― 敵対的買収時代における企業防衛とガバナンスの実務 ―
少数株ドットコム株式会社(本社:東京都練馬区、代表取締役会長:山中 裕)は、伊藤 歩著『TOB阻止 完全対策マニュアル』(財界展望新社)をテーマとした読書会を、練馬政治研究会および民事8部監視委員会との共催により開催いたしますので、下記の通りお知らせいたします。
本読書会では、敵対的TOB(株式公開買付け)や支配権争奪の実務を正面から扱った本書をもとに、企業経営者・取締役・株主が直面する買収リスクへの対応、企業価値防衛、ガバナンスの実効性について、参加者の皆様とともに多角的に検討します。
『TOB阻止 完全対策マニュアル』書籍紹介URL:https://amzn.asia/d/f6Xw5t6
著者プロフィール
伊藤 歩(いとう・あゆみ)
金融ジャーナリスト。1962年、神奈川県生まれ。横浜国立大学教育学部卒業。
ノンバンク、外資系金融機関、信用調査機関などで約16年間勤務し、融資、不良債権回収、金融商品の販売など金融実務を幅広く経験。
独立後は『ZAITEN』『週刊東洋経済』などを中心に、
企業買収、コーポレートガバナンス、法律・会計分野を主題とした執筆活動を行う。
球団経営の視点からプロ野球を論じるなど、スポーツビジネス分野にも取り組む。
1.開催趣旨
近年、日本の資本市場においても、敵対的TOBやアクティビスト投資家による経営関与は、もはや特別な事象ではなくなりつつあります。
『TOB阻止 完全対策マニュアル』は、単なる理論書ではなく、
- 敵対的買収がどのように始まるのか
- 企業側がどの段階で、何を判断すべきか
どの選択が企業価値を守り、どの選択が致命傷になるのかを、実務の視点から体系的に整理した実践書です。
TOB対応は、防衛策の有無だけで決まるものではありません。
以下のような平時のガバナンスの質が、最終的な帰結を左右します。
- 取締役会の構成と独立性
- 株主との対話の蓄積
- 情報開示の姿勢
- 有事における意思決定プロセス
少数株ドットコム株式会社では、株主権保護および企業統治体制支援に携わる立場から、本書を「有事対応マニュアル」にとどめず、平時からのガバナンス構築を考える教材として位置づけ、本書の読書会を企画しました。
- 書籍『TOB阻止 完全対策マニュアル』の要点解説
- 敵対的TOBの典型的プロセスと初動対応
- 買収防衛策と会社法・金融商品取引法の実務論点
- 取締役会・特別委員会の役割と限界
- 株主・投資家から見た「正当な防衛」と「問題のある防衛」
- 日本企業・資本市場への示唆
- 参加者同士のディスカッション
経営者、取締役、監査役、投資家、法務・IR担当者、企業ガバナンスに関心のある方など、幅広い層の参加を想定しています。
2.開催概要
テーマ:『TOB阻止 完全対策マニュアル』を読む― 敵対的買収時代における企業防衛とガバナンスの実務 ―
主催:少数株ドットコム株式会社
共催:練馬政治研究会、民事8部監視委員会
開催日:2026年1月中旬(予定)
開催形式:Zoomオンラインセッション
参加費:無料(事前登録制)
申込方法:info@shosukabu.com 宛に
「『TOB阻止 完全対策マニュアル』読書会参加希望」と明記のうえお申し込みください。
3.講師プロフィール
山中 裕(やまなか・ゆたか)
東京大学経済学部 総代卒業。コロンビア大学大学院(金融工学専攻)修了。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LSE)留学。
現在、外国籍のファンドおよび投資会社を通じて、国内外の上場企業1000社以上、非上場企業200社以上に投資しており、日本を代表するアクティビストの一人として知られている。
日本におけるアクティビスト投資の先駆者として、特にHOYA株式会社への株主提案活動(2010年)では、創業家株主として企業統治改革を目的とする15議案を提出した。
中でも注目されたのは、
- 役員報酬の個別開示(取締役ごとの報酬情報公開)
- 社外取締役のみで構成される会議体の設置(執行役を交えない経営監督)
- 社外取締役の再任回数を「10回以内」に制限(独立性維持を目的)
- 株主提案における議案説明文字数の上限を400字から4,000字へ拡大(株主提案権の実効性向上)
- 匿名投票制度(秘密投票)の導入
- 取締役候補者の公益法人兼務の開示義務化
といった、コーポレートガバナンスの質的向上を狙う提案群である。
これらのうち5議案が、米議決権行使助言会社グラス・ルイス(Glass Lewis)および日本プロクシー・ガバナンス研究所、さらにISS(Institutional Shareholder Services)の3社すべてから賛成推奨を受けた(出典:日本経済新聞 2010年6月18日付、記事URL)。ISSは世界最大の議決権行使助言会社であり、その推奨は国内外の機関投資家の判断に大きな影響を与えた。
同年、
- ストックオプション所有者に対してコールオプションを売却しプットオプションを所有するなどのヘッジ取引を禁止すること
- 取締役が自社株を売却する際は30日前に事前予告および開示を行うこと
といった透明性強化策も提案。これらの議案もISSの賛成推奨を得て、株主総会前の事前集計で20%台半ばの賛成票を獲得した(日本経済新聞 2010年6月18日付、同上)。
さらに、役員報酬個別開示などの提案は、グラス・ルイスや日本プロクシー・ガバナンス研究所も賛成推奨を出しており、日経新聞(2010年6月21日付、記事URL)、Bloomberg(2010年6月17日付、記事URL)、東洋経済オンライン(2010年6月21日付、記事URL)などの主要メディアが相次いで報道。
結果として株主総会では48%超の賛成率を獲得し、経営陣との建設的対話を通じて「経営透明性」「社外取締役機能」「議決権行使制度」の実質的改善を促した。
この一連の動きは、日本企業におけるガバナンス改革史において象徴的な転換点と評価さている。
また、いわゆるアムスク事件(東京高裁 平成26年(ネ)第3215号、平成27年3月19日判決)では、東京地裁および東京高裁双方において、「株式全部取得を行った株主総会の決議取り消し」を命じる判決を勝ち取り、少数株主保護の司法的実効性を実証した(出典:Clair法律事務所ブログ 2015年4月15日付、記事URL)。
さらに、株式会社ハイアス・アンド・カンパニー(現・株式会社くふう住まいコンサルティング)が 旧経営陣を提訴していた損害賠償請求事件(東京地裁民事第8部)において、会社法第849条第1項に基づく株主補助参加人として参画。2025年3月27日付で勝訴判決(裁判長:笹本哲郎、合議裁判官:伊藤圭子・内林尚久)を得ており、旧経営陣による架空売上計上などの不正会計が認定された。
この判決は、株主による司法的権利行使の有効性を示すものとしてさくらフィナンシャルニュース(2025年3月28日付、記事URL)にも掲載されている。
こうした一連の成果を通じて、山中は「ガバナンスの実効性を現場で証明する投資家」として、日本企業の統治改革と資本市場の健全化に大きく貢献している。
また、プライベートでは秋田犬の愛好家であり、世界各地の温泉地を巡る「温泉めぐり」を趣味としている。自然・文化・地域コミュニティを尊重しながら、温泉を通じた心身の再生と国際交流の意義を探求している。
4.当社代表コメント
敵対的TOBは、突然起きるように見えて、実際には長年のガバナンスの積み重ねの結果として表面化します。「防衛策があるか」よりも、「平時にどれだけ株主と向き合ってきたか」「取締役会が実質的に機能しているか」が、最終的な帰結を決めます。
本書『TOB阻止 完全対策マニュアル』は、その現実を極めて率直に示しています。本読書会が、有事対応の技術論にとどまらず、日本企業のガバナンスの質を問い直す機会となることを期待しています。
■会社概要
会社名|少数株ドットコム株式会社( https://www.shosukabu.com )
所在地|東京都練馬区
代表者|代表取締役会長 山中裕
事業内容|会社法関連アドバイザリー、株主権保護コンサルティング、企業統治体制支援、フィナンシャルアドバイザリー、ベンチャー投資、AI関連事業、不動産事業
◆当社は、金融庁の「責任ある機関投資家のための原則」(日本版スチュワードシップ・コード)に準拠し、投資先企業のモニタリングおよび建設的な対話を継続しています。
https://www.shosukabu.com/stewardship-code/
■当社の理念と投資方針
当社は中長期保有のスタンスで企業価値向上にコミットし、短期的な売買益を目的とした投資は行いません。
さらに当社は、短期的な利益追求を超えて、「ユダヤ人に勝てる日本を作る」ことを会社のミッションとして徹底しています。
営利企業としての利益・売上拡大を前提としつつ、それ以上に、日本人が国際社会で対等に競い合える金融力・政治力・文化力を備えることに貢献することを至上命題としています。
この理念を社会的潮流へと育てるため、
従業員・投資家・取引先・投資先企業など、あらゆるステークホルダーとの協業を重視し、
短期的利益よりも長期的社会的利益を優先する取り組みを進めております。
以上