「かば焼きが安く食べられる」では済まされない、野生動植物の絶滅と日本の消費

2025年12月22日20:00- 認定NPO法人野生生物保全論研究会によるワシントン条約参加報告会を開催します
2025年11月23日から12月5日まで、ウズベキスタンの古都・サマルカンドでワシントン条約第20回締約国会議(CITES CoP20)が開催されました。
認定NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)は、この会議にオブザーバー参加しNGO(非政府組織)として活動し、情報収集を行いました。

会場となったサマルカンド エキスポセンター
会議場
ウナギ属の附属書提案に関するサイドイベント
日本では「かば焼きの価格高騰か?」と注目された会議でしたが、そもそもこの会議にEUとパナマが提案したのは、ニホンウナギを含むウナギ属の附属書II掲載で、養殖に使うウナギの稚魚(シラスウナギ)を含むウナギが「絶滅に影響しない無害な取引である」「合法に取られたものである」と輸出国が証明すれば、国際取引ができます。そして国内でのウナギの取引は規制されません。
またヨーロッパウナギの保護のために、ニホンウナギも含めた附属書掲載の提案をしたのは、大量に取引されるウナギの稚魚やかば焼きなど加工品を、税関や警察など執行機関が、どのウナギの種であるのか見分けるのは困難だからです。一方、ウナギ属全種が附属書に掲載されれば、執行機関は輸出許可書の確認で済みます。
またカリブ海で密漁されたアメリカウナギの稚魚が、カナダを経由して中国で養殖され、かば焼きなど加工品となって日本に輸入されるというルートがあり、違法なウナギの流通は国際的な社会問題でもあります。そしてニホンウナギもアメリカウナギもIUCNレッドリストでは絶滅危惧種(EN)です。いつまでも現在のような大量消費は続けられないことは明らかです。

会議場内
サイドイベント
なぜ日本政府は「ウナギ価格高騰のおそれ」のために多大な外交努力を払ってこの提案に反対したのか。またウナギに限らず、なぜ日本政府はオカピやナマケモノの保護につながる提案に、100を超える参加国の中で唯一反対の意見を述べたのか。そして象牙を売りたい南部アフリカ諸国と、ゾウの密猟とそれに伴う犯罪に悩むそのほかのアフリカの国との対立をアフリカの国の中で解決しようとする動きなどを非政府の視点から報告します。
ワシントン条約第20回締約国会議参加報告会
日時:2025年12月22日(月)20:00-21:00
開催:Zoom
要申込:https://forms.gle/EA8wDZxichnsFqs16
参加費:無料
主催:認定NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)
報告内容: ウナギ、サメ、ゾウ、ペット動物 など
報告者:
真田康弘(オーシャン・ガバナンス研究所代表理事・総括研究主幹、学習院大学法学部客員研究員)
遠井明子(酪農学園大学教授)
萩原幹子(JWCSプロジェクトスタッフ)
鈴木希理恵(JWCS事務局長)