~ 低血糖による救急搬送の実態と、病院前介入の課題をNEXT Stage ERの救急外来データから解明 ~
TXP Medical株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:園生智弘、以下「TXP Medical」)は、TXP Medicalが提供する救急外来・電子カルテデータを活用した研究成果が、国際医学誌『Journal of Clinical Medicine』(MDPI)に掲載されたことをお知らせいたします。

■研究成果の概要
本研究では、2018年1月から2023年12月の6年間にわたり、日本の2つの地域(茨城県日立市・宮城県南部地域)において、EMS(救急車搬送)を通じて低血糖発作により救急搬送された患者237例を解析しました。
その結果、低血糖発作の78.1%が自宅で発生し、67.5%が家族によって救急要請されている一方で、ブドウ糖投与処置などの病院前医療介入は12.5%にとどまることが明らかとなりました。さらに、EMS到着時には21.1%が昏睡状態にあり、病院前に介入を受けた患者の入院率は34.2%であったのに対し、介入を受けなかった患者では53.2%に上るなど、早期介入の有無が転帰に影響を与える可能性も示唆されています。
これらの結果は、低血糖発作の多くが家庭内で発生し、家族が初期対応の主体となっている一方で、実際の医療介入が十分に行われていない現状を示しています。本研究は、家族・介護者への低血糖発作に関する教育の重要性や、地域における早期介入体制の整備の必要性を浮き彫りにしています。
TXP Medicalは今後も、急性期医療データや電子カルテデータの活用を通じて、医療の質の向上および現場課題の可視化に貢献してまいります。
尚、本研究は特定の2地域・搬送例を対象とした後ろ向き観察研究であるため、結果の一般化には今後の多施設・多地域での検証が期待されます。一方で、リアルワールドデータを用いた本研究は、低血糖救急の実態把握に向けた重要な知見を提供するものです。
■研究を支える医療データ基盤について
本研究の対象施設(日立総合病院・みやぎ県南中核病院)では、TXP Medicalが開発した救急外来診療プラットフォーム「NEXT Stage ER(NSER)」が導入されています。
NSERは、医師や看護師が救急外来診療で使用し、救急搬送情報、主訴・現病歴・既往歴・内服歴・バイタルサイン・身体所見・救急外来の診断名などを構造化した形式で入力・蓄積することができるシステムです。主訴はJapan Triage and Acuity Scale(JTAS)に基づく231カテゴリーで自動分類され、診断名はICD-10コード、薬剤情報はWHO ATCコードで標準化されます。
従来の電子カルテとは異なり、入力時点から構造化・標準化が行われることにより、臨床現場での診療と研究データの連続性を担保できる点が特徴です。2026年3月時点で全国100病院以上で導入されており、本研究のように、救急搬送データと院内データを統合した解析を可能にする基盤として有効活用されています。
【論文情報】
- タイトル:Hypoglycemic Events Focusing on Situational Factors, Bystander Identification, and Prehospital Management
- 掲載誌:Journal of Clinical Medicine(MDPI)
- 公開日:2026年4月5日
- DOI:10.3390/jcm15072746
- URL:https://doi.org/10.3390/jcm15072746
※本研究は、日本イーライリリー株式会社の支援を受けた共同研究として実施されました。
【NEXT Stage ER(NSER)】
NEXT Stage ER(NSER)は、救命救急センタークラスの大病院における救急外来業務に特化した患者情報記録・管理システムです。電子カルテ端末上で稼働し、医師・看護師など多職種が入力した患者情報を一元的に集約・共有することで、救急外来における迅速かつ正確な診療を支援します。
主訴・現病歴・バイタルサイン・処置内容などの情報が効率的に記録でき、電子ホワイトボード機能により院内の複数端末でリアルタイムに共有されます。また、JTASに基づくトリアージ支援や各種スコアの自動計算機能を備えることで、現場の判断をサポートします。
これらの診療記録は、日常業務の中で無理なく蓄積され、結果として救急台帳作成や臨床研究に必要なデータ整理の効率化にも寄与します。基幹システムとして、全国の大病院100施設以上に導入されており、大学病院・救命救急センターにおいては約50%のシェアを有しています。
https://txpmedical.jp/service/next-stage-er/
【TXP Medical株式会社】
- ミッション「医療データで命を救う」のもと、現役の救急集中治療医が創業した医療データスタートアップ
- 全国の大学病院・地域中核病院に導入された急性期医療システム『NEXT Stage ER』を基盤に、電子カルテ由来のリアルワールドデータ(RWD)を構造化
- 800床クラスの大病院を中心に協力施設50以上のネットワークを構築
- 標準化された900項目以上の検査値と豊富なカルテテキストを活用し、臨床研究支援・実態調査・治験支援サービスを展開
- 医師・研究者による専門チームを擁し、製薬企業・医療機器メーカーなど40社以上との連携実績
- 急性期から希少疾患、オンコロジーまで多様な疾患領域の課題解決を支援
社名:TXP Medical株式会社
所在地:東京都千代田区神田佐久間町3丁目21番地24 AKIHABARA CENTRAL SQUARE 2階
代表者:代表取締役CEO 園生智弘(救急科専門医)
設立:2017年8月
事業内容:急性期医療データプラットフォーム、AI技術、RWD活用サービス
・関連URL:
- TXP Medical コーポレートサイト:https://txpmedical.jp/
- TXP Medical 医療データ事業部:https://medical-dataservice.txpmedical.jp
- TXP Medical 医療データ事業部 サービス概要動画:https://www.youtube.com/watch?v=8ZRGkjtX0nI
- Medical Data Lab 公式X:https://x.com/medicaldata_lab
- Medical Data Lab 公式note:https://note.com/medical_data_lab