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株式会社ZenmuTech

ZenmuTechの研究者らによる暗号技術の研究論文が「IACR Communications in Cryptology」に採択・掲載

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⁻ 実装済の共通鍵暗号方式に鍵漏洩耐性を持たせる汎用的方法を提案HAIPと共同開発した「秘密分散プロキシ」の安全性検討を背景に研究 ‐

情報を暗号化した上で分散管理する「秘密分散技術」によりデータの保護、データの利活用を追求する株式会社ZenmuTech(ゼンムテック、以下、ZenmuTech)は、当社の研究者が参画した暗号技術に関する研究論文が、国際暗号研究学会(International Association for Cryptologic Research:IACR)が発行する学術誌「IACR Communications in Cryptology」に採択・掲載されたことをお知らせします。

本研究は、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学、ZenmuTech、中央大学研究開発機構の研究者による共同研究です。
本論文では、既存の共通鍵暗号方式を利用しながら、暗号鍵に関する情報の一部が外部に漏えいした場合にも安全性を維持することを目的とした、共通鍵暗号方式の新たな構成法を提案しています。

本研究は、ZenmuTechが医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)と共同で進めてきた「秘密分散プロキシ」の開発過程において、暗号鍵や分散データの一部に関する情報が漏えいする状況を想定し、その安全性を理論面から検討する必要が生じたことを背景としています。
実用システムの開発から得られた課題を暗号理論上の問題として整理・一般化し、厳密な安全性モデルに基づいて検討した成果が、今回の論文につながりました。

【掲載論文】

■ 論文名
Black-Box Construction of Partial Key Exposure Resilient Symmetric-Key Encryption Scheme
(部分的な鍵漏えいに耐性を持つ共通鍵暗号方式のブラックボックス構成)
■ 著者
Reo Eriguchi、Tetsu Iwata、Goichiro Hanaoka、Kaoru Kurosawa、Tomoyuki Ogawa、SeongHan Shin
■ 掲載誌
IACR Communications in Cryptology, Vol. 3, No. 2
■ 論文ページ
https://cic.iacr.org/p/3/2/31

【研究の背景】

TLSをはじめとするインターネット上の安全な通信では、共通鍵暗号技術が広く利用されています。
従来の暗号技術の安全性は、原則として共通鍵が外部に漏えいしないことを前提としています。一方、実際のシステムでは、機器の消費電力、処理時間、電磁波などを観測するサイドチャネル攻撃や、メモリに対する攻撃などにより、暗号鍵に関する情報の一部が漏えいする可能性があります。
このため、鍵情報の一部が漏えいした場合にも、暗号化されたデータの安全性をどのように維持するかは、暗号技術を実システムへ適用するうえで重要な研究課題となっています。

ZenmuTechとHAIPが共同開発した秘密分散プロキシにおいても、通信やデータ処理の一部から何らかの情報が漏えいする可能性を考慮し、システムを支える暗号方式の安全性を理論的に検討することが重要でした。
こうした実用上の問題意識を出発点として、本研究では「暗号鍵の一部が漏えいする状況において、既存の共通鍵暗号方式をどのように利用すれば、安全性を備えた暗号方式を構成できるか」という課題に取り組みました。

【研究成果の概要】

本研究では、既存の安全な共通鍵暗号方式を、内部構造の詳細に依存しない「ブラックボックス」として利用しながら、暗号鍵の一部が漏えいした場合にも安全性を維持することを目的とした暗号方式の構成法を示しました。
提案方式では、データの前処理に「All-Or-Nothing Transform(AONT)」と呼ばれる技術を利用します。AONTは、変換後のデータ全体がそろわない限り、元のデータに関する有用な情報を得ることを困難にするための技術です。

本研究の主な成果は、以下のとおりです。
- 任意の安全な共通鍵暗号方式を基に、部分的な鍵漏えいに耐性を持つ暗号方式を構成する手法を提示
- 既存のAONT構成について、従来より精密な安全性評価を実施
- AONTが達成可能な安全性の理論的な限界を分析
- 従来方式より高い安全性を実現する新たなAONT構成を提案

本成果は、特定の製品や実装だけを対象としたものではなく、部分的な鍵漏えいに対する共通鍵暗号方式の安全性を、一般的な暗号理論の枠組みで示したものです。

【秘密分散プロキシの開発と本研究の関係】

ZenmuTechはHAIPと共同で、データを複数の分散片に変換し、異なる経路や環境を通じて取り扱う「秘密分散プロキシ」の開発を進めてきました。
秘密分散技術では、必要な数の分散片がそろわない限り元のデータを復元できないようにすることで、通信経路や保管先の一部が侵害された場合の情報漏えいリスクを低減します。

一方、実際のシステムでは、分散片そのものだけでなく、暗号鍵、処理時の内部情報、通信に付随する情報などが部分的に漏えいする状況も考慮する必要があります。
秘密分散プロキシの開発過程では、このような部分的な情報漏えいを想定した場合に、どのような条件の下でデータの安全性を説明できるかについて、理論的な検討を行ってきました。
今回の論文は、こうした検討から得られた問題意識を暗号理論上の課題として一般化し、部分的な鍵漏えいに耐性を持つ共通鍵暗号方式の構成法として体系化したものです。

なお、本論文は秘密分散プロキシという個別システム全体の安全性を直接証明するものではありません。実システムの安全性は、暗号方式だけでなく、秘密分散の構成、鍵管理、ソフトウェアおよびハードウェアの実装、運用環境など、複数の要素によって決まります。
本研究は、そのうち暗号方式に関する安全性を理論的に検討するための基盤の一つとして位置付けられます。

【本研究の意義】

本研究の特徴は、実用システムの開発過程で認識された安全性上の課題を、特定の製品だけに限定されない一般的な暗号理論の問題として整理した点にあります。
研究成果を実用システムへ適用するだけでなく、実用システムの開発で得られた課題を理論研究へ還元することにより、理論と社会実装の双方を継続的に発展させることを目指しています。

本成果は、秘密分散を利用したデータ流通基盤をはじめ、クラウドサービス、IoT機器、組み込みシステム、医療・金融など高い機密性が求められる分野において、部分的な情報漏えいを想定した暗号システムを検討するための基礎になることが期待されます。

【今後の展望】

ZenmuTechは今後も、HAIPをはじめとする研究機関および事業者との連携を通じて、秘密分散や暗号技術に関する研究開発を進めます。
実システムから得られた安全性上の課題を理論研究へつなげ、その成果を再び製品やサービスの設計・評価へ反映することで、安全なデータ流通およびデータ活用基盤の実現を目指してまいります。

【IACR Communications in Cryptologyについて】

IACR Communications in Cryptologyは、国際暗号研究学会(IACR)が発行する、暗号技術および暗号解析に関する学術誌です。暗号理論、暗号方式やプロトコルの設計・解析、安全な実装、暗号技術の応用など、暗号研究コミュニティが関心を持つ幅広い分野の研究成果を掲載しています。
URL :  https://cic.iacr.org/

【ZenmuTechについて】 

株式会社ZenmuTech
所在地:東京都中央区新川2-22-1 いちご新川ビル 5階
設立:2014年3月4日
代表:代表取締役社長CEO  阿部 泰久
事業内容:秘密分散技術を用いたデータ保護ソリューションおよび秘密計算データベースプラットフォームの提供
証券コード:338A
URL :  https://zenmutech.com/

秘密分散技術は、データを「それ自体では意味を持たないいくつかの分散片」に分け、それぞれの分散片を別の環境で管理することで、データの保護と安全性を高める技術です。
ZenmuTechは、秘密分散技術をソフトウェア開発キット(SDK)として提供するZENMU EngineやPCからの情報漏洩を防ぐ 「ZENMU Virtual Drive」をはじめとする自社製品を開発・販売し、多くの企業様にご利用いただいております。
また、データを秘匿したまま計算できる秘密計算の分野では、産総研との協働による研究や社会実装に向け、秘密計算データベースプラットフォーム「QueryAhead(R)」を提供しています。

【商標について】

本文中の社名、商品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。

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