ち上げられました。地域にひらいた1、2回目を経たうえで、3回目は芸術祭のあり方そのものを問い直す場として位置づけています。
二つ目は、街の「消滅」という現実です。
一昨年、四国中央市は消滅可能性自治体に指定されました。四国の中央という地理的条件から、都市部との距離や関係人口の獲得にも制約があり、観光資源やブランドとして可視化しやすい地域性を見出しにくい土地でもあります。その「フックの見えにくさ」自体が、地域の特徴なのかもしれません。
こうした地域で新たな試みを行う際には、地域との共通言語を一から構築する必要がありますが、価値観の変化が加速する現代において、どうしても現状維持を優先せざるを得ない構造があります。
2060年には人口が現在の半数を大きく下回ると予測されるなかで、偶然や運に委ねることはできません。
これらの問題は、四国中央市固有のものではなく、全国の多くの小規模自治体が共有する慢性的な課題です。そこで本芸術祭では視線を拡張し、「地元地域に対して」ではなく「地元地域を例とした同型の地方自治体に対して」問いを投げかけることを選びました。
そうして導かれたテーマが、「つづく、おわる、つづく、」です。


日常に擬態するキービジュアル
本藝術祭では、これまでの開催を通じて用いてきた「美術展らしい」キービジュアルが、果たして地域にとって本当に有効な入口になっているのかを、あらためて検討してきました。開催地である四国中央市は、芸術や文化的体験、また情報が意匠化されて提示される状況自体が、いまだ生活の中で十分に一般化しているとは言い難い地域です。そのため、入口となるビジュアルが生活の外側の言語に寄りすぎた場合、芸術祭そのものが地域から距離のある存在として受け取られてしまうのではないか、という問題意識がありました。
こうした背景を踏まえ、本年のキービジュアルでは「町への身近さ」と「批評性」をどのように両立できるかを主題としています。その試みの一つとして、あえて強くデザインされた美術展のビジュアルではなく、市民の多くにとって目馴染みのある1色刷りのスーパーのチラシをモチーフに採用しました。日常の中に自然に紛れ込み、当たり前のように掲示・配布されることで、芸術祭が町の風景の一部として立ち上がることを意図しています。
なお、本ビジュアルは出展作家や作品を商品的に扱うことを目的としたものではありません。チラシという形式がもつ印象や文脈については慎重に検討を重ねたうえで構成しており、芸術祭と地域との関係性そのものを問い直すための一つの表現として位置づけています。

パフォーマンス・食を通じたプログラム展開
本芸術祭では、展示作品に加え、パフォーマンスや食に関するプログラムも企画しており、より立体的な体験として芸術祭を楽しめる構成を予定しています。
3月14日(土)には、香川を拠点に活動する現代サーカスカンパニー うきも -project- によるオープニングパフォーマンスを実施します。
サーカスアーティスト・谷口界と大旗遣い・麻風を中心に結成された同ユニットは、「自然とつながるサーカス」をテーマに、シルホイールや大旗、庵治石といった素材を用い、重力と浮遊の狭間を行き交う身体表現を展開しています。風や光、石といった自然要素を身体に取り込みながら、空間や観客との呼吸を共有することで、鑑賞者の感覚をひらくパフォーマンスを行います。
また、3月21日(土)には、愛媛を拠点に活動する料理人ユニット LOOP による食のプログラムを予定しています。 土地や食材、そこに関わる人の存在を大切にしながら、その場所に流れる時間や空気を料理として立ち上げる試みであり、芸術祭の文脈を食の体験へと拡張するプログラムとなります。
各プログラムの詳細や参加方法については、公式Instagramにて順次公開予定です。
公式Instagram

クラウドファンディングについて
本芸術祭では、開催にあわせて4月1日までクラウドファンディングも実施しています。
リターンには、上記パフォーマンスや食のプログラムの予約特典のほか、公式ショップなどで使用できるチケット等をご用意。
お預かりした支援金は、参加作家への謝礼をはじめ、本展の広報費や会場設営費など、芸術祭運営全般に充てられます。
民間主導・有志によって継続してきた芸術祭だからこそ、来場者や支援者とともに形づくる運営のあり方を模索しています。
クラウドファンディングサイトはこちら

初参加アーティスト(一部紹介)
<平山 昌尚>
1976年兵庫県生まれ香川県在住。絵画、パフォーマンスなど。主な個展に「高松、赤ちゃん」Syndicate(香川、2024)、「ニース」Yvon Lambert(パリ、2024)、「ニース」Gallery αM(東京、2023)、「町の絵」clinic(東京、2022)、「NFT」NADiff Window Gallery(東京、2022)、「1~4」VOILLD(東京、2020)、「カード」TALION GALLERY(東京、2018)、「Book Show」Nieves(チューリヒ、2017)/ユトレヒト(東京、2017)など。主なグループ展に「平山昌尚×五月女哲平」OBG eu.(兵庫、2022)、「101 to 101」nidi gallery(東京、2021)、「楽観のテクニック」BnA Alter Museum(京都、2020)、「思考するドローイング」札幌大通地下ギャラリー500m美術館(北海道、2019)、「#12 Post-Formalist Painting」statements(東京、2017)、「Sylvanian Families Biennale 2017」XYZ collective(東京、2017)など

画像:ダンスのメリー(2024)
<orm>
2024年より活動を開始した、美術家 藤井智也・高橋ちかやによるアーティストユニット。 Formとは英語で形、姿、外観、構造などを指すが、その頭文字である「F」を消すことで、本来単語に含まれている意味と形状を別のものに変えるという言葉遊びに由来する。「New Artists / NEW Backbone Artists 2025」 NEW Backbone Artists グランプリ受賞。令和7年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業採択者。主な展覧会に「Wonderland」(√K Contemporary, Tokyo, 2026)、「NEW New Artists / NEW Backbone Artists 2025」(Art Center NEW, 横浜,2025)、「aisubureikingu/aiseubeureiking」(studiya., Seoul, 2025)、「150年」(東京, 2025)など。 また香川県高松市にてアーティストランスペース「Syndicate」を運営。国内外で展覧会の企画を行なっている。

画像:《Wonderland》(√K Contemporary, 東京, 2026)
<坪本 知恵>
1997年愛媛県生まれ。2020年京都芸術大学(旧:京都造形芸術大学)美術工芸学科修了。現在は京都を拠点に制作活動を続けている。愛媛県にある安藤正楽による日露戦役紀念碑から着想を得て、言葉の保存や伝達、言葉の意味の変容をテーマに作品を制作する。

画像:間の形(2023) Photo: YUKIKO MIZUTANI
「紙のまち」ならではのアーティスト
<長谷川隆子>
切り絵作家。京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。香川大学非常勤講師。芸術士(R)。自身の帰郷を機に、四国各地に伝わる和紙の文化と出会う。その滑らかさや美しさに魅了され、「切り絵」の手法を用いた美術作品と照明による空間全体を使ったインスタレーションを展開。四国中央市出身、香川県在住。

画像:慈眼(十一面2024より)Photo: CRIE
<大西満王>
愛媛県四国中央市に出生。中学から書道を本格的に始め、高校では「書道パフォーマンス甲子園」にも出場。書道ができるのも紙産業があってこそと、紙の製造に興味を持ち始め、大学では紙を研究。その中で、地元四国中央市の手漉き和紙産業が衰退危機にあることを知り、なんとか産業を残していきたいという思いから、手漉き和紙職人として自ら「多羅富來和紙」を創業した。

画像:奉 般若心経(十一面2024より)Photo: CRIE
<松本莉央>
現代美術家、紙アクセサリー作家。沖縄県立芸術大学大学院造形芸術研究科修了。大阪出身でありながら、素材(紙)を求めて四国中央市に移住。本展では四国中央市の和紙職人、大西満王 の手漉き和紙を使用した作品を展示する。

画像:plant lives十一面2024より)Photo: CRIE
実行委員等について

代表:高橋 将太/1990年生まれ。愛媛県四国中央市出身。関西のデザインプロダクションに勤務したのち、故郷にUターン。デザイン事務所(株)Smells good company代表。
ディレクター:田渡 大貴/1990年生まれ。愛媛県四国中央市出身。武蔵野美術大学卒業。本芸術祭ディレクター。panorama代表。実験的デザインコレクティブMULTISTANDARDメンバー。

デザイナー:高橋 柚実/1990年生まれ。愛媛県松山市出身。印刷・広告会社に勤務ののち、結婚を機に四国中央市に移住。現在、(株)Smells good company代表。本展のグラフィックデザイン等を担当。
新長谷寺副住職:長尾 龍明/1991年生まれ。愛媛県四国中央市出身。