PPG由来の心拍(IHR)と体動(ZCM)のみをインプットに、4段階の睡眠ステージ推定において感度77.2%を達成/『IEEE』への論文掲載

株式会社SOXAI(代表取締役社長・渡邉達彦、以下、SOXAI)は、東京大学および英国エセックス大学(University of Essex)との共同研究により、スマートリングに搭載されたPPG(光電式容積脈波)由来の心拍情報と加速度センサ(体動)情報のみを用いて、軽量ニューラルネットワークによる睡眠ステージ(Wake / Light / Deep / REM ほか)の推定が高精度に可能であることを示しました。
本研究論文は、『IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement』に掲載(DOI: 10.1109/TIM.2025.3635330)されています。
論文のURL:
https://ieeexplore.ieee.org/document/11262242
当研究の背景・目的
睡眠ステージ推定のゴールドスタンダードであるPSG(脳波・筋電・眼電を含む終夜検査)は高精度である一方、装着や計測環境の制約が大きく、日常的・継続的な計測にはハードルがあります。
そのため、ウェアラブルデバイスで取得できる生体信号のみを用いて、睡眠ステージを高精度に推定するアプローチが求められてきました。
そこで本研究では、スマートリング「SOXAI RING」で取得可能なPPG(光電式容積脈波)由来の心拍情報と加速度(体動)情報のみを用いて、軽量ニューラルネットワークにより、睡眠ステージを2段階~5段階の複数粒度で推定できることを検証しました。
研究結果・先行研究との比較
本研究では、スマートリング「SOXAI RING」で取得できるPPG由来の瞬時心拍(IHR)と、加速度センサ由来の体動特徴(ZCM)のみを用いて、睡眠ステージ推定を検証しました。評価指標には、クラス不均衡の影響を受けにくいUAR(macro-average recall / Unweighted Average Recall:マクロ平均再現率)を用いています。
また、心拍(IHR)単独でも高い性能を示しつつ、心拍(IHR)+体動(ZCM)を組み合わせることで、2~5段階すべてで性能が改善することが示されています。
<研究結果>

※本研究では、5段階睡眠(Wake/N1/N2/N3/REM)についてもUARを報告しており、スマートリングデータでのより細かな睡眠ステージ推定に向けたベースラインを提示しています。
<先行研究との比較>
睡眠ステージング(4段階)の推定精度

※出所:各論文に掲載された結果(加速度信号+心拍信号を入力とする睡眠ステージ推定)をもとにSOXAI作成。
※比較は加速度信号と心拍信号のみに基づく睡眠ステージ推定アルゴリズムに限ることを基本とし、一部追加のセンサ信号も入力に用いているアルゴリズムも含む。
本研究において「SOXAI RING」は2~5段階推定で最高水準の値を示しています。これにより、スマートリング「SOXAI RING」で取得したデータでの睡眠ステージ推定が学術的に妥当であり、高精度に成立し得ることが示されました。
<研究体制>
[表: https://prtimes.jp/data/corp/89024/table/40_1_2f474e72906ee958652315e11e991223.jpg?v=202512240645 ]
当研究の新規性
本研究の重要な特徴は、計算量の小さいアルゴリズムモデル設計にあります。画期的な点は、スマートリングのような低消費電力で大規模な演算が難しいデバイスでも実装を見据えられる、軽量なニューラルネットワークを採用していることです。
本研究では、
・CNN(畳み込みニューラルネットワーク):時系列特徴の局所パターンを抽出
・Bi-GRU:睡眠ステージの時間的連続性を考慮
という役割分担により、軽量で高精度な睡眠ステージ推定を実現しました。
これは「スマートリング×心拍×軽量AI」というアプローチが、学術的にも妥当であることを明確に示すものです。
また、SOXAI RING 2では「Deep Sensing(TM)」の採用により、心拍数・心拍変動に関わる信号品質の向上を実現しています。本研究でも、心拍に体動情報を組み合わせることで精度が向上することが示されており、Deep Sensing(TM)による心拍精度の向上は、睡眠ステージ推定のさらなる改善に貢献するという設計思想のもと、プロダクトを進化させていきます。
論文情報
https://ieeexplore.ieee.org/document/11262242
論文タイトル:Sleep Staging Using PPG-Derived Heart Rate and Accelerometer Data from a Smart Ring with Lightweight Neural Networks
「SOXAI RING 2.0」について

2025年12月10日に、自社で開発・販売する日本発の睡眠管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING 2」を発売しました。新モデル「SOXAI RING 2」では、特許を取得した光学分野の最先端技術を活用して独自開発した光電容積脈波(PPG)センサー 「Deep Sensing(TM)」(ディープセンシング)※1を新たに搭載したことにより、計測の精度が大幅に改善し、より深いレベルで身体状態の変化を可視化することができるようになりました。さらにサイズは世界最細※2の幅6.7mmという細さ、継続使用可能時間も世界最長※3レベルの最大14日間となり、長時間装着する際もより快適にご利用いただけます。
詳しくはこちらよりご確認ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000089024.html
※1 「Spatial resolved spectroscopic multi-wavelength PPG (空間分解分光多波長PPG技術)」は特許取得済み(特許7655609)です。
※2 世界最細:「バイタルセンシング機能を搭載した連続駆動時間4日以上のスマートリング」を開発する主要スマートリングメーカーの公開情報をもとに比較(SOXAI調べ、2025年12月10日時点)
※3 世界最長:「バイタルセンシング機能を搭載した連続駆動時間4日以上のスマートリング」を開発する主要スマートリングメーカーの公開情報をもとに比較。サイズごとに搭載しているバッテリーは異なり、14日間は20~26号の場合です。リングサイズと使用状況、ファームウェアバージョン、バッテリーの経年劣化によって変化します。(SOXAI調べ、2025年12月10日時点)
SOXAIについて
SOXAIは「ヘルスケアをライフステクノロジーで世界中の人々のQoL向上に貢献」をミッションに掲げ、2021年に創業されたヘルステック企業です。生活のあらゆる場面にバイタルセンシング技術を適応させることで、人々が自然と健康増進に取り組むことができる世界の実現を目指しています。
https://soxai.co.jp/pages/about-us
会社概要
本社所在地:神奈川県横浜市中区不老町1丁目2-1
代表者:代表取締役 渡邉達彦
設立:2021年
本プレスリリースに関する報道関係者からのお問い合わせ先
株式会社SOXAI
取締役副社長 CFO 光頼篤樹(ミツヨリ アツキ)
電話:045-264-9397
メール:info@soxai.co.jp