井上雄彦の書籍『円空を旅する』が発売。全国を行脚して12万体もの仏像を彫った江戸時代の僧・円空(えんくう)の足跡をたどる。
にっこり微笑んだ表情の、木彫りの仏像。江戸時代の修行僧「円空さん」は、全国を行脚しながら12万体もの仏像を彫ったとされている。現存する資料は少なく、どんな人物だったのか、なぜ仏像を彫り続けたのか、作品はどのように変化していったのか。その生涯には謎が多い。
そんな円空の足跡をたどる旅に、漫画家・井上雄彦が出た。きっかけは雑誌『美術手帖』2013年2月号の「円空」特集。以前から円空の仏像に関心を抱いていた井上は、雑誌の取材の話に縁を感じて、「円空仏」とはじめて対面。以来、全国に5000体現存するという円空仏をもっと見たいと考えるようになった。
本書のなかで訪れているのは、北海道、青森、岐阜、愛知、滋賀、三重。各地の円空仏を、現地の人の案内のもと見て回る。旅したのは、円空仏を安置するお寺をはじめ、地元の人の管理によって守られているお堂、円空が修行し、仏像を彫ったとされる山岳霊場など。土地により作風の異なる円空仏を見て、旅で出会う人たちと交流するなかで、井上は次第に円空の姿に共鳴していく。
円空仏について井上は、「こちらとあちらを隔てる壁がない」と語る。崇められるのではなく、いまでも人々の暮らしのすぐそばで大切にされる円空仏。井上はそこに何を感じとったのか? 本書は井上を通して、修行僧であり、彫刻家であり、ひとりの人間である円空の存在に出会い、なぜ人は円空の仏像に惹かれるのかを発見することができる一冊となっている。
円空をはじめて知る人のための基礎知識、実際にスポットを訪ねたい人のためのアクセス情報も掲載。
【目次】
第1章 「はじめまして、円空さん」
岐阜の旅
井上雄彦の取材後記「円空仏」
旅のスケッチ
第2章 「現役で慕われる円空仏に泣く」
青森・北海道の旅 ゲスト=山下裕二(美術史家)
井上雄彦の取材後記「円空仏取材で目から水が出た」
旅のスケッチ
第3章 「師匠と呼ばせてください!」
岐阜・愛知・滋賀・三重の旅 前編
旅のスケッチ
第4章 「同じつくり手として」
岐阜・愛知・滋賀・三重の旅 後編
旅のスケッチ
あとがき/円空Q&A/この本で旅した円空スポット
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井上雄彦『円空を旅する』 10月24日発売予定
定価 2200円+税
発行元 美術出版社
出版社サイト http://book.bijutsu.co.jp/books/2015/10/20151020.html
Amazonサイト http://amzn.to/1ZIiKmt