クミアイ化学が作物の高温ストレス耐性を高める植物由来のバイオスティミュラント「なつつよし(R)」の販売を開始しました。
クミアイ化学工業株式会社(代表取締役社長:横山 優、以下「当社」)は、2026年2月27日より、植物由来のバイオスティミュラント「なつつよし(R)」の販売を開始しました。


「なつつよし(R)」は染料植物のムラサキの根から抽出したシコンエキスを主成分とするバイオスティミュラントで、静岡大学と株式会社メニコンとの共同研究の成果を基にメニコン社が開発しました。当社が初めて販売するバイオスティミュラントとなります。
「なつつよし(R)」は、植物のHSP(熱ショックタンパク質)遺伝子の発現を促し、近年の地球温暖化により問題となっている作物の高温障害(水稲:白未熟粒の増加、不稔粒の増加、収量低下、果菜類:花粉稔性低下、着果不良等)の改善が期待できます。
水稲では「なつつよし(R)」処理により白未熟粒発生の要因となるデンプン分解酵素α-アミラーゼの活性抑制が確認されています。
HSPの主な役割
植物は体内でHSP(熱ショックタンパク質)を産生することで高温ストレスに対応しています。HSPは主に次のような働きを通じて、暑さに対する抵抗性を高めると考えられています(図1)。
1. タンパク質の修復・分解(主な機能):高温などのストレスで構造が傷んだタンパク質を修復したり、不要になったタンパク質の分解を促したりすることで、細胞内のタンパク質を整え、細胞機能を安定に保ちます。
2. 活性酸素ストレスからの防御:抗酸化酵素など、活性酸素の処理に関わるタンパク質の働きを守ることで、高温などのストレスによって生じる活性酸素によるダメージを受けにくい状態づくりに貢献します。
3. 花粉稔性の維持:高温条件では花粉形成や花粉管伸長に関わるタンパク質も傷みやすくなります。HSPによるタンパク質保護は、これらのタンパク質の働きを支えることで、花粉の稔性低下を抑え、受粉・結実の安定化に寄与すると考えられています。

図1.HSPの作用のイメージ(株式会社メニコン作成)
なつつよし(R)の作用メカニズム
「なつつよし(R)」を植物に処理すると、植物は高温ストレスに対応するためのHSPを増産しやすい「準備状態」になります。この状態で実際に高温ストレスが発生すると、通常よりも速やかにHSPを多く生産できるようになります(プライミング効果、図2)。
このように「なつつよし(R)」は、植物のHSP生産を促すことで、作物の高温障害を軽減すると考えられています。

図2. プライミング効果のイメージ図
(Khan A, etc., 2022, Plant Sci.13:866409.を基に株式会社メニコンが作成)
<試験の紹介(当社社内試験)>

図3.水稲の品質調査結果(愛媛県B市・2025年)
品種:ヒノヒカリ、育苗箱処理(6月7日、500 倍希釈液、500ml/箱、かん注)
移植日:6月8日、本田処理(8月25 日、5,000 倍希釈液、100L /10 a、出穂期スプレーヤ散布)
出穂日:8月20 日、収穫日:10 月7日
出穂期以降20日間の気温:日最高気温の平均32.1℃、日最低気温の平均25.8℃
愛媛県の水稲現地試験では、「なつつよし(R)」の育苗箱処理後、本田処理後の収穫物の玄米品質調査の結果、整粒割合が増加し白未熟粒割合が減少する傾向が認められました。
最後に
バイオスティミュラントは、農水省が推し進める「みどりの食料システム戦略(※1)」を背景に注目を集めており、今後の市場拡大が予想されています。当社は農薬分野で培った技術力・営業力を活かしてバイオスティミュラント分野に参入し、本製品をもって地球温暖化の影響による食料生産現場での課題解決に貢献してまいります。
※1 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するために農水省が策定した戦略。2050年までに目指す姿として、化学農薬の使用量(リスク換算)50%削減や有機農業の取組面積の拡大などが目標として設定されている。
会社紹介
【株式会社メニコン】
メニコンは、1951 年に日本初の角膜コンタクトレンズを開発して以来、「より良い視力の提供を
通じて広く社会に貢献する」という企業スローガンのもと、瞳の安全性を最優先に考えた研究開発
、独自の高度な製造技術、そして将来にわたって快適で安心な瞳の健康をサポートするメルスプラ
ンを提供しています。レンズ素材やデザインの開発のみならず、レンズケア用品の製造、コンタク
トレンズやレンズケア用品の販売までを一貫して行うコンタクトレンズ総合メーカーです。名古屋
市を本拠に、世界80 カ国以上で事業を展開しています。
https://www.menicon.co.jp/company/
【クミアイ化学工業株式会社】
クミアイ化学は、農薬メーカーとして70年以上、創造する科学を通じて「いのちと自然を守り育てる」ことをメインテーマに「農薬」「化成品」の研究開発・製造・販売に取り組んでいます。世界市場を見据えた新農薬や農業生産技術の開発を通じて、農業生産をはじめとしたさまざまな社会課題の解決に貢献しています。
https://www.kumiai-chem.co.jp/