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NPO法人Clean Ocean Ensemble

NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル調査チーム、海洋ごみの蓄積量の増減を評価する収支モデルを構築

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当団体の瀬戸内海沿岸域での回収実績を基に、同規模の回収活動が1~1,000団体に広がった場合の年間回収量と、10年後の海洋ごみ蓄積量を試算。

海洋ごみ問題の解決に向けて活動するNPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(香川県小豆郡小豆島町、代表理事:江川裕基、田中秀典)の調査チームは、海洋ごみの流出量、回収量および自然環境中の蓄積量の関係を表す収支モデルを構築しました。本モデルでは、初期蓄積量と各年の流出量および回収量から将来の蓄積量を数式で表し、「回収量-流出量」の累積値によって蓄積量の増減を評価します。

2026年7月時点の最新集計として、2020年8月から2026年7月までに、瀬戸内海沿岸域において、小豆島でのビーチクリーンおよび海洋ごみ回収実験、高松市内での河川ごみ回収実験などを通じて回収し、分別、計量および記録したごみの累計回収量2,692.32 kgを、モデル上の回収量に対応づけました。6年間の平均回収量は448.7 kg/年でした。
さらに、瀬戸内海の海洋ごみ蓄積量の推定値3,400トンを基準とし、当団体の年間回収量から10年後の蓄積量を試算した結果、約3,395トンとなりました。さらに、当団体と同規模の活動を行う団体数を10団体、100団体、758団体とした場合、10年後の蓄積量は、それぞれ約3,355トン、約2,951トン、0トンとなり、758団体で同海域の蓄積量がゼロに達する結果となりました。

また、このモデルの考え方と実測データへの適用方法を解説したコラムを公開しました。
コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/columns/column6/
筆頭著者:石山 翔午(ほか4名との共著)


海洋ごみの蓄積量を減らす条件:回収量が流出量を上回る状態の継続.

今回の研究および分析内容
調査チームでは、海洋ごみ対策の効果を定量的に捉えるため、自然環境中に存在するごみの「蓄積量」と、新たな「流出量」および自然環境からの「回収量」の関係を数式で表しました。最初から自然環境中に蓄積しているごみの量をS₀、k年目に新たに流出した量をLₖ、同年に回収した量をRₖとし、t年後の蓄積量Sₜを示しています。
この式から、1.流出量が回収量を上回る場合(Lₖ > Rₖ)、2.両者が等しい場合(Lₖ = Rₖ)、3.回収量が流出量を上回る場合(Rₖ > Lₖ)の三つに分けて、蓄積量の変化を示しました。流出量と回収量が等しい場合、蓄積量は増加しませんが、すでに自然環境中に存在するごみは減少しません。蓄積量をモデル上ゼロに近づけるためには、「回収量-流出量」の累積値が、最初から蓄積しているごみの量以上になる必要があります。
さらに、当団体が2020年8月から2026年7月までに瀬戸内海沿岸域で回収し、分別、計量および記録したごみの累計回収量2,692.32 kgを、6年間の各年の回収量の合計としてモデルに対応づけました。この実測値から、平均回収量を448.7 kg/年と算出し、同規模の活動を行う団体数を変えた場合の年間回収量と、10年後の蓄積量を試算しました。

当団体の瀬戸内海沿岸域における6年間の累計回収量.

流出を抑えるだけでは、すでに蓄積したごみは減らない
海洋ごみの影響は、景観の悪化に加え、約700種の海洋生物で誤食や絡まりなどが報告されているほか[1]、マイクロプラスチックによる人の健康への影響も懸念されています[2]。また、2018年に87の沿岸国で生じた海洋プラスチック汚染による清掃費や観光、漁業・養殖業への経済的損失は、年間60億~190億米ドル規模に上ると推計されています[3]。
OECDの推計によると、2019年には世界の水域へ約610万トンのプラスチックごみが流出しました[4]。また、河川・海洋に蓄積するプラスチックごみは、2020年の約1億5,200万トンから、追加対策を講じない場合には2040年に約3億トンへ増加すると予測されています[5]。
こうした状況を改善するため、プラスチックの使用量削減やポイ捨て防止、廃棄物管理の改善など、新たなごみの流出を抑える対策は極めて重要です。一方、仮に新たな流出を完全に止めることができても、すでに河川や海洋に蓄積しているプラスチックごみが自然に消えるわけではありません。海洋ごみ問題には、新たに自然界へ出ていく「流出」と、これまでにたまった「蓄積」の両方があります。したがって、自然界に存在するごみの総量を減らすには、流出抑制に加えて、すでに蓄積したごみを「回収」する取り組みが必要です。
海洋ごみの蓄積量を収支モデルで示す
本モデルでは、最初から自然環境中に蓄積しているごみの量をS₀、k年目に新たに流出した量をLₖ、同じ年に回収した量をRₖとすると、t年後の蓄積量Sₜを次の式で表します。


海洋ごみの蓄積量を減らし、ゼロを目指すための回収量と流出量の関係.

この式は、毎年の「流出量-回収量」の差が、蓄積量の増減を左右することを示します。今回、このモデルに瀬戸内海の海洋ごみ蓄積量の推定値と当団体の実測回収量を当てはめ、活動規模を変えた場合の10年後の蓄積量を試算しました。
対象範囲内で回収量が流出量より少ない状態が続けば、ごみの蓄積量は増え続けます。両者が同じであれば、蓄積量は増減しません。「回収量-流出量」の累積値が初期蓄積量以上になれば、モデル上、対象範囲内の蓄積量はゼロになります。
例えば、ある海岸に過去からごみが蓄積しており、同じ対象範囲と期間において100 kgを回収し、60 kgが新たに流出したとします。単純化して考えると、その期間のごみの蓄積量は差し引き40 kg減ったことになります。
この分析が示すのは、一度だけ大量に回収するのではなく、社会全体で「回収量が流出量を上回る状態」を継続できる仕組みをつくる必要があるということです。
実測した回収量を収支モデルに組み込み、回収を「検証可能な実績」へ
海洋ごみの流出量は、一般に年間当たりの重量[kg/年]または[トン/年]で示されます。一方、回収活動は、「ごみをたくさん拾った」「海岸がきれいになった」といった定性的な成果で語られがちです。回収したごみを分別、計量および記録し、回収量も年間当たりの重量で示すことで、流出量との比較や、対策によって蓄積量がどれだけ変化したかの検証が可能になります。
クリーンオーシャンアンサンブルでは、回収したごみを種類別に分別し、重量、回収場所、回収日などを継続的に記録しています。当団体の集計では、2020年8月から2026年7月までの6年間に、小豆島でのビーチクリーンおよび海洋ごみ回収実験、高松市内での河川ごみ回収実験などを通じ、瀬戸内海沿岸域で累計2,692.32 kgを回収しました。
本モデルにおいて、k年目に回収した海洋ごみの量をRₖとすると、この累計回収量は、6年間の各年の回収量を合計した値に相当します。

当団体の瀬戸内海沿岸域における6年間の累計回収量.

さらに、流出量と年単位で比較できる形に換算すると、6年間の平均回収量は448.7 kg/年(0.4487トン/年)です。
これにより、モデル式における回収量Rₖについては、概念上の値だけでなく、実際の回収活動から得られた実測値を用いることができます。
瀬戸内海の10年後の蓄積量を活動規模別に試算
瀬戸内海の海洋ごみ蓄積量は3,400トンと推計されています[6]。この値を初期値とし、年間収支が均衡した状態を前提に、当団体と同規模の年間回収量0.4487トンを毎年追加した場合の10年後の蓄積量を、活動規模別に試算しました。

活動規模別にみた瀬戸内海の10年後の海洋ごみ蓄積量の試算
[表: https://prtimes.jp/data/corp/110850/table/133_1_566426849babb407bb4ee4d4994931bb.jpg?v=202608051145 ]

その結果、当団体と同規模の回収活動が758団体に広がれば、10年間で蓄積量3,400トンに相当する海洋ごみを回収できる試算となりました。

クリーンオーシャンアンサンブルでは、回収量を増やし、測り、継続し、活動を広げるため、次の取り組みを進めています。
・分別回収型ビーチクリーンによる、ごみの種類別の回収・計量
・河川ごみ回収装置「kawasemi」による、海洋に流出する前のごみの回収
・海洋ごみMAPによる、回収場所、日付、ごみの種類などのデータ化
・回収したプラスチックやビン・ガラスなどの再資源化
・調査・研究をまとめた学会発表や論文投稿による知見の蓄積と協働者の拡大

このように、回収実績を分別、計量および記録し、モデル式のRₖとして整理することで、回収活動を「どれだけ拾ったか」という実績から、海洋ごみの純増・純減を検証するための基礎データへ変えることができます。流出を減らす「出さない努力」と、蓄積量を減らす「回収の仕組み」の両方を継続することが、海洋ごみゼロを目指すうえで重要です。
調査チームコメント
海洋ごみ問題は、新たな流出を減らすだけでなく、すでに自然界に蓄積したごみをどう減らすかという視点が欠かせません。回収量を測り、流出量と同じ単位で比較することで、回収活動は「たくさん拾った」という感覚から、効果を検証できる社会的な対策へ変わります。本コラムが、回収を持続可能な仕組みとして考えるきっかけになれば幸いです。
今後の展開
クリーンオーシャンアンサンブルでは、今後も現場で得られた回収データと文献調査をもとに、海洋ごみの実態や回収の有効性に関する科学的・実践的な知見を蓄積し、コラムの発信や研究成果の公開を通じて、継続的に社会へ発信してまいります。今後は、瀬戸内海沿岸域における回収量の集計を継続するとともに、分別回収型ビーチクリーンや河川ごみ回収装置「kawasemi」の展開を通じ、回収活動の規模拡大による効果と必要な活動規模を検証していきます。
コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/columns/column6/
参考文献
[1] Gall, S. C.; Thompson, R. C. The Impact of Debris on Marine Life. Mar. Pollut. Bull. 2015, 92 (1-2), 170-179.
[2] World Health Organization. Microplastics in Drinking-Water. 2019.
[3] Deloitte. The Price Tag of Plastic Pollution: An Economic Assessment of River Plastic. 2019.
[4] OECD. Global Plastics Outlook: Economic Drivers, Environmental Impacts and Policy Options; OECD Publishing. 2022.
[5] OECD. Policy Scenarios for Eliminating Plastic Pollution by 2040; OECD Publishing. 2024.
[6] 藤枝 繁;星加 章;橋本 英資;佐々倉 諭;清水 孝則;奥村 誠崇.瀬戸内海における海洋ごみの収支.沿岸域学会誌 2010, 22 (4), 17-29.
クリーンオーシャンアンサンブルは共に未来を変える仲間を募集しています
クリーンオーシャンアンサンブルは、海洋ごみゼロの世界の実現を目指し、日々挑戦を続けています。
この取り組みをさらに前進させるためには、皆さまの力が必要です。
以下の方法で、ぜひご支援・ご参加ください。

●寄付・協賛で支援する

いただいた寄付は、海洋ごみ回収装置の設置、データ化ツールの開発、現場活動の継続などに活用されます。
単発寄付/マンスリーサポーターとしてのご参加、いずれも歓迎しております。
▶詳細はこちら: https://donation.cleanoceanensemble.com/

企業様におかれましては、CSR活動の実践として、当団体HPへのロゴ掲載、回収支援証明書の発行、
共同PRなどの連携が可能です。
▶詳細はこちら:https://cleanoceanensemble.com/support/partner/

●ボランティア・プロボノとして参加する

当団体では、以下の分野のスキルを活かしてくださる仲間を募集しています。
- ITエンジニア
- マーケティング
- 営業・協賛パートナー支援
- 人事
- 現場エンジニア(小豆島)

詳細を知りたい方は月1回プロボノ説明会を開催しておりますので是非ご参加ください。
プロボノ参加以外に当団体の活動などに対する質問も受け付けております。
▶ プロボノ/ボランティア説明会はこちら:https://peatix.com/group/12922636
団体概要
・名称:NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(NGO Clean Ocean Ensemble)
・住所:香川県小豆郡小豆島町坂手甲986番地
・設立:2020年12月
・代表理事:江川 裕基、田中 秀典
・主な活動国:日本、東ティモール
・公式サイト:https://cleanoceanensemble.com/
・公式SNS:https://cleanoceanensemble.com/support/follow/

団体の名前は、Clean(綺麗な)Ocean(海を)Ensemble(より多くの人と一緒に)というメッセージを込めています。

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