味噌・醸造製品メーカーのハナマルキ株式会社(本社:長野県伊那市、代表取締役社長:花岡周一郎、以下当社)は、独自の特許製法により塩こうじを加熱乾燥・粉末化したコク味調味料「熟成こうじパウダー」について、農研機構、お茶の水女子大学、茨城大学との共同研究により、これまで官能評価で確認されてきた調理効果の裏付けとなる分子メカニズムや有効成分を明らかにしました。これらの研究成果は、2026年3月に開催される「日本農芸化学会2026年度大会」にて発表いたします。

■研究の背景「熟成こうじパウダー」の調理効果のメカニズムを科学的に解明
2022年に業務用商品として発売開始した「熟成こうじパウダー」は、塩こうじの研究から当社独自 の製法によって生まれた調味料です。これまでの官能評価(人の感覚による評価)では、料理に加えるだけで「コク味」「辛味」「うま味」や「冷涼感」を高める効果があることが確認されていましたが、その詳細な仕組みは未解明でした。今回、外部研究機関との共同研究により、ヒトの口内の刺激センサー(味覚受容体)への影響と成分特定の両面から検証を行いました。
■研究の内容と結果
今回の共同研究の結果、以下の3つの効果が解明されました。
【1】辛味・冷涼感の増強(ハナマルキ・農研機構・お茶の水女子大学)
農研機構およびお茶の水女子大学との共同研究により、熟成こうじパウダーが、辛味の受容体「TRPV1」と冷涼感の受容体「TRPM8」のそれぞれに対し、反応を増強させる働きを持つことを解明しました。
熟成こうじパウダー自体は刺激を持ちませんが、共存する成分に合わせてその機能を発揮します。例えば、唐辛子の成分であるカプサイシンを含む料理では「TRPV1」を介して辛味を際立たせ、ミントの成分であるメントールを含む冷たい飲料や菓子では「TRPM8」を介して冷涼感やリフレッシュ感をブーストします。
【2】コク味・脂肪風味(濃厚感)の向上(ハナマルキ・茨城大学)
茨城大学との共同研究では、熟成こうじパウダーがヒトのコク味の受容体「CaSR」と油脂の受容体「GPR120」の両方を直接活性化させることを新たに確認しました。これにより、料理に加えた際に感 じる「深みのあるコク」や、乳感・バター感といった「満足度の高い脂肪風味(濃厚感)」が生み出されるメカニズムの一端が証明されました。
【3】辛味の増強・うま味の持続(ハナマルキ・お茶の水女子大学)
お茶の水女子大学との共同研究により、熟成こうじパウダーの加熱工程で生まれる特定の化合物J300
(料理の辛味を際立たせる効果)およびJ280(うま味の余韻を長く持続させる効果)が、味を変化させる正体であることを突き止めました。
【用語解説】
J300/J280:今回の研究で熟成こうじパウダーの中から特定された、メイラード反応の中間段階で生成される低分子化合物の名称(研究用コード)です。
■ 今後の展望
今回の研究成果により、熟成こうじパウダーがヒトの口内の刺激センサー(味覚受容体)に多角的に働きかけ、基本味を超えた「おいしさ」を創出することが裏付けられました。この知見は、減塩・低脂肪肪メニューの満足度向上や、プラントベースフードにおける風味補完など、次世代の付加価値食品の開発に大きく貢献するものです。今後も当社では、産官学連携による共同研究を積極的に推進し、麹の可能性をより科学的な側面から開拓していきたいと考えています。
■ 商品概要


・商品名:熟成こうじパウダー12kg/1kg/50g
・原材料:こうじ発酵調味料(国内製造)(米こうじ、食塩)・賞味期限:24ヶ月
・ブランドサイト: https://www.hanamaruki.co.jp/shiokoji-powder/
■学会での発表
学会名:日本農芸化学会2026年度大会主催公益社団法人日本農芸化学会
日程 :2026年3月10日(火)
演題 :熟成こうじパウダーによるコク味及び脂肪風味の増強メカニズム
熟成こうじパウダー中のメイラード反応生成物の呈味増強効果について
熟成こうじパウダーに対する温度感受性TRPチャネルの応答評価
会場 :同志社大学 今出川キャンパス