トレンドニュースサイト STRAIGHT PRESS【 ストレートプレス 】

株式会社アトラックラボ

NVIDIA DGX Spark上に「AT-SYNAPSE」のローカルLLM/VLM環境を構築

このエントリーをはてなブックマークに追加

映像や現場データを外部へ送信せず、運用時にクラウドAIやインターネット接続へ依存しないフィジカルAIを実現

株式会社アトラックラボ(所在地:埼玉県入間郡三芳町藤久保16-37、代表取締役:伊豆 智幸)は、NVIDIAのコンパクトなパーソナルAIスーパーコンピューター「NVIDIA DGX Spark」上に、自社開発のAI自律制御システム「AT-SYNAPSE」を稼働させるローカルLLM(大規模言語モデル)/VLM(視覚言語モデル)環境を構築し、動作検証を実施しました。
建設現場、山間部、地下施設、災害現場など、通信が不安定、あるいは映像や現場データを外部へ送信できない場所では、これまで高性能AIの導入に制約がありました。
アトラックラボは、こうした制約をローカルAIによって解消します。NVIDIA DGX Spark上でAT-SYNAPSEのLLM/VLMをローカル実行し、映像の認識から行動の判断までを現場内で完結する「オフライン対応フィジカルAI」を実現しました。
本環境では、ロボットが取得したカメラ映像や深度情報を外部のクラウドAIサービスへ送信することなく、画像認識、周囲状況の理解、行動計画、推論、音声応答をローカルで実行できます。
モデル導入後の通常運用では、クラウドAIやインターネット接続に依存せずにAI処理を継続できるため、機密情報を扱う施設や、通信環境が不安定な現場でも利用しやすいフィジカルAI基盤となります。

NVIDIA DGX Spark上で動作するAT-SYNAPSEのローカルLLM/VLM環境

OllamaとQwen3.6 35B-A3Bを使用し、RealSenseカメラから取得したRGB画像とDepth情報の認識、ロボットの行動計画および推論をローカルで実行します。
開発の背景
アトラックラボが開発する「AT-SYNAPSE」は、LLMをロボットの「頭脳」として活用するAI自律制御システムです。
音声やテキストによる指示を理解し、カメラや3D LiDARなどから取得した情報をもとに周囲の状況を認識するとともに、自律移動、障害物回避、安全停止などの行動を判断します。
従来、ロボットから高性能なLLMやVLMを利用する場合には、カメラ映像やセンサー情報をインターネット経由でクラウドAIへ送信する構成が一般的でした。
しかし、フィールドロボットが必要とされる現場には、通信回線を常に安定して利用できない場所や、施設内部の映像、設備情報、位置情報などを外部サービスへ送信できない環境が数多くあります。
また、クラウドAIを利用する構成では、通信遅延、サービスの障害や利用制限、API仕様の変更、利用量に応じた継続的な費用などを考慮する必要があります。
そこでアトラックラボは、NVIDIA DGX Spark上でオープンなLLM/VLMを動作させ、AT-SYNAPSEからローカルで利用できる環境を構築しました。
システム構成
本環境では、NVIDIA DGX SparkをAT-SYNAPSEの「Brain on Desktop」として使用します。
LLM/VLMの実行基盤にはOllamaを採用し、今回の検証ではMoE(Mixture of Experts)方式の「Qwen3.6 35B-A3B」(Ollamaモデル名:qwen3.6:35b)を使用しました。
ロボットとNVIDIA DGX SparkをROS 2およびMCP(Model Context Protocol)で接続し、ローカルLLM/VLMが次の処理を担います。

・ ロボットのカメラ画像の取得
・ RGB画像と深度情報の統合理解
・ 画像内の物体や周囲状況の認識
・ 音声またはテキストによる指示の理解
・ 状況に応じた行動の計画・推論
・ ROS 2ツールの選択および呼び出し
・ ロボットへの移動・停止・ナビゲーション指示
・ 音声による応答
・ 認識内容、判断理由、実行結果のログ配信

処理内容は「AT-SYNAPSE Web Console」に表示され、ロボットが「何を見たのか」「どのように状況を理解したのか」「なぜその行動を選択したのか」を、カメラ映像や機体状態とともにリアルタイムで確認できます。
動作検証の結果
■ロボットの計画・推論
AT-SYNAPSEが周囲の状況を理解し、必要なツールや次の行動を選択する計画・推論処理において、毎秒64.3トークンの生成速度を記録しました。
ローカル環境でありながら、ロボットとの自然言語による対話、状況判断、ROS 2ツールの選択などを実用的な速度で処理できることを確認しました。

■VLMによる対象物の認識
RealSenseカメラから取得した画像をQwen3.6 35B-A3Bへ入力し、画像内に存在する対象物の検出、特定、内容の説明を検証しました。
今回の検証では、約4.5秒で画像内の対象物を検出・特定し、正しく回答しました。回答生成速度は毎秒約64トークンでした。
単に画像全体を説明するだけでなく、「何があるのか」「対象物がどこにあるのか」を理解して回答できるため、ロボットによる探索、点検、対象物への接近などへの応用が可能です。

※記載した数値はアトラックラボの検証環境における測定結果です。モデルの設定、量子化方式、入力画像、プロンプト、コンテキスト長などによって処理速度は変動します。
AT-SYNAPSEに追加した新機能
RealSenseカメラのRGB画像とDepth情報を統合理解
Intel RealSenseカメラから取得するRGB画像とDepthフレームをAT-SYNAPSEへ入力し、映像に写っている物体の種類だけでなく、対象物までの距離や位置関係を理解できる機能を追加しました。
RGB画像による意味理解と、Depthフレームによる空間情報を組み合わせることで、次のような処理が可能になります。

・ 周囲に存在する物体の認識
・ 対象物までの距離の把握
・ 最も近い障害物の特定
・ 指定した対象物の位置確認
・ 移動可能な空間の判断
・ 対象物へ接近するための行動計画
・ 障害物を考慮した安全停止

静止画像だけでなく、ライブカメラから継続的に取得するRGB画像と深度情報を利用できるため、変化する実環境を認識しながら行動するフィールドロボットへ応用できます。
LLM/VLMをローカルで実行する主なメリット
さまざまな現場で、ロボットは考え続けられる
カメラ映像、深度情報、設備情報、位置情報などをローカル環境内で処理します。工場、研究施設、インフラ設備、公共施設など、データを外部へ送信することが難しい環境でも、組織の管理下でLLM/VLMを利用できます
通信が不安定な場所でも、AIが動き続ける
モデルをあらかじめ導入しておくことで、通常運用時の推論処理をローカルで完結できます。山間部、農地、地下施設、災害現場など、インターネット接続が利用できない、または不安定な場所でも、ロボットの認識・判断機能を継続できます。
現場の稼働が、外部サービスに左右されにくい
推論処理をローカルで実行するため、クラウドAIサービスの障害、メンテナンス、利用制限、API仕様の変更などによって、現場のロボットが動作できなくなるリスクを軽減します。
現場に必要な応答性能を設計しやすい
映像やセンサーデータを外部サーバーとの間で送受信しないため、外部通信回線の混雑や遅延による影響を抑えられます。
一定のハードウェアとモデルを使用することで、用途に必要な応答時間を事前に検証し、管理しやすくなります。
AIの利用量が増えても、APIコストを予測しやすい
推論処理を自社環境で実行するため、クラウドAIの利用量に応じて増加するAPI費用を抑えられます。
画像やライブカメラ映像を継続的に扱うなど、AIの利用頻度が高いロボット用途でも、運用コストを見通しやすくなります。
用途に合ったオープンモデルを柔軟に選べる
Ollamaを利用し、必要な精度、応答速度、用途に応じて、対応する複数のオープンLLM/VLMを切り替えられます。
特定のクラウドAIや単一のモデルに固定されず、今後登場する新しいモデルも評価・導入しやすい構成です。
NVIDIA DGX Sparkの活用
NVIDIA DGX Sparkは、CPUとGPUを統合した「NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchip」と128GBのユニファイドメモリを搭載した、コンパクトなAIコンピューターです。
NVIDIA DGX Sparkをロボットの頭脳として配置することで、ロボット本体に大型のGPUコンピューターを搭載することなく、大規模なLLM/VLMを利用できます。
これにより、ロボット本体の重量、消費電力、搭載スペースを抑えながら、高度な画像認識や推論処理を現場の近くで実行できます。
想定する活用分野
・ 建設現場やインフラ設備の点検ロボット
・ 災害現場や危険区域へ進入する調査ロボット
・ 機密情報を扱う研究施設内のロボット
・ 工場や物流倉庫内の搬送・巡回ロボット
・ 農業・林業向けフィールドロボット
・ 医療施設や公共施設の案内・巡回ロボット
・ 通信環境が限定される地域で稼働するUAV、UGV、USV
・ ローカルLLM/VLMを利用したロボット研究・教育
AT-SYNAPSE以外のオープンソースシステムも検証
アトラックラボは、NVIDIA DGX SparkをAT-SYNAPSE専用機としてだけでなく、ローカルAIの共通基盤として活用する検証も進めています。
Open WebUI
ローカルAIアシスタント環境としてOpen WebUIを導入し、Qwen3.6 35B-A3Bが良好に動作することを確認しました。
WebブラウザからローカルLLMと対話できるため、技術文書の要約、コード作成、調査、ロボット開発支援など、社内AIアシスタントとして活用できます。
ComfyUI
画像、テキスト、動画を生成するワークフロー環境として、ComfyUIの動作検証を進めています。
今後、ロボットが取得した現場画像の加工、説明用画像の生成、シミュレーション用素材の作成、画像から動画への生成などへの応用可能性を検証します。
今後の展開
アトラックラボは今後、Qwen3.6 35B-A3Bを含むオープンLLM/VLMについて、量子化方式、コンテキスト長、画像解像度、推論速度などの比較検証を進めます。
また、RGB画像とDepth情報を活用した対象物までの距離推定、物体探索、障害物回避、移動計画など、認識結果を実際のロボット行動へ結び付ける機能を強化します。
自社開発のフィールドロボット「AT-CART8」をはじめ、ドローン(UAV)、無人車両(UGV)、無人船舶(USV)へ順次展開し、クラウドAIやインターネット接続に依存しないローカルフィジカルAIの社会実装を進めてまいります。
代表取締役 伊豆智幸 コメント
「フィールドロボットが必要とされる現場には、通信が安定しない場所や、映像・設備情報を外部へ送信できない場所が数多くあります。NVIDIA DGX Spark上でAT-SYNAPSEのLLMとVLMを動かすことで、クラウドへ常時接続しなくても、ロボットが周囲を見て、考え、行動を判断できる環境を構築しました。
今回、RealSenseカメラのRGB画像とDepth情報を組み合わせ、ロボットが何を見ているかだけでなく、対象物との距離や位置関係も理解できるようにしました。
ロボット本体を過度に大型化することなく、その近くに高性能な『頭脳』を置けることも大きな利点です。今後は、認識した内容を移動、探索、点検などの具体的な行動へつなげ、通信環境に左右されず現場で働けるフィジカルAIの開発を進めてまいります」
AT-SYNAPSEについて
AT-SYNAPSEは、大規模言語モデルをロボットの「頭脳」として活用する、アトラックラボ独自のAI自律制御システムです。
MCP接続に対応したLLMエージェントとROS 2を統合し、音声やテキストによる指示に基づいて、カメラ画像やセンサー情報を認識し、ロボットの行動を判断します。
画像認識、音声対話、表情表示、移動制御、自律ナビゲーション、障害物検知、安全停止などの機能を備え、ロボットの認識内容や判断理由をAT-SYNAPSE Web Console上でリアルタイムに確認できます。
株式会社アトラックラボについて
株式会社アトラックラボは、ドローン、無人車両、無人船舶などのフィールドロボットにAIを組み合わせ、危険な仕事や不快な仕事から人々を解放することを目指すフィールドロボットSIerです。
ROS 2、ArduPilotなどのオープンソース技術を積極的に活用し、AI、ロボティクス、通信、GISを統合したシステムの設計・開発および短期間でのPoC構築を行っています。

会社名:株式会社アトラックラボ
所在地:埼玉県入間郡三芳町藤久保16-37
代表者:代表取締役 伊豆智幸
事業内容:無人機の設計、AI・通信・GIS技術を用いたシステム開発、フィールドロボットSIer業務
お問い合わせ:sales@attraclab.com
本件に関するお問い合わせ先
株式会社アトラックラボ
E-mail:sales@attraclab.com

※本リリースにおける「オフライン対応」とは、モデル導入後の通常運用時に、外部のクラウドAIサービスやインターネット接続を必要とせず、ローカル環境内でAI推論を実行できることを指します。
※モデルの初回導入、更新、追加ダウンロードなどには、インターネット接続が必要となる場合があります。
※記載された製品名およびサービス名は、各社の商標または登録商標です。

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ

最新情報をXで受け取ろう!
前の記事
一覧へ戻る
次の記事