AIを「答える存在」から、データや業務ツールと連携して動く存在へ拡張するオープンソース標準を解説

株式会社playknot(本社:東京都渋谷区、代表者:本屋敷 匠真・山口 恭兵)は、Claude Partner Network 認定パートナーとして、Claudeの仕組みや企業活用に関する知見を全3回のシリーズで公開しています。第2回となる本リリースでは、Model Context Protocol(以下、MCP)の仕組みと基礎知識を解説します。
■ MCPとは?
MCPは、ClaudeなどのAIアプリケーションを、外部のデータソース、ツール、ワークフローにつなぐためのオープンソース標準です。
生成AI / AIエージェントを業務で活用する際、単に質問に答えるだけでなく、社内データを参照したり、外部サービスの情報を取得したり、許可されたツールを実行したりする場面が増えています。
たとえば、AIに以下のようなことをさせたいケースがあります。
- GitHubのPull Requestを確認する
- Slackのスレッドを参照する
- Google Drive上の資料を読む
- Jiraのチケット内容を確認する
- 社内DBから顧客情報を取得する
- ドキュメントを読み取り、内容を更新する
- Sentry上のエラー情報を確認する
これらを接続先ごとの個別実装で対応すると、認証、データ取得、ツール定義、実行処理などを個別に開発・保守する必要があります。
MCPは、この外部ツール連携を共通化するための仕組みです。共通の方法で接続を扱うことで、AIアプリケーションから再利用しやすくなります。
■ MCPの基本構造
MCPは、大きくMCP Host、MCP Client、MCP Serverで構成されます。
MCP Hostは、Claude CodeなどのAIアプリケーションです。Host内のMCP ClientがMCP Serverとの接続を維持し、利用できる機能の発見や呼び出しを仲介します。MCP Serverは、外部サービスや社内システムへ接続し、Tools、Resources、Promptsなどを公開します。
基本的な流れは以下です。
- AIアプリケーション内のMCP ClientがMCP Serverに接続する
- MCP Serverが利用可能なツールやデータ、プロンプトを提示する
- Claudeが必要に応じてツールを選ぶ
- MCP ClientがMCP Serverに実行を依頼する
- MCP Serverが外部サービスやデータにアクセスする
- 結果がClaudeへ返される
- Claudeがユーザーへ回答する、または次の処理に利用する
ローカルMCP Serverでは、ClientがServerをサブプロセスとして起動し、標準入力・標準出力を通じてJSON-RPCメッセージを交換するstdioが使われます。リモートMCP Serverとの接続にはStreamable HTTPを利用できます。接続開始時には、ClientとServerがプロトコルバージョンと対応機能をネゴシエーションします。
■ MCP Serverが提供する3つの要素
MCP Serverは、主にTools、Resources、Promptsという3つの要素を提供できます。すべてのServerが3つを必ず持つわけではなく、用途に必要な要素だけを実装できます。
1. Tools
Toolsは、AIモデルが呼び出しを判断できる、MCP Server上の実行可能な機能です。
たとえば、ドキュメントを読む、文書を編集する、Slackに投稿する、GitHubのIssueを取得する、APIを呼び出すなどの操作がToolsにあたります。
公式Python SDKのFastMCPでは、@mcp.tool()デコレーターでツールを定義できます。Python関数の型ヒントやdocstringなどからツール定義を生成でき、JSON Schemaを手作業で記述する負担を減らせます。
2. Resources
Resourcesは、MCP Serverが持つデータをClientに公開する仕組みです。
Resourcesは、ファイル、API、データベースなどの情報を、AIアプリケーションが文脈として取得するための仕組みです。各ResourceはURIを持ち、一覧取得や本文取得に利用できます。たとえば、ドキュメント一覧を取得し、指定された文書の内容をClaudeへの文脈に含めるといった使い方ができます。
Resourcesはアプリケーション側が取得・選択し、必要な情報をモデルの文脈に渡す用途に向いています。
3. Prompts
Promptsは、MCP Server側に登録された定型プロンプトです。
たとえば、文書の整形、提案書の要約、契約書のリスク整理、コードレビューなどに使う定型の指示テンプレートをMCP Server側に用意できます。Promptsは必要に応じて引数を受け取り、ユーザーが明示的に選んで利用します。
これにより、利用者が毎回長い指示文を書く負担を減らし、用途に合わせて用意されたプロンプトを選んで利用できます。
■ MCPの通信方法
標準トランスポートには、同じマシン上で使うstdioと、リモート接続向けのStreamable HTTPがあります。
- stdio:ClientがServerをサブプロセスとして起動し、標準入力・標準出力でJSON-RPCメッセージを交換します。
- Streamable HTTP:ClientからServerへはHTTP POSTでメッセージを送り、ServerはJSONまたはSSEで応答します。必要に応じて、ClientはHTTP GETでSSEストリームを開けます。
通信方式の選択とは別に、認証・認可、接続権限、公開範囲を設計する必要があります。Streamable HTTPを実装する場合は、Originヘッダーの検証や適切な認証など、公式仕様が求める対策も必要です。
■ MCP Inspectorによる開発と検証
MCP Serverを作った後は、Claudeやアプリケーションに接続する前に、MCP Inspectorを使って動作を確認できます。
MCP Inspectorは、ブラウザ上でMCP ServerのTools、Resources、Promptsを確認・実行できる開発用UIです。
ツール一覧の確認、引数の入力、実行結果の確認、エラー処理の検証、ログや通知の確認などを、AIアプリケーションへ組み込む前後に行えます。これは、MCP Serverを安全かつ効率的に開発するうえで重要です。
■ MCPが重要になる理由
生成AI / AIエージェントの活用は、単なるチャットから、業務システムや外部サービスと連携する段階に進んでいます。
そのとき課題になるのが、AIにどのツールを与えるか、どのデータにアクセスさせるか、どのように安全に実行させるかです。
MCPは、この接続部分を共通化し、再利用しやすくする仕組みです。MCPを理解することで、AIを以下のような用途に拡張しやすくなります。
- 社内ナレッジ検索
- ドキュメント操作
- 開発支援
- 問い合わせ対応
- データ分析
- 外部SaaS連携
- 業務自動化
- AIエージェント構築
■ 企業活用で必要な設計
MCPで接続できることと、安全に業務で使えることは別です。実務では、接続先ごとに認証・認可を設計し、必要最小限のデータと機能だけを公開する必要があります。
- 読み取りと更新の権限を分ける
- 投稿・編集・削除など外部へ影響する操作には、ユーザー確認や承認を設ける
- ツールの入力、実行結果、エラーを記録し、検証できる状態にする
- Streamable HTTPでは、適切な認証に加えてOriginヘッダーを検証し、必要な範囲だけを公開する
playknotは、Claude Partner Network 認定パートナーとして、今後もMCPやAIエージェントに関する知識を、実務で活用しやすい形で発信してまいります。
■ 次回予告
第3回:Claude CodeとComputer Useから考えるAIエージェントの実践活用
■ 参考にした公式情報
- Model Context Protocol:What is MCP?
- Model Context Protocol:Architecture overview
- Model Context Protocol:Server concepts
- MCP Specification 2025-11-25:Transports
- Model Context Protocol:MCP Inspector
- Anthropic:Introducing the Model Context Protocol
※MCPの仕様は更新される可能性があります。実装時は最新の公式仕様・SDKドキュメントをご確認ください。
■ 初回相談について
playknotでは、マーケティング組織へのAIエージェント導入を検討する企業向けに、初回相談を受け付けています。
・どの業務からAIエージェント化できるのか
・Claude Codeを自社の広告・マーケティング業務にどう組み込めるのか
・FigmaやAdobe Illustratorなどの制作ツールとAIエージェントをどう連携できるのか
・個人利用で止まっている生成AI活用を、チーム運用に広げるにはどうすべきか
・実際にどのようなユースケースで成果が見込めるのか、デモを見て確認したい
現状の業務フローをもとに、導入すべき領域と進め方を整理します。ご希望に応じて、社内で実証済みのユースケースをもとにしたデモも紹介可能です。
▶ お問い合わせ:https://ai-marketing.playknot.co.jp/
■ playknotについて
playknotは、AIエージェントの導入支援、業務設計、スキル開発、運用定着を支援する会社です。企業の現場業務にAIを組み込み、実際に使われ続ける仕組みづくりを通じて、組織の生産性向上と新しい働き方の実現を支援しています。

会社名:株式会社playknot
代表者:本屋敷 匠真・山口 恭兵
事業内容:AIエージェント導入支援/AI活用コンサルティング/業務設計/スキル開発/マーケティング支援
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-33-2 シャトレー新宿御苑II 6F
URL:https://www.playknot.co.jp/