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株式会社MQue

人事の未来は「非定型データ」にあり──マックス・プランク研究者 × 丸紅が語る、AI活用の最前線

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Future HR × AI Roundtable イベントレポートを公開


(写真左から)MQue代表・津田氏、マックス・プランク研究所・矢倉氏、丸紅・福永氏

最先端技術の研究を社会課題の解決に活かすディープテックパートナー、株式会社MQue(代表取締役:津田拓也、以下「MQue」)は、2025年12月8日(月)「生成AI×組織」をテーマにしたラウンドテーブルイベント「Future HR × AI Roundtable~生成AI時代における人と組織の未来ビジョン創出会議~」を、コミュニケーションラウンジ Oasisにて開催しました。MQueは、AIの判断プロセスに人の文脈や経験を組み込み、相互に学び合う仕組みを構築する「人とAIの協働知」という研究領域を基盤としています。この知見をもとに、非定型データを活用した人材・組織のアップデートを実現し、先端技術による企業変革を支援しています。

本イベントは、生成AIと組織の関係性に関する最先端の海外研究や国内外の実践事例を共有し、日本企業が自社における活用のヒントを得ることを目的としています。生成AIが人や組織にもたらす変化を、研究者・企業・参加者が同じ視点で議論する国内でも数少ない場となりました。本レポートでは、生成AI時代における人と組織の新しい向き合い方を、研究と実践の両側面から紹介します。

当日は、世界最高峰の学術研究機関であるドイツ・マックス・プランク人間開発研究所にて、人間の創造性や学習の拡張をテーマに研究を行う矢倉大夢氏による講演に加え、丸紅株式会社の福永氏による現場でのAI活用事例の紹介、参加者によるワークショップなどが実施されました。当日の会場の様子や議論の内容、今後の日本における展開についてお伝えします。

■矢倉氏による講演「なぜ大規模AIモデルは人事・組織の未来を変えるのか」

講演で「人と組織のデジタルツイン化」の可能性を語る矢倉氏

矢倉大夢氏は「なぜ大規模AIモデルは人事・組織の未来を変えるのか」と題し講演を行いました。矢倉氏は、従来の数値データでは捉えきれない「個人の本音」や「意図」、「現場の文脈」といった非定型データを用いて、デジタル空間上に仮想の組織を再現する「ヒューマンデジタルツイン」の構想を提示。現実ではコストやリスクが高く試せない施策も、この仮想空間であれば「1万回の失敗」を含む大量のシミュレーションが可能になります。シミュレーションを通じて、組織デザインや人材抜擢の精度を高められると語りました。

このヒューマンデジタルツインにおいて競争優位を決定づけるものは何か。それはインプットとなる「非定型データの質と量」にあります。矢倉氏は、業務範囲が明確でAIによる業務の代替が進みやすい「ジョブ型雇用」に対し、日本企業特有の、職務を限定せず長期的に育成する「メンバーシップ型雇用」が育んできた組織文化や愛着といった言語化しにくい文脈こそが、他社には模倣困難な資産になり得ると強調しました。日本企業特有の文脈を活かし、質の高い非定型データを蓄積することが、世界における日本企業の勝機になると締めくくられました。

■丸紅株式会社 福永美華氏による実践事例の紹介

丸紅株式会社の福永氏が、キャリア共創プログラム「Marubeni Career College」におけるAI活用の実践事例を紹介

丸紅株式会社の福永美華氏は、採用活動の一環として実施した、学生に自己成長とキャリア形成の機会を創出する「Marubeni Career College」におけるAI活用事例を発表しました。同社のアプローチで特筆すべきは、AIを効率化や合否判定の道具としてではなく、学生の自己理解を深めるための「キャリア共創」ツールとして位置づけた点です。MQueと共同開発した「AI面談」は、オンラインでの対話を通じて学生の思考を深掘りし、その結果を「フィードバックレポート」として本人に還元する仕組みを構築。丸紅での活躍イメージとリンクさせた具体的なフィードバックを提供することで、企業と学生のエンゲージメントを高める「候補者体験(CX)」の追求を重視しました。

実際に、600名を超える学生が参加し、約95%の参加者が「自己理解や就活に役立つ」と回答するなど、AIが質の高い体験価値を提供できることを実証。同社は今後、このようなAI活用を採用プロセスに導入するだけでなく、社内のタレントマネジメント領域にも展開することも計画しています。AIを「人の代替」ではなく「個人の創造性を引き出すパートナー」として活用していく考えを示しました。

■AI活用の「可能性」を探求するワークショップ

ワークショップでは、参加者が自社の課題やAI活用の可能性について活発にディスカッションを行った

イベントの後半では、参加者同士によるワークショップを実施しました。講演でのインプットを振り返り、AI活用の可能性や課題を言語化。さらに、今後自社として具体的に検討していきたいテーマについて深掘りするディスカッションを行いました。各社のリアルな悩みや展望が共有され、次なるアクションへの解像度を高める、熱量の高い対話の場となりました。

■Astemo・トヨタ・丸紅に学ぶ、人の可能性を拓く「AI活用」の実践知

パネルディスカッションでは、AIが人・組織・経営にもたらす変化について議論を深めた

イベント終盤のパネルディスカッションでは、Astemo株式会社、トヨタ自動車株式会社、丸紅株式会社の3社が登壇。単なる業務効率化に留まらず、経営理念浸透や人材配置といった、組織の核心に迫るAI活用事例が共有されました。従来の定量調査では拾えない「現場の文脈」をAI対話で可視化し、経営と現場をダイレクトにつなぐ重要性を議論。AIをパートナーとして個人の可能性を最大化し、戦略的な組織変革につなげる未来への展望で幕を閉じました。

■独マックス・プランク人間開発研究所 矢倉 大夢氏のコメント
組織の数だけ「正解」があり、アプローチも多様です。各社独自の「文脈」という非定型データをどう活かすか、今日の議論でその柔軟性と可能性を改めて感じました。形式にとらわれず、組織ごとの文化に合わせて進化し続けるAI活用こそが、人事の未来を拓くと確信しています。

■丸紅株式会社 人事部 採用課 福永 美華氏のコメント
AIを単なる効率化や選別の道具ではなく、「個人の可能性を広げる」ためのパートナーとして捉えています。従来は見えづらかった個人の資質や考えをAIによって可視化するアプローチが、人的資本経営を前進させると実感しています。採用からタレントマネジメントまで、「人とAIとの協働」をさらに加速させていきます。

■株式会社MQue 代表取締役 津田 拓也のコメント
人事領域における「匠の知恵」や「暗黙知」を、AIの力でより科学的に、再現性のあるものへと昇華させるフェーズに来ています。ヒューマンデジタルツインの社会実装を通じて、組織のポテンシャルを広げ、一人ひとりの力が最大限に発揮される未来を皆様と共に創っていきたいと思います。
MQueは本イベントで議論された「非定型データを基盤とした人と組織のアップデート」を「人とAIの協働知」(AIの判断プロセスに人の文脈や経験を組み込み、相互に学び合うアプローチ) という研究領域を基盤として推進しており、先端技術を活用した企業変革を支援しています。

■開催概要
イベント名 :Future HR × AI Roundtable
 ~生成AI時代における人と組織の未来ビジョン創出会議~
日時 :2025年12月8日(月)13:00~15:30
会場 :丸紅株式会社(コミュニケーションラウンジ Oasis)
参加企業 :Astemo株式会社、トヨタ自動車株式会社、丸紅株式会社、など

■プロフィール

矢倉 大夢(Yakura Hiromu)
独マックス・プランク人間開発研究所 Centers for Humans and Machines 研究員

生成AIを含むAI応用の分野で多数の論文発表。Google及びMicrosoftのPh.D.フェローに選出されている他、大手製薬・メーカー等の幹部研修講師として招聘。会話解析のケース論文がAppleやシーメンスもスポンサーを行う国際会議にて表彰、VR/デジタルツイン論文が先端技術大賞に選出。これまでに国やNEDOの研究プロジェクトの代表者も務める。チームボックス元CTO。ドイツの代表的な研究機関としてAI分野でもプレゼンスを持つマックス・プランク人間開発研究所所属。

福永 美華(Fukunaga Mika)
丸紅株式会社 人事部 採用課 採用リーダー

2011年東京大学教育学部卒業後、丸紅株式会社に入社。入社時配属から現在に至るまで一貫して人事業務に従事。新卒・キャリア採用や海外駐在の福利厚生施策等の他、米国・ニューヨーク駐在も経験。2019年より人事制度改革やDE&Iの企画立案全般、プロジェクト全体をリード。2024年7月より現職にて、新卒・キャリア採用、社内公募・派遣社員等、人財インフロー施策の全般にチームリーダーとして従事。MQue社と協業で実施した業界初のケーススタディ形式「AI面談」に関するプロジェクト責任者。

津田 拓也(Tsuda Takuya)
株式会社MQue 代表取締役

マッキンゼー・アンド・カンパニーにて10年間に亘り、脱炭素技術の事業化・技術戦略の立案と実行等に従事。また、新卒採用チームにおいて日本支社の採用・育成プログラム設計に関与。一時マッキンゼーを離れ、英オックスフォードの自動運転スタートアップの5番目のメンバーとして、技術戦略・アライアンス交渉を推進。英国のサステナビリティ推進団体やインドのATMメーカーをプロボノで支援し、事業成長/コスト低減を実現した経験も有する。ロンドン・ビジネス・スクールMBA。MQueでは、経営全般に関する方針策定と実行を担う。

■株式会社MQueについて
株式会社MQueは、「世界的な研究実績を有する研究者の技術」を、「高難度な課題・ニーズを持つ企業の課題解決」に活用することで、社会課題の解決を行う組織です。「対話AI」「モデリング」「シミュレーション」の3つの領域で研究と事業を一体的に展開しています。

事業背景
日本には世界に伍する技術を持つ一流の研究者・エンジニアが多く存在します。
しかし企業・大学の論理によって、その優れた能力が社会実装に繋がらない、あるいは研究者が思うように力を発揮できないケースが多くあります。

各事業概要
対話AI事業
「人とAIの協働知研究」における研究者と、組織設計や経営者育成を専門とするコンサルタントが協働し、当社独自の対話AI技術とユースケースを開発しています。「対話」という非定型データを活用して人の暗黙知を可視化し、意思決定や組織運営の高度化を支援しています。大手金融、総合商社、人事企業などと連携し、これまで勘や経験に依存してきた配属・評価・育成・採用を、科学的な手法に基づき、企業固有の文脈を踏まえて再構築。AI対話を基盤に、人と組織の知を拡張する仕組みを開発し、組織の学習と変革の再現性を高めています。

モデリング事業
「コンピュータビジョン研究」における世界最高峰のコンピュータビジョン国際学会CVPRで高い評価を受けたエンジニアと連携し、建築・製造業の設計最適化を行っています。
ゼネコン・デベロッパー・設計事務所の設計図面の確認自動化・最適化や、建築や製造業メーカーの製品設計における顧客嗜好に寄り添った提案力・設計力強化を支援するサービスを提供しています。

シミュレーション事業
「流体解析研究」やサロゲートモデル・数理モデル・最適化などの分野で世界的な実績を持つ研究者と連携し、顧客の好みや環境負荷まで見据えたものづくりの設計最適化を行っています。デジタルツインやシミュレーションの妥当性検証、モデルベース開発を通じて、効率性と環境・顧客価値を両立する製品開発を支援するサービスを提供しています。

■会社概要
名称:株式会社MQue
住所:東京都文京区後楽2丁目3−21住友不動産飯田橋ビル 4階 Room8
代表:津田 拓也
URL:https://mque.co.jp/

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